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発売まで1週間!『巨人軍解体新書』冒頭と目次を公開

野球ファンのみなさまにご好評頂いているゴジキ(@godziki_55)さんの連載「巨人軍解体新書」。今回は、本連載をベースにした書籍『巨人軍解体新書』の発売直前ということで、冒頭部分(「はじめに」)と目次を先だって公開いたします!

『巨人軍解体新書』は

出版までのいきさつと執筆時に考えていたこと

来週いよいよ、初の著書『巨人軍解体新書』が発売となる。
本書の出版が決まったのは、2020年夏のことだった。「お股クラスタ」では2019年3月に『セイバーメトリクスの落とし穴』を出版したお股ニキさん(@omatacom)に引き続き、光文社さんから出版する形となった。
出版が決まる以前から本書の企画自体は立てられており、8月に具体的な構成や流れが決まり、9月から実際に書き始めた。

光文社さんにお世話になったきっかけは、同社の運営するメディア「本がすき。」で、お股ニキさんの名を冠した連載枠にてコラム執筆のデビューをさせていただいたことに始まる。ちなみにこの時は意外にも巨人軍の内容ではなく、高校野球の話を書いた。その後、巨人軍に関する記事にも携わる機会があり、他にも多くの媒体からコラムの依頼が来るようになった。そして光文社新書noteで「ゴジキの巨人軍解体新書」を連載する機会を頂く運びとなった。

最初に書籍執筆のお話をうかがった際は、本業はもちろんのこと、noteの連載と同時並行で一冊の本を書き上げることに多少の不安はあったが、当初の予定通りシーズン開幕直前の3月に出版ができて良かった。「21世紀の巨人軍」というテーマを軸に、これまでのスター選手や他球団の目線から見た巨人軍、現在の巨人軍に新たな風を吹かせてほしい選手……などなど、遊び心も交えながら書かせて頂いた。

大枠の内容は12月頭には書き上げることができたのだが、さらに完成度を高めるため、期日いっぱいまで手を加えさせていただいた。なので、巨人軍に関するリアルタイムの動きはギリギリまで追うことができている。過去から未来への流れを意識し、ジャイアンツを徹底解剖したつもりだ。さらに、多くの方が気になるパ・リーグ球団への対抗策も、1章分を割いて考察した。

1万字以上の原稿を書く機会など、これまでは学生時代の卒業論文くらいしかなかったが(普通、たいていの人はそうだろう)、執筆を終えてみると達成感がある。こういった機会を今後も大事にし、しっかりした内容のより良いものをさまざまな媒体から届けていきたいと思っている。一方で、昨年の坂本勇人が2000本安打を達成した時のようなメモリアルなタイミングでは、スピードも意識しつつ発信できたらと思う。夏場あたりからツイートが減少気味だったが、この連載や書籍等を通じて発信は続けていきたいと考えている。

現時点で自分が持つ知識や考えの全てを、この一冊にまとめたと言っても過言ではない。それぐらいギッシリ書かせていただいた。そう言った意味合いでは、巨人ファンに限らずアンチ巨人、あるいはそのどちらでもない多くの野球ファンから見ても楽しめる内容ではないかと自負している。是非、楽しんで読んでくだされば嬉しい。

「はじめに」全文公開

私は巨人軍が大好きだ。物心ついた時から、テレビ放映の影響もあり野球=ジャイアンツであった。好きな選手は松井秀喜と坂本勇人。王道が好きなのである。

野球は、飽き性な自分が唯一、人生の大半を費やすほどのめり込んだ趣味だ。野球を見始 めてからずっと巨人ファンであるが、00年代中盤の低迷期は正直なところ、野球を見ること自体が辛い瞬間もあった。ただ、そうした苦しい時期も通ってきたからこそ、一生ファンを辞めることはないだろう。

本書は私がずっと追いかけ続けてきた21世紀の読売ジャイアンツの歴史、そして未来への展望を一ファンの視点で綴つづ ったものである。巨人の強さはどこから来ているのか? 金の力 で勝てるチームは作れるのか? 伝統とは何なのか? どうすればパ・リーグに勝てるのか? ......などなど、尽きない疑問への「答え」にまではたどり着かないかもしれないが、「考えるヒント」を提供できれば幸いだ。

執筆する上で心掛けたのは、これまでにない「巨人軍のバイブル」にすることだ。自分自身が多くの試合やプレーを見ていた21世紀以降を中心に、今持っている全ての知識と感覚を 注ぎ込んだ。巨人ファンに限らずアンチも含め、多くの野球ファンの方に楽しんで読んでも らえたら嬉しい。2021年シーズンのお供としてだけではなく、数年後に本書の考察が当たって いるか否いなかを答え合わせしてみるのも一興だろう。

なるべく丁寧な記述を心掛けたが、他球団のファンからすれば若干きつい表現もあるかもしれない。もちろんどの球団にも良い選手や監督がいて、巨人も幾度となく苦汁をなめさせられてきた(そして現在は福岡ソフトバンクホークスに痛い目にあわされている)。ライバルチームの一ファンの視点からの、率直な意見と捉えていただきたい。また、巨人に対し ても期待外れに終わった選手や暗黒期のことなど、温情抜きで評価したつもりだ。

なお本文や表にある情報や選手の成績、所属先などは2021年1月12日現在のものであり、特に表記のない限り日本野球機構(NPB.jp)と巨人ファンのデータサイト「my favorite giants」の統計データを用いている。そして、本書の内容は全て自分の個人的な見解である。

