森川友義の恋愛学で読みとく「文豪の恋」

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「同性愛」と「処女性」――『伊豆の踊子』を真に理解するにはこの2つのキーワードが必要だ #7_2

前回で詳しく分析したように、「恋愛小説」とは呼ぶにはあまりに特異な『伊豆の踊子』。しかしどうやら映画やドラマに見られるような、単純な青春の物語ではないようです。後編では、川端康成が作り出した作品世界に、さらに深く切り込む視点を提示します。

前編はこちら。

「異性愛」へのめざめなのか?

ここでぜひ知っておかなければならないのは、作者である川端の性的志向です。実は当時の川端は同性愛者でした。これ

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川端康成『伊豆の踊子』に、本当に「恋愛」が存在したのかを検証する #7_1

この連載ではここまで、文豪たちの数々の名作を読んできました。『こころ』から始まり『痴人の愛』まで、6つの小説を恋愛学の見地から批評してきたわけですが、そのどれもが恋愛という夜空に舞う豪快な打ち上げ花火というべき作品ばかりでした。読みごたえがあり、圧倒される迫力がある。それだけに批評のしがいもありました。

ところが今回の『伊豆の踊子』、こちらはまったく異なります。圧倒されません。迫力もありません。

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