森川友義の恋愛学で読みとく「文豪の恋」

20

『斜陽』のかず子は、なぜ涙を流しながらも上原との道ならぬ恋に溺れたのか? #5_2

太宰治『斜陽』を、「浮気市場」=「不倫」をキーワードに読み直す視点を提示した前回。後編では、いよいよ具体的に作品中の人間関係に即して考察していきます。かず子はなぜ上原を愛してしまったのかーー。もはや「不倫」について考える文学作品として、『斜陽』は欠かせないテキストです。

前編はこちら。

上原の立場から不倫を考える

上原からみた不倫とかず子からみた不倫の2つがありますが、まず上原の心理からかず

もっとみる
アランちゃんと一緒に喜んでいます!
34

「浮気市場」の概念を正しく理解することが『斜陽』を読みとく鍵となる #5_1

不倫を考察する2作目として、太宰治『斜陽』を採り上げます。『蒲団』が1908年の作品であるのに対しこの本は1947年に出版されていますので、一挙に40年近く新しくなり、時代も大正から昭和になります。

最初に申し上げておかなくてはならないのは、『斜陽』は純粋な恋愛小説ではありません。テーマは、タイトルどおりわが国の上流階級の没落=斜陽です。その裏側には共産主義礼賛という思想もからんでいて、政治色を

もっとみる
アランちゃんと一緒に喜んでいます!
37