光文社新書
ハッピーアワーズ|パリッコの「つつまし酒」#162
見出し画像

ハッピーアワーズ|パリッコの「つつまし酒」#162

光文社新書

用事で訪れた街で

「でかめのダイソー」って死ぬほど便利ですよね。ところが昨年末、我が家から位置的にいちばん近かった、西武池袋線、大泉学園駅の近くにあったでかめのダイソーが閉店してしまいました。そこで最近、どうしてもでかめのダイソーに行きたいときは、かつてはその次に近かった、練馬高野台駅前にあるでかめのダイソーに行くようになりました。
 練馬高野台駅は2022年現在、西武鉄道全体でいちばん新しい駅で、その開業は1994年。当時高校生で、通学に西武池袋線を使っていた僕は、開業の日の朝、初めて各駅停車が新駅に止まった瞬間の、老若男女問わず車両内にいる全員が、なんだかそわそわと浮き足立っていたような、どこかむず痒かったような感覚を覚えています。
 ってな思い出話はどうでもいいんですけれども、そんなわけで練馬高野台駅周辺には、昔ながらのお店や商店街はなんかは、はっきり言ってなんもない。先日の、その日の原稿ノルマを終え、高野台のでかめのダイソーに行ってきた夕方のこと。あんまり来ない街だし、せっかくだから軽く一杯やって帰りたいな〜、てなことを思えど、選択肢がほとんどない。
 そこで、そういえば駅前に中華ファミレスの「バーミヤン」があったよな〜、僕の生活圏内にないから、意外と縁がないんだよな〜、と、何気なく店の前まで行ってみたんです。すると自分に朗報! 平日の午後2時から6時までの間、「ハッピーアワー」を実施中と書いてあるじゃないですか。今がまさにそのアワー。こりゃいいや。バーミヤンでちょい飲みだ〜! とがぜんテンション高く店内に突入したのでした。

「バーミヤン」のハッピーアワー

 がらんとした店内のすみっこのテーブル席に着き、タッチパネル式のメニューを眺める。すると確かに実施されているハッピーアワー。

あるある。ハッピードリンク

 なんと、通常税込みで494円する「キリン一番搾り生ビール」が、220円ですって! こいつはまさしくハッピーだ。
 さてつまみはどうしよう。麺類やチャーハンなんかの主食系は時間的にちょっと重いし、麻婆豆腐で飲むってのもオツだけど、なんというか、もうちょっと軽めのものがちょこちょこある感じが理想なんだよな〜。と、「冷菜/酒肴」のページを眺めていて、ビビビときましたよ。

この横並びの2品を頼もう!

 さっそく注文ボタンを押すと、次々と頼んだものが届きだしました。さすがお客のまばらなハッピーアワー、提供スピードもハッピーだ。

生ビール
に、なんとサービス柿ピーまで

 やってきた生ビールに添えられているのは、なんとサービスの柿ピー小袋。いつもの半額以下でビールを提供してくださるばかりか、柿ピーまでくださるなんて、どこまですごいんだ、バーミヤンのサービス精神。と感謝しつつ、まずは冷えっ冷えの生をぐい〜っ……うめー! 仕事終わりの解放感&こんないい気候の日に明るいうちから飲める爽快感! 最高にハッピーな時間だ!

「たっぷりキャベツの中華サラダ」(399円)と「メンマ」(110円)

 そしてそして、おつまみのサラダとメンマですよ。本気で山盛りの千切りキャベツの上に、これまた山盛りの切り落としチャーシュー。トマトと煮玉子の存在も頼もしく、全体をしっとり潤す中華風塩ダレの風味も抜群!

まるで二郎系ラーメン

 ところで僕、さっきのメニューの並びを見た瞬間、頭のなかでカチーン! と、ある要素が組み合わさったんですよね。そこで、なんだか最近、酒場でこんなことばっかりやっている気がしますが、「おつまみ移設工事」に着工しようと思います。
 まずは卓上の小皿に、サラダの煮玉子とチャーシューを移設する。続いてそこへ、メンマも一部移設する。そこへラー油とコショウを少々。するとどうでしょう、なんと第3の小皿「中華おつまみ3品盛り」が、無事竣工!

「中華おつまみ3品盛り」

 それらをつまみにごきげんにビールを飲み、思いのほかつまみが潤沢なので、ウーロンハイを追加。

「ハッピーアワーウーロンハイ」(220円)

 締めて税込み合計949円というとんでもないリーズナブルさで、大充実のハッピーアワーを過ごさせてもらったのでした。

「ガスト」と「HUB」のハッピーアワー

 また別のある日。すでに「ハッピー中毒」になりはじめていた僕。そういえば「ガスト」のハッピーアワーもかなりお得だった気がするぞ。確認したくてたまらないぞ。というわけで、行ってみることに。
 すると、やってましたよね、ハッピーアワー。しかも、平日午前10時半から午後6時までという、驚きのロングロングハッピーアワー! で、これまたタッチパネル式のメニューを見ると、生ビールがバーミヤンと同じく220円。さっそく注文だ〜!

「アサヒスーパードライ」(220円)

 これまたキンキンの生ビールをまずはぐいっと。っくぅ〜……ハッピーナマー、何度やっても最高だぜ。

ん?

