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ゴジキが振り返る2021年シーズンの巨人軍【7月&後半戦開幕カード】(投手編)

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
オリンピックと甲子園の熱狂に視線が集まる中、プロ野球も後半戦がスタート。巨人は首位の阪神を1.0ゲーム差と射程圏内にとらえています。逆転優勝なるか、後半戦に向けた方針を考察してもらいました。

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阪神キラーの高橋優貴・CCメルセデスをぶつけて阪神を猛追

7月の阪神との首位攻防3連戦では、阪神戦を得意とする高橋優とCCメルセデスをローテーションに回したことが幸いして、ビジターながらも勝ち越した。

今シーズンの巨人の先発陣では高橋が4月から大活躍を見せて、リーグトップの9勝を挙げている。オールスターでも初戦の先発を任されるなど、自身のキャリアハイとい言ってもいい活躍ぶりだ。球速はあまり速くなく、かといって「数字以上に打者の手元でストレートがピュッと伸びている」というわけではない。

しかし、一般的に遅いと言われる球質だからこそ、その特性を活かして打者を抑える点に特徴のある投手だ。ストレートの球速感とスライダーのそれのギャップが少ない上、スライダーやスクリュー(チェンジアップ)の軌道が他の投手と比較すると特殊がゆえに抑えることができている。

その高橋、今季の対阪神戦は4戦4勝で防御率も1.08、甲子園では19イニング無失点と脅威の成績を残している。阪神打線の中軸である大山悠輔を11打数無安打、ジェリー・サンズを9打数無安打と一切打たせず、パーフェクトに抑えている。さらに、チームに流れを引き寄せる選手でもあるスーパールーキーの佐藤輝明に対しても9打数2安打で、長打を一本も許していない。後半戦も、高橋が阪神相手にこのようなピッチングを続けられると、逆転優勝に近づいていくだろう。

メルセデスも、怪我から復帰した今シーズンは素晴らしい活躍を見せており、覚えている方も多いだろうが東京五輪ではフル回転の活躍を見せ、ドミニカ共和国を銅メダルに導いた。メルセデスもまた、阪神戦は元々得意としている。6月の試合では打ち込まれたものの、7月の試合ではしっかりと抑えている。メルセデスの去年までの阪神戦は下記の通りだ。

メルセデスの阪神戦の投球成績
・2020年:2試合 2勝0敗 投球回数15回 防御率1.80
・2019年:4試合 1勝2敗 投球回数18回1/3  防御率2.95
※2019年CS:1勝 投球回数7回 防御率0.00

数字だけでなく投球内容も良く、5回〜6回までしっかりと試合を作り、自軍に流れを引き寄せることができる点を考慮しても、シーズン後半は一層重要な存在になっていくだろう。さらに、今シーズンはこれまで以上にボールに力もあり、前半戦を見た段階では、スタミナ面も成長を感じられる。五輪でのフル回転したことによる疲労面が不安視されるが、逆転優勝には欠かせないピースだ。

イメージとしては、2008年の優勝争いの際に内海哲也(対阪神:8試合  4勝1敗  防御率1.49)とセス・グライシンガー(対阪神:5試合 4勝1敗 防御率1.80)を得意の阪神戦に当てたように、高橋とメルセデスを中心にローテーションを明確にぶつけていくことも一つの戦略だ。阪神は今季好調なものの、これまでの直接対決を見ると、巨人に対する苦手意識をいまだ払拭できていないと見ている。直接対決以外でもしっかりと勝って差を縮め、9月の直接対決で一気に攻め立てていきたいところだ。

後半戦に向けて各選手の役割を整備していきたいブルペン陣

後半戦の開幕カードは、山口俊・メルセデス・戸郷翔征が先発をした。山口俊とメルセデスはしっかりと試合を作り、及第点以上のピッチングをして、上々のスタートを切れたと見ている。だが戸郷は急に崩れてしまい5回を持たずマウンドを降りたため、彼への期待値を含めた上で考えると課題を残したと言える。

ブルペン陣に関しては、桜井俊貴が後半戦から一軍に上がり、ワンポイントから点差が開いた展開での登板で結果を残した。桜井は元々先発投手だったことや、2軍で中川皓太と大竹寛が調整している現状を踏まえると、さまざまな起用法が想定される。前半戦の一時期は中継ぎ陣の無理な起用が目立ったため、桜井のような投手を上手く挟んでいくことがポイントだろう。

前半戦の終盤には整備されてきたブルペン陣だが、7月に疲れが見えてきた高梨雄平の五輪期間による回復具合は気になる。相対的にブルペンの質が上がりつつあることから、無理のない起用をしていきたいところだ。畠世周の使いどころも、まだ確定しないところがあるが、そのポテンシャルを考えても、優先度を引き上げてほしい選手である。

起用法の面では、3戦目に鍵谷陽平から大江竜聖にスイッチしたが、こうした「細かすぎる」継投を今後なくしていくことが求められる。その積み重ねが、シーズン終盤におけるブルペン陣のパフォーマンスに繋がっていくだろう。

中川や大竹といったこの2年の連覇を知るメンバーが今後一軍に昇格していき、高梨や鍵谷、大江といった勝ちパターンからビハインド、火消しまでの役割を一手に担っている投手の負担を軽減できるかも注目である。

休養期間を経てパワーアップしたチアゴ・ビエイラ

そして、前半戦途中からクローザーを任せられているチアゴ・ビエイラ。ここまで圧倒的なピッチングを見せている。オールスターでも自慢の馬力を活かして活躍したが、後半戦開幕カードの初戦では、NPB最速の166km/hを記録しただけでなく、スラッターで空振りを奪うなど、五輪期間の休養を経て、さらにパワーアップした姿を見せた。

直近は25試合連続無失点を記録しており、6月以降は月間単位で見ても失点がない。最後尾から最も計算できる存在として君臨している。シーズン序盤はクローザーを固定できずに勝ちを取りこぼす試合も多かったが、ビエイラから逆算して、後ろからいい投手を並べながら勝ち星を積み重ね、逆転優勝を達成してほしい。


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