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チェアリング新時代|パリッコの「つつまし酒」#94

「はあ、今週も疲れたなあ…」。
そんなとき、ちょっとだけ気分が上がる美味しいお酒とつまみについてのnote、読んでみませんか。
混迷極まる令和の飲酒シーンに、颯爽と登場した酒場ライター・パリッコが、「お酒にまつわる、自分だけの、つつましくも幸せな時間」について丹念に紡いだエッセイ、それが「つつまし酒」。 
そろそろ飲みたくなる、毎週金曜日だいたい17時ごろ、更新です。

ここにきてあらためて楽しい

 飲み友達のライター、スズキナオさんと僕とで数年前に始めた遊びに「チェアリング」というものがあります。この連載では一度だけ、「ひとり花見のすすめ」という回で触れていますが、念のためもう一度説明すると、チェアリングとは、「アウトドア用の椅子を持って屋外へ行き、公園や水辺などの好きな場所に置いて、そこでひととき、お酒を飲んだりリラックスしてすごす行為」ということになります。
 初めて試してみた日からずっと楽しく、今も飽きずにやっているチェアリングなのですが、最近そこにちょっと新しい動きが見えはじめました。というのは、大変気軽かつ密にならないアウトドアレジャーであるチェアリング、実はコロナ禍にぴったりの息抜きなんじゃないか? ということで、WEB、雑誌、TVなどのメディアで取材を受けることが急激に増えたんですよね。ざっくりと昨年の4月以降、自分がSNSに書いた告知を見返してみても、雑誌「散歩の達人」、「毎日新聞」、NHK「ひるまえほっと」、雑誌「Hanako」、雑誌「料理通信」、フジテレビ「めざましテレビ」、雑誌「Daytona」、TBSテレビ「新・情報7daysニュースキャスター」、AbemaTV「ABEMA Prime」、「東京新聞」……うわ、多い多いとは思ってたけど、こんなに取材してもらってたんだ! いや、ありがたいことです。もちろん、チェアリングの名づけ親であるナオさんに単体で取材をされていた媒体もありますし、現在進行中のものも複数ある。そんな状況には自分たちがいちばん驚いている次第です。
 でまぁ、僕たちには特に「普及させたい! 流行らせたい!」という思いはなく、「好きだから勝手にやってますけど、楽しいから興味ある人はぜひ」ってくらいのスタンスでやってきたので、あまりそういった流れとは関係ないのですが、ここにきてあらためてチェアリングが楽しい。やっぱり、あまり気軽に居酒屋へ飲みに行ったりできないことが大きいのかなぁ。

新感覚のニューチェアを導入

 そんななか、最近手に入れた新たなるチェアリンググッズがありまして、
これが最高なのです。僕のなかで勝手にチェアリングが新時代に突入した感すらある。どういうものなのか一言で言うと「椅子が内蔵されたバッグ」ということになります。
 偶然通販サイトで見かけて以来、ずっと気になってたんです。椅子一体型バッグの世界。「椅子 バッグ」なんてキーワードで検索するとけっこういろいろ見つかって、しばらくの間、いいな〜ほしいな〜なんてあれこれ眺めていたんですが、先日、ついにがまんの限界がやってきて、カッとなって注文してしまったというわけで。自分なりに比較検討し、かなり吟味を重ねただけあって、これがかなり理想通りのニューチェアリンググッズだったんですよね。

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こんな、一見ごく普通のバックパック

 ちなみに僕がバックに求める条件がいくつかあります。以前それに見合ったバッグを見つけて以来、ヘタったら同じモデルの新品を買って使い続けてるくらい、その条件が重要。

・両手が自由でいたいので、バックパックであること
・背面のポケットに財布を入れておいて、背負った状態で取り出せること
・同様に、パス&キーケースも背負った状態で取り出せるポケットがあること
・サイドにドリンク用のポケットがあり、サーモスの保冷缶ホルダーが入れられること

 こんな感じです。最後の条件はもちろん、いつでもスマートに外飲みができるように。今回購入した、THANKO「シュパッと1秒!どこでも座れるリュック」は、なんとほぼその条件をクリアしてくれているんですよね。唯一、ドリンクポケットがちょっと浅めで、サーモスの缶ホルダーを入れておくと気づかないうちに落ちてしまいそうで心配なので、とりあえず布製のペットボトルホルダーで代用しています。

