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フレッシュネスバーガーで飲めばいいじゃない|パリッコの「つつまし酒」#205

モスバーガーにビール!?

 あれは昨年末のことだったかな。確かにこの目ではっきりと見たんですよ。絶対に嘘じゃないんですよ。信じてもらえます?
 いや、なにを見たかってね。あのね、その日は確か土曜日で、たまには家族で、お昼に「モスバーガー」でも食べよっかという話になって、僕が代表してテイクアウトをしに行ったんですよ。それでね。あらかじめネットで注文しておいた商品を受け取る時に、レジの横に、確かに「ビール」のメニューがあったのを見たんです。えー! モスバーガーってビール飲めたんだ! と。
 僕、ハンバーガー大好きなんすよ。しかも、ハンバーガーってビールにめちゃくちゃ合うじゃないですか。なんでどこのハンバーガーチェーンにも置いてくれないんだろうか? と、疑問に思ってたんですよ。そりゃあ、テイクアウトしてきて酒のつまみにすることはできるけど、やっぱり店内でできたてをとなると、スペシャル感が違うじゃないですか。それで大いに興奮して、その数日後の夕方、ひとりひそかにモスバーガー飲みをしてやろうとお店に行ったんです。で、レジでモスバーガーとポテトを注文し、当然「それとビールもお願いします!」と伝えますよね。すると、対応してくれていたのが新人のアルバイトっぽい女性の店員さんだったんですが、なんと言ったと思います?
「え!? ビ、ビ、ビ、ビ、ビ、ビールですか……!?」
 ですよ。そんなものが当店にあると思ってるのかと。ものすごい非常識なアル中野郎が店に乗り込んできたぞと。まるでそんなふうに言わんばかりの勢いだったもんで、僕も急に自信がなくなって「あれ? こないだメニューを見た気がするんですけど……あ、ありませんでしたっけ?」なんて取り乱しちゃって。それで店員さんがベテランの社員さんっぽい方に確認してくれたんですが、「あ、今はクリスマス限定メニューになってまして提供してないんですよ〜」的な返答があったんです。
 で、その後モスバーガーの前を通るたび、まるで金ピカのトランペットにあこがれる少年のように店内を覗いていたんですけどね。一向に復活しないんですよ。メニューにビールが。もうなんか、だんだんあれは自分の見間違えだったんじゃないかと思うようになっちゃって。
 実際のとこ、あれってなんだったんですかね? わかる人います? モスバーガー事情に詳しい方で。

まさかのキャンペーン

 前置きが長くなりました。そんな折、地元の「フレッシュネスバーガー」の前を通ったら気がついたんです。普通にビール置いてるじゃん! と。つまりはこういうことだったんですよ。
 モスバーガーにないならフレッシュネスバーガーで飲めばいいじゃない!
 つーわけで、さっそくやって来ました。フレッシュネスバーガー。するとですね。店の前に掲示されているメニューに確かにある。「生ビール」(420円)、「瓶ビール」(450円)の2種類。喜び勇んで店内へ。するとですね。疑いましたよ。我が目を。だってさ、この世でいちばん嬉しいキャンペーンが開催中だったんですもん! なんと「ビアーキャンペーン」。あのアサヒの「マルエフ」が、1杯なんと190円!

まじか!
ありがとう

 さっそくその恩恵に預かりつつ、さておつまみ、というかハンバーガーはどうするか。マクドナルドやモスバーガーよりはあまりなじみのないチェーン店。ここはオーソドックスな「フレッシュネスバーガー」か? と思いきや、なんだか妙に気になる期間限定バーガーを見つけてしまいました。「パクチーチキンバーガー グリーンカレー」と「パクチーチキンバーガー トムヤムクン」。どっちもひとつ590円なんだけど、パクチーを3倍にできて、それだと690円! パクチーってな〜、なんなんだろうな〜、あの、たまに心身が無性に欲する感。よし、今日はパクチー3倍バーガーで攻めるか! え〜と気分は、トムヤムクンのほうで!

「パクチーチキンバーガー トムヤムクン」と「北海道産フライドポテト R」(340円)

ワールドスパイス最高

 いやまぁ、あとはもう好きに飲み食いすればいいだけなんですけども、フレッシュネスバーガーって素晴らしいですね。まず、あっつあつジューシーなチキンバーガーがうまいにもほどがある。そこに特製のトムヤムクン味ソースがすごく合ってるし、大量のパクチーが嬉しすぎる。

うますぎる……。

 さらにポテトなんですけれども、これはどこの店舗にもあるのかどうかは不明なんですが、お店のなかに「ワールドスパイス」というコーナーがあって、そこに9種類もの一風変わった調味料が置かれているんですよね。それを自由に使っていい。ひととおり使ってみたんですが、これが楽しいんですよ。

このホスピタリティーが
嬉しい

 柚子胡椒×タバスコの「ゆずすこ」やメキシコの「チョルーラ ホットソース」とポテトの相性は言わずもがな。めっけもんだったのが「イタリアンウェイ 白トリュフ」というオイルで、これがすさまじくポテトのつまみ力を高めてくれるんですよね。あ〜、楽しすぎる! フレッシュネスバーガー!

トリュフ風味のポテトがうまい

 で、もうお腹はだいぶ満足なんだけど、なんせビールは1杯190円だし、もうちょっと飲みたいな〜、なんつって、「ヨルカフェ」限定メニューなんてのを見つけ、これがまたつまみにちょうどいい。

「ヨルカフェ」メニューから
「レッドホットチリチキン」(300円)

 というわけでして、つまりなにが言いたいかというと、今まであまり縁のなかったフレッシュネスバーガーがだいぶ好きになってしまった、というお話でした。
 ビアーキャンペーンがやっている7月17日までの間、行きまくらないとな〜。


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パリッコ(ぱりっこ)
1978年、東京生まれ。酒場ライター、DJ/トラックメイカー、漫画家/イラストレーター。2000年代後半より、お酒、飲酒、酒場関係の執筆活動をスタートし、雑誌、ウェブなどさまざまな媒体で活躍している。フリーライターのスズキナオとともに飲酒ユニット「酒の穴」を結成し、「チェアリング」という概念を提唱。2021年8月には、新刊『つつまし酒 あのころ、父と食べた「銀将」のラーメン』を上梓! また、『ノスタルジーはスーパーマーケットの2階にある』(スタンド・ブックス)『晩酌わくわく! アイデアレシピ』 (ele-king books)、『天国酒場』(柏書房)、『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』(光文社新書)、『酒場っ子』(スタンド・ブックス)、『晩酌百景 11人の個性派たちが語った酒とつまみと人生』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、漫画『ほろ酔い! 物産館ツアーズ』(少年画報社)、など多数の著書がある。
Twitter @paricco

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