【メイキング大公開!】えんぴつ描き原画からコミックエッセイができるまで
こんにちは、光文社新書の藤です。
最近の私の一押し書籍は『イトウ先生の世界一わかりやすい美術の授業』なのですが(3/25発売、担当書籍!)、今回はその舞台裏を、写真付きで紹介してみようと思います。
ずばり「えんぴつ描き原画がコミックエッセイになるまで」です!
「今回の原画は、えんぴつで描いてみたい」
それは著者・イトウハジメ先生と、お打ち合わせしていた初期の時のこと。
「今回の書籍では、原稿をえんぴつで描きたい」とおっしゃいました。
通常、コミックエッセイや漫画はペンで描かれています。最近では、デジタルのペンで描く方も多いです。
が、今回はアナログの極み・えんぴつに挑戦してみたい、と。作家としての静かな挑戦心を感じました。「ぜひやりましょう」という話になりました。
実際、どうなの? ちょっと、心配…。
懸念されるのが「鉛筆で描いたタッチが、実際の印刷で、どの程度まで再現できるのか?」という点です。そこで本書では、
・最初にえんぴつ描き原稿のサンプルをいただく
・実際に使用する紙の種類を決定&印刷会社さんも決定
・サンプル原稿をもとに、試し刷りしてみる
という作業を最初に行うことに。
私自身、これまでは原稿完成後に、印刷会社さんや実際の紙(本紙/ほんし)を決めることが多かったので、今回はちょっぴりイレギュラーです。
が、大丈夫! 我々には強い味方が付いております。
巻き込まれていく方々
サンプル原稿が届きました(下記、一例です)。
えんぴつのタッチが、あたたかくて素敵です…!
さてこれが届く数日前に、わたくしめ、腕利きのデザイナーさん(※味方1)にお仕事をお願い済みでございます。事情を話し、イレギュラーですがいきなり紙のセレクトをお願いしました。その紙が予算的にOKか社内担当部門に確認し…、いざ印刷会社の営業さん(※味方2)へ!
「えんぴつの原稿ですか、いいですねぇー!」
という、どーんと来いな姿勢で、試し刷りをしていただくことに。
印刷見本、できました!
数日後、こんな感じででてきました。
ごく初期のモノで、各所を回っているため、かなりぼろっぼろですが…。印刷見本の一部です。
これをイトウ先生にも見ていただき、「OKです!」とありがたいお返事。
原稿を進めていただきます。
束見本、できました!
原稿の総ページ数が見えてきましたら、束見本(つかみほん)を作ります。これは実際に書籍で使用する紙&実際のページ数で「試しに作ってみよっか」と、書籍のカタチにしたものです。こんな感じの、無地の冊子です。
「束」とは背表紙部分のことで、本書は束幅「14ミリ」ほど。
書籍に使う紙も種類豊富でして、ざっくりとですが、「ぱきっと白系」や「温かみのあるクリーム系」などございます。今回は手書きのえんぴつが映えるように、後者の系統で選んでいます。
原稿、入稿、初校、再校
原稿がまとまりましたら、印刷会社に渡します(入稿)。
数日で最初の印刷物(初校)が出てきまして、細かい修正を加え、もう一回印刷物を出してもらいます(再校)。下記写真は、再校です。
校了、白焼き、刷り出し
校了(原稿への加筆修正、終了!)となりますと、印刷会社さんのほうで、書籍のカタチに近い状態の「白焼き」というものを作ってくださいます。
これ、何がスゴイって、大きな紙に片面印刷されたものを、手作業で切り張りして、書籍と同様に作り上げているとのこと。
なので、ほんのり糊の香りがします…。
こんな感じで、片面印刷済みの紙を糊で張り付けて、書籍のページっぽくしてくれています。糊がない箇所は空きもアリ。細かい作業に日々感謝です。
白焼きで、製本時の異常などないかをチェックしていただき、実際の印刷&製本…となります。
さらに印刷会社さんは、印刷が始まると、その中の一部をサンプル的に持ってきてくださいます(刷りだし、と呼んでいます)。
左から「束見本」「刷り出し」「白焼き」です。
「束見本」と「刷り出し」は厚みが同じです。「白焼き」だけ、ちょっと分厚いです()。
原画の良さ、でてますでしょうか?
さて、「刷り出し」に寄ってみましょう。
実際の印刷物…、いい感じに仕上がっていますでしょうか?
その他、オビやカバーの印刷物も続々と上がってまいりまして、すべてをチェックし終えて、一冊の本になります。
下記写真は、オビの刷りだしです。鮮やか!
以上、ざっくりとですが、原画から書籍になるまで(弊社編)でございました!
※各社のやり方があるかと思いますので、本書に限っての「作り方」ということで、ご紹介してみました!
気になった方は書籍の方も、ぜひチェックを!
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本書より 先行公開『ゴッホ最期の一日』 記事一覧
・第1弾 自殺?他殺?いまだ謎のゴッホ「最期の一日」
・第2弾 ゴッホの絵は生前に評価されなかった?
・第3弾 諸説あり!ゴッホの「絶筆」について
・第4弾 「ゴッホ最期の一日」エンディング