「政教一致の独裁国家」で庶民はいかに生きるのか?|高橋昌一郎【第43回】
腐敗した政権下における庶民の生活アメリカに留学していた頃、イラン人留学生のパーティに招かれたことがある。白亜の豪邸で、高価なペルシャ絨毯が敷かれた部屋には、シャンデリアの下にアンティーク家具が無造作に並べられ、食事は一流レストランから運ばれてくるケータリングで、ボーイが飲み物を注ぐ贅沢なパーティである。イラン革命後、パーレビ国王と多くの側近がアメリカに亡命したが、この留学生は大臣クラスの亡命者の長男だった。完全にアメリカナイズされた服装で、とてもイスラム教徒には見えない。彼は