 ところでなんと、ここガストもバーミヤンと同じく、お酒に柿ピー小袋がついてくるサービスが。しかもその袋のデザインをよく見ると……あ! ガストとバーミヤンって、同じ「すかいらーく」系列だったのか! つまり僕は、すかいらーくの手のひらの上で転がされていただけというわけか。
 まぁそれもいい。ちなみにガストには「小さなおかず/おつまみ」コーナーが充実しており、最安はなんと87円の小鉢の根菜煮。これはもはや飲み屋でしょう。そんななかで僕が選んだのは、「ガストハウスサラダ」と「オー・ソーレ・ミーオ (温玉とナポリタンのオーブン焼き)」なる料理。

「ガストハウスサラダ」(241円)

 ポテトサラダにトルティーヤチップが突き刺さったガストハウスサラダは、コブドレッシングの酸味が華やかな一品。野菜の他に蒸し鶏もたっぷりで、砕かれたトルティーヤのカリカリ食感も楽しく、とってもいいおつまみです。

「オー・ソーレ・ミーオ (温玉とナポリタンのオーブン焼き)」(349円)

 さらに「オー・ソーレ・ミーオ 」。ちょっとゆですぎたようなぷにもち食感のナポリタンスパゲティーに温玉をのせ、たっぷりのチーズをかけて焼いてあるという、そりゃ間違いない一品。

こんなの、み〜んな好きでしょう
タバスコと粉チーズでさらにお酒がすすむ!

 サイズが通常のパスタ半人前くらいなのもちょうどよくて、これまたおつまみとして優秀すぎ!

「甘くないレモンサワー」(220円)

 当然ハッピー価格の「甘くないレモンサワー」を追加し、締めて税込み合計1030円。この日も大満足のハッピーアワーを過ごすことができました。
 最後に、すかいらーく系ではないお店にも行ってみたいぞと考え、思い出したのが、イギリスのパブ風のチェーン酒場「HUB」。もう10数年は行っていないけど、僕のよく行く池袋や吉祥寺にあって、ちらりと目に入るハッピーアワーの看板の情報が、驚くほどお得っぽかった記憶があります。
 よし、今日はHUBでハッピーアワーだ!

「HUB」へ

 お店の前に到着するとさっそく目に飛び込んでくる「HAPPY HOUR」の文字。そこには、午後5時から7時までの間「カクテル50種類以上半額! 220yen〜」と書いてあります。ほら見ろやっぱりだ! ものすごいお得さだ!
 実際に店内でメニューを見てみると、HUBのハッピーアワーはかなり気合が入っていて、カクテル半額の他、海外のものも含むビール類も割引されていたり、お得なセットの存在も確認。そこで僕が選んだのが、お酒とおつまみが1品ずつ選べる「550yen SET」。それぞれ「ジントニック」と「ローストビーフ(with マッシュポテト)」を選んで、税込み550円。

「ジントニック」
「ローストビーフ(with マッシュポテト)」

 いや〜、おそれいりましたね……。こんな小粋な空間で、本格的なジントニックと、小皿ではあるけれどちゃ〜んと美味しいローストビーフが食べられて、たったの550円。もはやどうかしちゃってるレベルですよ。
 初夏にぴったりの爽やかなジントニックをぐいっと飲み干してしまったので、おかわりは「HUBビターウーロン」なるオリジナルカクテル。もちろんハッピーアワー価格で半額の220円なんですが、お店のお姉さんに笑顔で「レギュラーの上のジャンボサイズもお得ですよ〜」なんて言われ、まんまとそちらを。まぁ、それでもたったの300円なんですけどね。

「HUBビターウーロン J Size」(300円)

 ウォッカとウーロン茶を合わせたというビターウーロンは、とっても飲みやすく、それでいて名前のとおりのビターな風味が大人っぽくて、HUBの雰囲気にぴったりだ。
 これらを、あんまり興味のないスポーツ中継をぼーっと眺めながら飲み食いしていて思ったんですが、HUBって、僕が20代のころに初めて行ったときは、ちょっと背伸び感のある大人のお店ってイメージだったんですよね。ところがこうしてあらためて来てみると、ものすご〜くゆるりと肩の力を抜いて飲める、なんとも居心地のいい酒場ですね。僕のなかに、ここにきてのHUBブームが到来しちゃいそう。
 HUBでのお会計は、なんと税込み合計、850円! そして今回めぐった3軒を合わせても、たったの2829円!
 ハッピーアワーというシステムはもちろん、お客さんの少ないアイドルタイムを少しでも利用しようというお店側の工夫ではあると思います。が、タイミングが合ってそれをうまく使えると、文字どおり超ハッピーになれる。
 これからもいろんなお店でハッピーになっていきたいと思った次第です。

パリッコ(ぱりっこ)
1978年、東京生まれ。酒場ライター、DJ/トラックメイカー、漫画家/イラストレーター。2000年代後半より、お酒、飲酒、酒場関係の執筆活動をスタートし、雑誌、ウェブなどさまざまな媒体で活躍している。フリーライターのスズキナオとともに飲酒ユニット「酒の穴」を結成し、「チェアリング」という概念を提唱。2021年8月には、新刊『つつまし酒 あのころ、父と食べた「銀将」のラーメン』を上梓! また、『ノスタルジーはスーパーマーケットの2階にある』(スタンド・ブックス)『晩酌わくわく! アイデアレシピ』 (ele-king books)、『天国酒場』(柏書房)、『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』(光文社新書)、『酒場っ子』(スタンド・ブックス)、『晩酌百景 11人の個性派たちが語った酒とつまみと人生』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、漫画『ほろ酔い! 物産館ツアーズ』(少年画報社)、など多数の著書がある。
Twitter @paricco

バックナンバーはこちらから!


ほかに光文社新書のnoteにはこんな記事も!


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!
この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
光文社新書

よろしければサポートをお願いいたします。もっと読んでいただけるコンテンツを発信できるように、取材費として大切に使わせていただきます!

光文社新書
光文社新書の公式noteです。2021年10月17日に創刊20周年を迎えました。光文社新書の新刊、イベント情報ほか、既刊本のご紹介や連載をアップしていきます。お気に入りの一冊について書いていただいたnoteを収録するマガジン「#私の光文社新書」では、随時投稿をお待ちしています!