目次

はじめに

第1章 「球界の盟主」のブランド力
巨人軍ブランド/シーズンを「捨てられない」ことによる高い視座/「当たり前」のハードルが高いからこそ厳しい評価を受ける/ピークは短かったが実力はピカイチだった長野久義/馬力とポテンシャルは抜群だった澤村拓一/「トップとしての責務」によって伸びる個人/どのカテゴリーにも通じる「勝者のメンタリティ」/大阪桐蔭と巨人の共通点/原監督と西谷監督の価値/巨人在籍選手の引退後

第2章 近現代巨人軍の哲学   
タイトルホルダーはエースの必須条件/「第●代4番」の独自名称/花形の「4番サード」/小久保と「オガラミ」の大きな功績/丸佳浩が巨人にもたらしたもの/丸がソフトバンク投手陣を打つには/期待外れに終わった移籍戦士たち/改善され始めた補強と補完/「再生工場」としての一面も/「ヤンチャ」な選手の必要性/原辰徳が「原イズム」を確立するまで/長嶋が育てた松井/長嶋と原の二人が育てた阿部、原が育てた坂本/逆説的にスモールベースボールを根づかせた堀内恒夫政権/11年ぶりにBクラスへ転落した高橋由伸政権/典型的な弱いチームに成り下がった2年間/「生え抜き至上主義」の座を奪いかけた星野仙一

第3章 対セ・リーグの争い   
球界を先駆けるパイオニア/セ・リーグ各球団から見た巨人軍/中日と阪神の「二強」に割り込むための苦悩/三つ巴の戦いを制すも慣れなかった短期決戦/2ゲーム差に3チームがもつれる大混戦/内野手出身監督に見る「大局観」/長年の「天敵」だった落合中日/リーグ3連覇の広島に手も足も出なかった3年間/02年:松井と上原を投打の軸に球界を圧倒/08年:「メークレジェンド」完結/09年:主軸の「オガラミ」&若武者の坂本、松本、亀井の融合/12年:長野、坂本、阿部の生え抜きコア形成/13年:投打の層の厚さと進化した「スコット鉄太朗」/14年:数字だけでは見えない勝負強さが光る/20年:何度も見られた「終盤力」の高さ/原監督が貧打のチームを優勝させた年の共通項/異なる形での連覇

第4章 巨人軍21世紀スター選手論   
巨人にこだわって他球団を拒否した男たち/松井秀喜:日本人最後の50本塁打を達成し、ヤンキースの4番に/坂本勇人:「歴代最高遊撃手」へのキャリアを積み重ねる現巨人の象徴(初期〜中期)/坂本勇人:「歴代最高遊撃手」へのキャリアを積み重ねる現巨人の象徴(中期〜現在)/坂本の打撃スタイルの変化と今後の課題/名手・坂本がいつか遊撃手ではなくなる日/花形かつ負荷の高い遊撃手のコンバート遍歴/岡本和真:柔と剛を備える令和の巨人軍4番/他球団の高卒選手たち/高橋由伸:怪我に泣かされた「ガラスの天才」/上原浩治:先発から抑えまでこなした超一流/阿部慎之助:名実ともに巨人軍歴代最高の捕手(初期〜中期)/阿部慎之助:名実ともに巨人軍歴代最高の捕手(後期〜引退後)/菅野智之:器用かつ多彩なスーパーエース/他球団の大卒選手たち/松井、阿部、坂本と高橋由伸の違い/上原、菅野と内海の違い/チームを優勝に導くタイトルホルダー/スターがいるからこそ引き立つ名脇役たち/元祖育成の星、山口鉄也/今後の巨人に出てきてほしい選手たち/セイバーメトリクスの時代でも見逃せない「打点」の価値/ラミレスが「真の4番」だったわけ

第5章 対パ・リーグの研究
ソフトバンクに惨敗した日本シリーズ(19年)/ソフトバンクに惨敗した日本シリーズ(20年)/役者揃いのソフトバンク/セ・リーグへの環境最適化から脱せよ/交流戦でソフトバンクに勝ち越した
17年に眠るヒント/原巨人の交流戦勝ち越し=リーグ優勝のカラクリ/横綱野球と試合巧者の融合/PPM理論で考える戦力移行/小久保と松中が衰えた00年代後半の反省/MLBでも通用するレベルだった20年のソフトバンク/巨人がレベル差を埋めるためにやるべきこと

第6章 球団経営と選手育成の変革
前衛と後衛のバランスを持つ原辰徳/監督以外の陰の功労者たち/名将のそばに名参謀あり/球団経営には惜しまず金を費やすべき/10年代後半から変化した育成方針/変わる助っ人外国人事情/巨人からメジャーへ輩出される選手たち

第7章 王朝復活への展望
20年シーズンの振り返り(選手)/20年シーズンの振り返り(采配・運用)/中長期的な課題は次なるコアの形成/速くなり続けるストレートと鋭い「スラット・スプリット」/未来のスーパーエースへ、戸郷翔征/要チェックな若手・中堅選手たち(投手)/要チェックな若手・中堅選手たち(野手)/阿部と坂本の後継者問題/巨人軍ベストナイン(00年代)/巨人軍ベストナイン(10年代)/コロナ禍で行われた20年シーズンの回想と今後の考察/データを超えた感性の時代へ

おわりに
巻末付録 21世紀のセ・リーグ順位表と個人タイトル 



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