シーズンを占う交流戦。原巨人のこれまでを振り返る
熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
25日から、2年ぶりにセ・パ交流戦が開催されます。両リーグの格差が続く中、巨人にとっては大きなチャンスでもあります。これまでの原巨人の交流戦を振り返り、その重要性を考察してもらいました。
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これまでの原巨人の交流戦実績と傾向
これまでの原巨人の交流戦実績を振り返ると、11シーズンのうち7シーズンで勝ち越している。特に2006年以降の原第二次政権序盤では、2連戦形式という交流戦のシステムを上手く活用していた。従来のシーズンではいわゆる「裏ローテーション」が回るところ、交流戦では極力、エース級の投手をパ・リーグの球団に当てていたのだ。
2008年はイニングイーターの内海哲也やセス・グライシンガーを中心に、変則左腕のエイドリアン・バーンサイドを登板させる形で交流戦をこなし、低迷していたチームが浮上する要因となった。また、野間口貴彦もダルビッシュ有(当時・日本ハム)相手に貴重な勝利を挙げた。続く2009年も内海はもちろんのこと、グライシンガーやディッキー・ゴンザレス、高橋尚成を中心にローテーションを回して勝ち越した。2012年は苦手のソフトバンクに対して新加入の杉内俊哉をはじめ内海、澤村拓一と言った投手を当てて4戦4勝するなど、パ・リーグを圧倒したシーズンでもあった。
2連戦形式最後のシーズンとなった2014年は優勝を果たし、この交流戦でも最下位に終わった広島と11位の阪神に差をつけられたことがシーズンを左右したのは間違いない。個の交流戦で特に活躍したのが投手の小山雄輝、野手の亀井善行である。小山は交流戦優勝を決めたソフトバンク戦を含む3勝0敗防御率1.33の成績を残し、交流戦優勝に大きく貢献。亀井は打率.356 3本塁打 10打点の成績を残しMVPに輝いた。
3連戦形式になってからは、2019年に勝ち越しをした。松井裕樹を打ち砕いた楽天戦などから見られた意外性のある勝利はもちろんのこと、交流戦前の強さをそのまま発揮できた。その調子のまま、交流戦最後の対戦カードとなったソフトバンク戦まで優勝争いがもつれる激戦を繰り広げた。
交流戦で大きく変わるシーズン全体の成績
原巨人は、パ・リーグと対戦する交流戦で勝ち越したシーズンは全て、リーグ優勝している。そもそも交流戦の優勝自体を複数回成し遂げているセ・リーグの球団は巨人のみだ(しかも、いずれも原監督時代である)。同一リーグの対戦がない期間に他球団とのゲーム差を広げることが、リーグ制覇に繋がっているのだろう。
長らくセ・パ格差が叫ばれる中、ワンランク上の相手であるパ・リーグの球団に渡り合えていることも大きい。先述したように、2012年は2連戦形式を上手く活用して内海、杉内、澤村、デニス・ホールトンを中心に豪華なローテーションを回して優勝を果たした。内海はMVPに輝き、杉内も日本生命賞を獲得するといった盤石な先発陣だった。さらに、澤村もソフトバンク戦で試合中盤までノーヒットピッチングをする活躍を見せた。この年は、投打ともにパ・リーグの球団が相手でも圧倒できる実力があった。
2020年シーズン終了段階で、交流戦の成績で上位6球団の中に名を連ねるセ・リーグの球団は巨人のみである。勝率に関しても巨人以外は5割を切っているのが現状である。こうした数字を見るだけでも、交流戦はセの他球団との差を広げる、あるいは縮めるために最も効率的なタイミングであることがわかる。
短く見積もっても、おそらく今後5年程度は引き続きパ・リーグが交流戦の上位を占める可能性が高いと推測する。その中で巨人は互角以上に渡り合うことができるか。シーズンのターニングポイントになることは間違いない。