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コロナ禍で行われた2020年プロ野球を振り返る

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
今回は、新型コロナウイルスの感染拡大によって大きな打撃を受けた2020年のプロ野球界全体を振り返ります。コロナ禍で開幕の3か月延期、さらには東京五輪の延期となりましたが、選手や球団にはどのような影響があったのでしょうか?また、「withコロナ」で開催される今後の数シーズンはどのような光景になるのでしょうか?

今年は新型コロナウイルスの影響で東京五輪が中止になるなど、世界的に多大なる影響を及ぼした。プロ野球も従来は3月に開幕予定だったが、6月に開幕と3ヶ月延期した結果となった。開幕延期が決定するまでは、オープン戦の段階で「無観客試合」にする他、Jリーグと提携を組むなど様々な対策が行われていたが、最終的にはペナントレース自体の開幕延期となった。

国内屈指の人気スポーツでさえも苦渋の決断

野球といえば、サッカー同様に国内では屈指の人気を誇るスポーツである。人気の証として毎年、日本シリーズや国際大会は地上波で放送されているし、インターネット配信が普及した今でも、その根強い人気からDAZNを始めとした配信サイトに多くのユーザーが加入している。
さらに、シーズン中はもちろんのことドラフト会議や契約更改、移籍情報が報道されるオフシーズンまで、プロ野球を中心に野球がスポーツニュースの主役を飾っている。

プロ野球界も長い歴史の中でストライキや震災など様々な問題に向き合ってきたが、今回のコロナウィルスによる騒動は日本国内だけではない問題に発展したため、非常に難しい選択を強いられたのはまず間違いない。

シーズン開幕前のオープン戦の段階で「無観客試合」という対策を取りつつ、プロ野球同様に人気のあるJリーグと異例の提携を組み、さらに対策を強化した。
そしてNPBが開幕延期を正式発表する前に、Jリーグが公式戦の一時休止や延期を発表していた。このことがプロ野球界に与えた影響は無視できないだろう。

開幕の大幅延期によって、選手のコンディションはもちろんのこと、チケットやグッズ等の販売に対して莫大な影響が生じたことは想像に難くない。
プロ野球は、高校野球や国際大会のように短期的なものではなく、3月から11月までのシーズンで長期的に利益を生み出さなければならない。中でもシーズン中でトップクラスの興行が見込める開幕戦を無観客試合にしてまで開催することは相当な痛手になると考えたのかもしれない。

オープン戦の無観客試合は国内の状況が良化するまでの施策として行なったと思われるが、度重なる他競技やイベントなどの延期や中止、Jリーグの延期や中断なども含めて自粛ムードがさらに加速した状況を鑑みての「開幕延期」という選択だったのだろう。

コロナが今シーズンのペナントレースに与えた影響

当初の予定だった東京五輪が消えたことを筆頭に、コロナ禍がペナントレースに大きな影響をもたらしたのは間違いない。当初の開幕日は東京五輪の関係で例年より早い時期の3月20日だったわけでが、そこから6月19日と、約3ヶ月もの延期になったわけだから、懸命に調整してきた選手たちには多大なる負担がかかっただろう。

特に、昨年のプレミア12に選出された選手は、昨年の11月半ばまで実戦に出ていた状況の中で、今年は急ピッチの調整をしてきた。つまり、オフシーズンで身体を休める期間が例年より極めて短期間であった。そのため、開幕前やシーズン中の怪我や故障、コンディション不良のリスクは例年以上に出た。

一例をあげると、巨人の坂本勇人や丸佳浩は、最終的には調子を取り戻したものの、開幕前の調整不足が影響して、開幕当初は調子が上がらずにいた。さらに、ヤクルトの山田哲人もコンディション不良で登録抹消されるなど、少なからず調整の難しさが出たシーズンだった。

選手のコンディションだけではなく、各球団の起用法も影響が出ていた。「シーズン短縮」が主張されていたが、120試合をフル活用できなかった球団がほとんどだったのではないだろうか。

これから数年間はコロナ禍でのシーズンに?

現状は、鳴り物を使用した応援などが禁止されているが、これは仕方のないことだろう。ファンも、初期段階としては、試合の開催に向けて理解を示す必要がある。数年後に、段階を踏んで応援などもできる環境作りが求められていくのだろう。

だが、この状況を打開する手段だったとはいえ、従来のように選手を大声で応援する文化とは真逆の、静観して観戦する文化が少しづつ浸透していくのも個人的には悪くないと思う(これまでの国際大会のようなイメージだ)。
それによってファンも、さまざまな応援の仕方を楽しめるようになり、プロ野球のエンターテインメントとしての質も向上するのではないだろうか。

選手目線から見ても、おそらく数年は、選手達も難しい環境の中、高いパフォーマンスを残すために、野球の「プロフェッショナル」として対応をしていくことが求められる。
特に、感染しやすい時期のキャンプから開幕前、またシーズン終盤の優勝争い真っ只中は、球団の管理能力も問われる。
来シーズンも、選手や球団、ファンはもちろんのこと、プロ野球機構なども一体となり、レベルの高い試合を少しでも多くの人が見られるような、いい方向に動いてほしい。

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