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エンタメ小説家の失敗学 by平山瑞穂

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本連載は小説家の平山瑞穂さんが、自らの身に起こったことを赤裸々に書き綴ったものです。 平山さんは、2004年に『ラス・マンチャス通信』で第16回日本ファンタジーノベル大賞を受賞… もっと読む
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2022年3月の記事一覧

「これが売れなければ次はないかもしれない」――エンタメ小説家の失敗学6 by平山瑞穂

「これが売れなければ次はないかもしれない」――エンタメ小説家の失敗学6 by平山瑞穂

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第1章 入口をまちがえてはならない Ⅳ
「これが売れなければ次はないかもしれない」 そうしてまっさらなところからルールを学びつつ、苦手意識を持っていた「ジャンル」なるものにあえて挑む決意を抱いた僕が、『ラス・マンチャス通信』に続いて新潮社から「受賞第一作」として発表した作品、『忘れないと誓ったぼくがいた』(二〇〇六年三月)は、結果としては甘い純愛フ

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「なぜこの本が一〇〇万部も売れるのか」――エンタメ小説家の失敗学5 by平山瑞穂

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第1章 入口をまちがえてはならない Ⅲ
「エンタメの流儀」に沿って改稿
 さて、問題は、そのGさんに出会い頭に突きつけられた課題だった。受賞に至った応募原稿は、もともと短篇の(しかも純文学のつもりの)連作だったこともあり、物語上の帰着点が明瞭に示されるような形にはなっていなかった。ひとつの物語としての起承転結など、僕にとっては第二義的なものにすぎず

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文学賞に落選しまくる日々――エンタメ小説家の失敗学4 by平山瑞穂

文学賞に落選しまくる日々――エンタメ小説家の失敗学4 by平山瑞穂

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第1章 入口をまちがえてはならない Ⅱ
文学賞に落選しまくる日々 さて、そうして僕が純文学系の新人文学賞に応募していった結果がどうだったかというと、「三歩進んで二歩下がる」という按配だった。当時僕は、年に一度作品が募集される右記四つの文学賞に、ほぼ毎回、なにかしらの作品を応募していたが、まるで歯が立たないというわけでもなく、三回に一回くらい

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【新連載】すべては日本ファンタジーノベル大賞から始まった――エンタメ小説家の失敗学3 by平山瑞穂

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第1章 入口をまちがえてはならない Ⅰ日本ファンタジーノベル大賞受賞
「はじめに」で述べたとおり、僕の小説家としてのキャリアは、二〇〇四年、『ラス・マンチャス通信』で第16回日本ファンタジーノベル大賞を受賞したことに始まる。しかし思えば、僕はこの最初の一歩からしてまちがえていたのではないか、と疑われる節がある。少なくとも、作家デビューを果た

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