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ゴジキが振り返る2021年シーズンの巨人軍【5月】(投手編)

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
2021年シーズンの5月、絶好調の阪神に離されまいと食らいつく月になりました。野手陣に続いて、投手陣の1カ月強を振り返ります。

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エース菅野智之の穴の大きさ

昨シーズン自身2度目のMVPを獲得し、今シーズンも開幕投手を務めて、ブルペン陣が苦しい時期に完封勝利を挙げるなどの活躍を見せていた菅野。そのエースが右肘の違和感で離脱している。

MVPに輝いた昨シーズンの菅野は、2017年や2018年とはまた異なるピッチングスタイルを披露した。投球内容こそ2017年・2018年のような圧倒的なものではなかったが、シーズンの中で見受けられる課題点や試合序盤の課題点を上手く修正した上で試合の流れを作る「ゲームメイク力」は、これまでのキャリアでも飛び抜けていた。

今シーズンも離脱するまでは安定した投球はもちろんのこと、投手陣の「精神的支柱」としての存在感もあった。また、要所でイニングイーターとして完投できる力も他の投手にはない魅力だ。巨人のリーグ3連覇に欠かせない存在である菅野の早期復帰を願っている。

課題は投手運用とブルペン陣の整備

昨シーズンと同様に、今シーズンの巨人軍はブルペン陣の整備や運用に不安がある状況だ。
「本がすき。」に寄稿をしていた昨年から一貫して言っていることだが、起用法における曖昧さは変わらない。勝ちパターンや接戦試合のA級投手と大差試合に投入する投手の区分がなされていないのだ。さらに、今シーズンは9回で試合が終わることから、投手を無駄につぎ込む場面も多々見られる。

具体的に言うと、昨年と同様に中川皓太や大江竜聖といった選手を、登板数の状況や試合展開に関係なく起用していることから、一時的に状態が落ちてきている。しかも、この両選手の場合は怪我のリスクもある。大江はキャンプからオープン戦の時期に離脱しており、中川は主戦力に定着した2019年から定期的に離脱する時期が見られる。また、東京五輪が開催される場合には中川は選出される可能性が高いだろう。より繊細なリスクマネジメントをしてほしい。

さらに、畠世周の中継ぎへの配置転換。はっきり言うと、これは最もやってはいけない起用法だ。菅野が不在の中、先発ローテーションで試合を作れていたのが高橋優貴やエンジェル・サンチェス、畠世周、戸郷翔征だったが、この時期に配置転換をしてもいい方向にはいかないだろう。今シーズン好調だった高橋優に対する起用法も不可解な場面が多く、シーズン終盤に向けてツケが回らないか心配である。

守護神のルビー・デラロサが復帰したものの不安定さが残るため、中川や鍵谷陽平あたりを抑えにしつつ、デラロサは調子を取り戻した後に抑えに戻すという「ワンクッション」を入れないことにも疑問を抱いた。各点差や各場面で投手起用をマネジメントし、ムダをなくしていく意識が、優勝に向けての鍵になっていくだろう。

巨人軍を含めたプロ野球界全体の投手起用における非効率性を鑑みると、全体的な投手起用を改善するだけでもリーグで上位に食い込める確率は高まる。そのため、監督と同様に、それを裏で支える参謀役として担うトップの投手コーチも、年間を通じたマネジメントや試合の中での起用法、コンディション管理、トレーニング、育成等を見る能力が求められる。

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