高齢の親と関わらなかったことを悔いる子世代――親の「大丈夫、心配いらん」を信じた結果|春日キスヨ
関わらなかったことを悔いる子世代
「離れて暮らしていたから」という理由で、親の苦境を知らないまま、深く関わることなく、親の死を迎えることは、子どものその後の人生に重い悔いを残す。
親と遠く離れて暮らし、最近親の死に目に会った2人の女性は言う。2人ともケア関係の職場で働く人である。
長寿期夫婦世帯が増えるなか、妻が先に倒れ、夫として介護を担う男性が増えている。JYさんの父親のように社会から孤立し、介護サービスの利用も拒み、頑張った末に、妻より先に逝ってしまう。こうした話はよく聞く話である。
ケア職に従事するIKさん、JYさんも、仕事柄、こうしたケースが「いまの時代、多い」ことは知識として知ってはいた。
しかし、それが自分の両親の暮らしと実感的に結びつかず、親を思う気持ちを持ちながらも、強引にでも親の暮らしに介入する機会もないまま、親の訃報を聞いている。
こうしたことを考えると、親の側の「子どもに迷惑をかけてはいけない」という「遠慮」、子どもの側の「大丈夫だろう」という「油断」で成り立つ親子関係を、このままにしていてよいのだろうか。
今後、長寿期の親と離れて暮らす人がさらに増えていくなか、別の形に新たに組み替えざるをえないのではなかろうか。では、どういう形にすればいいのだろうか。
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以上、光文社新書『長寿期リスク――「元気高齢者」の未来』(春日キスヨ著)の第1章「長寿期在宅「ひとり暮らし」「夫婦二人暮らし」の危機」より抜粋してお届けしました。
長年にわたる聞き取りを元に、長寿期在宅高齢者に起こっている問題を丁寧に描きます。
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