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まいばすけっとファンクラブ|パリッコの「つつまし酒」#184

まいばすけっとの独自感

 そのことに気づき、大興奮したのは1ヶ月ほど前のことだったでしょうか。その内容とはずばり、「おらが村にもついに『まいばすけっと』がやってくる!」。
 ご存知でしょうか? イオングループのスーパーマーケット、まいばすけっと。たいていの店舗はちょっと小型で、駅から離れた場所にぽつんとあったりすることが多く、そして近年、首都圏を中心にやたらと増えている。
 商品にはイオン系のオリジナルブランド「トップバリュ」のものも多く、そこに賛否両論あることも承知しています。大好きな中川家のYoutubeチャンネルにアップされている「東京で賃貸物件探し」というコントのなかで、中川礼二さん演じる不動産屋さんが、まいばすけっとのことを、「照明が暗い」「これが欲しい、というものがない」「欲しくないものはいっぱいある」「毎回、1周して終わり」などと言いたい放題言っており、その動画には「わかる!」というコメントが多数。かくいう僕もそれを聞いて大爆笑してしまったんですが、それはそれとして、僕はまいばすけっとが好きなんです! あの独自路線がかもしだす、わくわく感が!
 そういえば以前、雑誌の企画で、お酒が大好きだというグラビアアイドルの、和地つかささんと対談をさせてもらったことがありました。その時和地さんが「私、まいばすけっとが大好きなんです!」と言っていて、さらに「シメサバ」「いかそうめん」「ホルモン焼き」などのおすすめを教えてもらったんですが、あれには感動したなぁ。この人、ガチだ! って。
 今年の夏に個人の仕事場を借りはじめるまで、地元にある出版社「スタンド・ブックス」のデスクをひとつ借り、そこで仕事をさせてもらっていました。そのすぐ近くにセブンイレブンがあって、ものすごく便利に使わせてもらってたんですよね。ところが数ヶ月前、突然閉店してしまって、とても残念に思っていたんです。ところがこの夏、しばらく空き店舗だったその外壁に、あの特有の、フレッシュな野菜類などが大きくプリントされた壁紙が貼られはじめた。これは……きっと間違いなく、まいばすけっとだ! 熱い!
 そして先日、ついに地元石神井に、まいばすけっとが誕生したというわけなんですね。いや、厳密に言うと、駅からもっとずっと離れた場所にかろうじて1軒はあったんですが、ぐっと駅近に、しかも比較的大型の店舗ができたというわけで。

この潔いほどのポップ体ロゴが最高

お惣菜&お弁当ディグが楽しい

 それ以来、駅前のスーパーではなくて、わざわざまいばすまで出かけていって買いものをすることも多くなったんですが、まいばすのなにがいいって、やっぱりコンビニを超えた便利さですよ。24時間営業ではなく、朝の7時から夜11時までですが、それでもそんな朝の早くから、精肉とか、野菜とか、そういったものが気軽に買えるのは大きい。
 しかもです。最近、お昼にまいばすのものを買って食べてみるのが楽しくて、それでわかったことに、お弁当やお惣菜類が、失礼ながら想像よりもずっと、ちゃんと美味しいんですよね。
 たとえば「タンドリー風チキンとスパイス香るカレー」。これが、税抜き価格で398円とは思えないほど満足感あり。そりゃあまぁ、たとえばセブンイレブンが最近力を入れている「名店〇〇監修」みたいなシリーズほどの本格派ではないにしろ、チキンがごろごろと入って食べごたえがあり、カレーの味わいも濃厚。しかも、サフランライスなのか、ターメリックライスなのか、とにかく見た目からも食欲をわかせてくれようという意欲を感じる黄色いごはん、これにもしっかりと味がついていて、もう、お昼だっつってんのに思わず缶チューハイを開けちゃうほどの美味しさなんです。

「タンドリー風チキンとスパイス香るカレー」
ちゃんと美味しい!

 あともうひとつ、最近特に気に入ったのが、さっきのカレーと同じ値段の「上海焼きそば」。これまた具沢山で、レンチンではなくフライパンに薄く油をしいてさっと炒め直してやると、香ばしくて酒のつまみに最高。いや〜、まいばすはやっぱり楽しいなぁ!

「上海焼きそば」
ほら、文句のつけようがないでしょう

超豪華まいばす晩酌

 というわけで今日はこれから、まいばすだけで欲望のままにお酒とつまみを買い集め、「まいばす晩酌」をしてやろうと思います。よし、じゃあちょっとまいばすへ行ってくるんで、いったん待っててくださいね!