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500mlの缶を入れるとこんな感じ

 僕が普段愛用しているのは500ml用の缶ホルダーなので、ここにスポッとはまりそうな350ml用、買っちゃおうかなぁ……。
 気になる総重量は950g。知らないで持ち上げたら「若干重めのカバンだなぁ」くらいは思うかもしれませんが、それでもまさか椅子が隠れているとは思えない軽さです。椅子の耐荷重は80kg。内容量は18リットル。保護ケースに入れたノートPCに、デジカメに、その他日用品をあれこれ、みたいに詰めてってもまだ余裕があって、普段使いにはじゅうぶん。キャベツなら2個、レタスなら1個が限度って感じかな。背負ってみると、確かに普通のカバンとは違って背中に「板感」を感じはしますが、別に日常的に使って支障があるというほどではないですね。
 さてさて、いよいよこのバッグを椅子として使っていきたいわけですが、いや、初めて広げてみた時は本気で感動しましたよ。椅子は背中にあたる部分のカバーの下に隠れていて、マグネット構造でしまってある。そのカバーをパッとはがすと、まさに商品名のとおり、シュパッ! と1秒くらいで椅子が飛び出すんです。そこに背中のカバーをかけるとクッション代わりになって、試しに座ってみると、背もたれこそないものの、ぜんぜんゆったりとリラックスできます。あらためてすごいな、このバッグ……。

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「チェアリングしたい」と思った5秒後には座れている
開閉の様子は動画でもおさめたので、ご参考まで

いつでも座れるという自由

 これまでのチェアリングは、「よしチェアリングに行こう」と思わないとできませんでした。つまり、家から椅子を持って出ることが絶対条件だった。ところがこのバッグなら、例えば公園を散歩していて、「あ、もう寒梅が咲いている」なんて景色に出会ったら、パッと椅子を出してほんのわずかの梅見休憩をすることもできるわけです。

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こんなときは水筒のお茶でも飲みながら

 そりゃあもちろん、背もたれもアームレストもない簡易的な椅子なので、じっくりゆっくりリラックスしたいならアウトドア用の折りたたみチェアを持ってきたほうがいい。でも、この椅子でもチェアリングの魅力はじゅうぶんに味わえます。それに、「今の自分、いつなんどきでも座れるんだ」という心の余裕が、なんだか楽しいじゃないですか。

 先日、仕事で品川に行く予定がありました。となればついでに運河沿いでチェアリングでもできたら最高。仕事先に無闇にアウトドアチェアを持っていくわけにはいかないけれど、このバッグで出かけるだけで、それが簡単に叶ってしまうというわけで。

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こう。水辺はいつだって最高

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チェアリング時の収納力の足りなさは、
外飲み用によく使っている無印良品の旅行用ポーチでカバー

 ちなみにお酒は、家で作って持ってきた焼酎のお湯割り。それからおつまみんですが、それからおつまみなんですが、僕、最近、コンビニに各種売っているインスタントのカップスープを、そのカップではなくて持参した真空断熱スープジャーに作り、公園などに移動してつまみにするのが好きで。なので、今日はそれの「純豆腐チゲ」。

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極寒だからこそ熱々セットが染みる

 しかもですね、買い出しをしてる時に思いつき、思わず「天才!?」と自画自賛してしまったんですが、そこにホットスナックコーナーのモモ塩焼鳥を具材として追加してあるという豪華版! 柔らかい鶏肉がゴロゴロと入って、その旨味もスープに加わり、もはやチゲ鍋じゃないですか? これ。

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「スープストックトーキョー」にあってもおかしくない

 いや〜本当に買ってよかった。椅子バッグ。これからもいろんなところに座っていくぞ〜!

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用事も済ませ、夜の品川でもう1チェアリング

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アーバンリバーサイド満喫
パリッコ(ぱりっこ)
1978年、東京生まれ。酒場ライター、DJ/トラックメイカー、漫画家/イラストレーター。2000年代後半より、お酒、飲酒、酒場関係の執筆活動をスタートし、雑誌、ウェブなどさまざまな媒体で活躍している。フリーライターのスズキナオとともに飲酒ユニット「酒の穴」を結成し、「チェアリング」という概念を提唱。
2020年9月には『晩酌わくわく! アイデアレシピ』 (ele-king books)、『天国酒場』(柏書房)という2冊の新刊が発売。『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』(光文社新書)、『酒場っ子』(スタンド・ブックス)、『晩酌百景 11人の個性派たちが語った酒とつまみと人生』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、漫画『ほろ酔い! 物産館ツアーズ』(少年画報社)、など多数の著書がある。Twitter @paricco


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