30分後

 はい、行ってきました! テンションが上がりすぎ、思わずどう考えても買いすぎてしまいました。まぁ、今日は祝いの席だから。地元にまいばすができたことを、人知れずお祝いする会だから。実は朝も昼も食べていないし、もう、今日はこの一食しかとらないくらいの勢いで臨みますよ。それがまいばすへの、自分なりの敬意だ。
 で、買ってきたものはというと、レシートを参考に記載するのですべて税抜き価格で、

・タコシン(228円)
・明太子スパゲティサラダ(198円)
・なんこつ&ガーリックソーセージ(198円)
・数の子松前(298円)
・するめいか糸造り(298円)
・牡蠣のアヒージョ(398円)
・枝豆(148円)
・えんがわ押し寿司(458円)
・若どり軟骨2点盛付焼肉用(228円の30%引き)
・焼酎ハイボール 強烈白ぶどうサイダー割り(150円)
・焼酎ハイボール レモン(150円)

 え〜と、いつもだったらこのなかから、せいぜい1、2品を買ってきてちびちびと飲むくらいなので、どこから触れていいのやら……。
 まずはやっぱり、珍味とか鮮魚系ですよね。なんたってあなた、まだお正月でもないのに、僕の大好物の数の子入りの松前漬けが売っている。これは幸せです。今日は豪華に、その松前漬けに、生のいかそうめんを混ぜてみちゃおうかなと計画しています。

いつでもお正月気分

 あとね、ぜひ伝えておきたいのが、鶏なんこつ! これ、すでに塩コショウで味つけされた2種類の鶏なんこつが1パックになっていて、フライパンでさっと焼くだけでめちゃくちゃいいつまみになるんです。しかも定価が228円で30%引きってさ……。いいんでしょうかね、こんなことがあって。

こいつがつまみに最高

 それからそうだ! 我ら酒飲みが圧倒的に支持する、タカラ「焼酎ハイボール」シリーズ。これをきちんと置いてくれていることが多いところも、まいばすの素晴らしい点。しかも、定番のドライ、レモン以外の限定味なんかも、しっかりとフォローしてくれがちなんですよね。

今日は「強烈白ぶどうサイダー割り」をゲット

 ではさっそくやっていきましょう。もう、ぶどうのほうのチューハイをぷしゅりと開けてしまって、そいつをキッチンでちびちびやりながら。
 まずはさくっとと鶏なんこつと、一緒に、こないだ「家オクトーバーフェスト」を開催した時に見つけて気に入った、「なんこつ&ガーリックソーセージ」も焼いちゃいましょう。

ジューッ!

 焼き終わったら、フライパンで5分炒めるだけでいいという手軽さの、冷凍の「牡蠣のアヒージョ」。こいつも温めていきます。お、なんだか思った以上に大ぶりの牡蠣がたっぷりで、これは豪華ですね〜。

これで398円 !?

 など、下準備ができたら大きなプレートにすべてを盛って、いざ、まいばす晩酌のはじまりはじまり〜!

壮観だ……
いかそうめんの半分はそのまま、半分は松前漬けとあえて
物珍しくて買ったたこ焼き風スナック「タコシン」とやら

 いや〜、どこから行っちゃおうかな〜、楽しいな〜、そうだな〜、まずはやっぱり、なんこつかな。コリコリ、ぷりぷり、焼きたてで香ばしく、塩加減もちょうどよく、まじでチューハイに合うなこれ。このソーセージもやっぱりうまい。
 大好物の松前漬けは、いかをたっぷり混ぜちゃったもんだから、もはやおせち料理ですね。付属のタレとしょうがを絡めた、いかそうめんのみのほうもいいな〜。コンビニではなかなかこうはいかないよ。
 牡蠣のアヒージョもばっちりうまいし、1本だけのったカニカマがかわいいスパゲティーサラダのほっとする味わいもいいですね。枝豆も箸休めにぴったりだわ〜。
 ん? このタコシンってスナック、球体じゃないんだ。丸まったぬれせんべいのソース味というか? 独特で、これまたいいじゃないですか。

「えんがわ押し寿司」

 ところでまいばすのお弁当コーナーにはよく、穴子や焼きサバなど、数種の押し寿司が並んでいます。名物なのかな。今回、初めてそれを買ってみようと、えんがわをチョイス。
 ごはんの上に敷き詰められたカレイのえんがわは、意外とくせがなくジューシーで、しかも刻んだ大葉が間に挟まれていて、さっぱりと食べられるのもにくい! ただ、みっしりとすごいボリュームで、ぜんぶ食べたら完全にお腹いっぱいです。これはかなりお得な品だ。こんど、他の押し寿司も買ってみよ〜っと。
 というわけで、まいばす様、あらためて、日々のお酒生活に潤いを与えてくれてありがとうございます!


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パリッコ(ぱりっこ)
1978年、東京生まれ。酒場ライター、DJ/トラックメイカー、漫画家/イラストレーター。2000年代後半より、お酒、飲酒、酒場関係の執筆活動をスタートし、雑誌、ウェブなどさまざまな媒体で活躍している。フリーライターのスズキナオとともに飲酒ユニット「酒の穴」を結成し、「チェアリング」という概念を提唱。2021年8月には、新刊『つつまし酒 あのころ、父と食べた「銀将」のラーメン』を上梓! また、『ノスタルジーはスーパーマーケットの2階にある』(スタンド・ブックス)『晩酌わくわく! アイデアレシピ』 (ele-king books)、『天国酒場』(柏書房)、『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』(光文社新書)、『酒場っ子』(スタンド・ブックス)、『晩酌百景 11人の個性派たちが語った酒とつまみと人生』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、漫画『ほろ酔い! 物産館ツアーズ』(少年画報社)、など多数の著書がある。
Twitter @paricco

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