光文社新書

光文社新書の公式noteです。創刊は2001年10月17日。光文社新書の新刊、イベント情報ほか、既刊本のご紹介や連載をアップしていきます。お気に入りの一冊について書いていただいたnoteを収録するマガジン「#私の光文社新書」では、随時投稿をお待ちしています!

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光文社新書の公式noteです。創刊は2001年10月17日。光文社新書の新刊、イベント情報ほか、既刊本のご紹介や連載をアップしていきます。お気に入りの一冊について書いていただいたnoteを収録するマガジン「#私の光文社新書」では、随時投稿をお待ちしています!

マガジン

  • 高橋昌一郎の「視野を広げる新書」

    知的刺激に満ちた必読の新刊「新書」を選び抜いて紹介。あらゆる分野の専門家がコンパクトに仕上げた新書で、多種多彩な世界に「視野」を広げます。

  • 馬場紀衣の「読書の森」

    書物の森は、つねに深いものです。林立する木々のあいだで目移りするうちに、途方に暮れてしまうことも珍しくないでしょう。新刊の若木から、自力では辿り着けない名木まで。日頃この森を渉猟しているライター・馬場紀衣さんの先導に添いながら、「読書の森」の深遠に分け入ってみませんか。

  • 90年代論|佐々木敦

    90年代について考えてみたいと思います。

  • 辛酸なめ子の「大人の処世術」

    「巧みな世渡り」の3歩手前。辛酸流「なんとかやっていく技術」。だいたい月1回のペースで、ゆっくり世界に溶け込んでいく予定です。

  • 酒場ライター・パリッコの「つつまし酒」

    人生は辛い。未来への不安は消えない。世の中って甘くない。 けれども、そんな日々の中にだって「幸せ」は存在する。 いつでもどこでも、美味しいお酒とつまみがあればいい――。 混迷極まる令和の飲酒シーンに、颯爽と登場した酒場ライター・パリッコが、「お酒にまつわる、自分だけの、つつましくも幸せな時間」について丹念に紡ぐ飲酒エッセイ、待望の連載再開!

ウィジェット

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    在宅緩和ケア医が出会った 「最期は自宅で」30の逝き方 (光文社新書)

    髙橋 浩一
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    日本のヴァイオリニスト 弦楽器奏者の現在・過去・未来 (光文社新書 1292)

    本間 ひろむ
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    日本のクラシック音楽は歪んでいる 12の批判的考察 (光文社新書 1290)

    森本 恭正
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    「生命の40億年」に何が起きたのか 生物・ゲノム・ヒトの謎を解く旅 (光文社新書 1291)

    林 純一

リンク

高橋昌一郎の「視野を広げる新書」

知的刺激に満ちた必読の新刊「新書」を選び抜いて紹介。あらゆる分野の専門家がコンパクトに仕上げた新書で、多種多彩な世界に「視野」を広げます。

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  • 43本

「政教一致の独裁国家」で庶民はいかに生きるのか?|高橋昌一郎【第43回】

腐敗した政権下における庶民の生活アメリカに留学していた頃、イラン人留学生のパーティに招かれたことがある。白亜の豪邸で、高価なペルシャ絨毯が敷かれた部屋には、シャンデリアの下にアンティーク家具が無造作に並べられ、食事は一流レストランから運ばれてくるケータリングで、ボーイが飲み物を注ぐ贅沢なパーティである。イラン革命後、パーレビ国王と多くの側近がアメリカに亡命したが、この留学生は大臣クラスの亡命者の長男だった。完全にアメリカナイズされた服装で、とてもイスラム教徒には見えない。彼は

なぜ「死にたい」とネットに書き込むのか?|高橋昌一郎【第42回】

「死にたい」が綴られた143のサイト2023年4月13日午前4時前、制服を着た女子高生2人が手を繋いで裸足で立っている動画がTwitter(X)に配信された。2人が携帯カメラの前に立っている場所は、千葉県松戸市の巨大複合マンション最上階10階のテラス端である。 一人が「怖い、怖いよ」と何度か繰り返すが、もう一人が励ますように「大丈夫。行こう」と言う。そして「せーので行くよ」と叫び、「せーの」の掛け声で2人は後ろ向きに倒れて姿が消える。数秒後に「ドシッ」という地面との衝突音が

ネット社会における「世論」とは何か?|高橋昌一郎【第41回】

「ネット世論」は「世論」ではない古代ギリシャ哲学者プラトンの「洞窟の比喩」によれば、人間とは、洞窟の中で暗い壁の方向しか見えないように縛られた囚人のようなものである。洞窟の外では太陽が光り輝いていて、そちらは「イデア」の世界である。ところが、洞窟の中にいる人間は、入ってきた光の影が壁に映るのを見ることしかできない。人間が認識するのは、イデアの「影」の世界にすぎないというのである。 たとえば「完全な正三角形のイデア」は、人間が直接見ることができない洞窟の外にある。人間がいくら

なぜ「ナチズム」が台頭したのか?|高橋昌一郎【第40回】

ワイマル共和政の終焉1934年8月2日、ワイマル憲法下のドイツでは、パウル・フォン・ヒンデンブルク大統領の死去により、アドルフ・ヒトラーに首相権限に加えて大統領権限が委譲された。8月19日に実施された国民投票では、ヒトラーを最高指導者としての「総統(Führer)」と認める賛成票が89.9%(投票率95.7%)で可決された。ここにワイマル共和政は崩壊し、ヒトラーの完全な独裁体制が成立した。 この結果だけを見ると、ドイツ国民は「民主的」な選挙によって「独裁制」を自ら選択したと

馬場紀衣の「読書の森」

書物の森は、つねに深いものです。林立する木々のあいだで目移りするうちに、途方に暮れてしまうことも珍しくないでしょう。新刊の若木から、自力では辿り着けない名木まで。日頃この森を渉猟しているライター・馬場紀衣さんの先導に添いながら、「読書の森」の深遠に分け入ってみませんか。

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  • 67本

読書入門|馬場紀衣の読書の森 vol.66

読書ほど孤独な営みはないと思う。本を読んでいる人は静かだ。本が開かれている時、彼らはここではないどこかにいる。どこか、手の届かない場所に。この本を読んで、そんなことを考えた。 私は、からだ、というものにずっと惹かれているのだけれど、読書はまぎれもなく身体的な経験だと思う。表紙をめくるときの指先の感覚、紙の手触り、文字を追う眼の動きやページの擦れる音。そして、匂い。じっさい、古い本と新しい本とでは匂いがまるでちがう。本の一冊一冊が、まるで一人一人の人間のように孤立している、と

ルポ 筋肉と脂肪|馬場紀衣の読書の森 vol.65

いつも、すこしだけ空腹でいるように意識している。一日に三度も食事をする(というのがどうやら一般的らしい)というのがせわしなくて、私はしょっちゅう食事のタイミングをのがしてしまう。だから空腹状態という食べすぎの現代人にはちょうど良い習慣も、健康のため、美容のため、総じては自分のためにしてあげられる「健康的な選択」というよりも、なにしろ生きていくので精一杯なので、ふと気がついた時にはエネルギーが底をついているという状態なのだ。なにか食べなくては、と、とりあえず消化の良いものを選ん

黒の服飾史|馬場紀衣の読書の森 vol.64

毎朝クローゼットから服を選ぶとき、どんなデザインの服を着るかよりも先に私の頭にうかぶのは、何色の服を着るか、だ。それが赤なのか青なのか黄色なのかでその日の気分が決まってしまうので、真剣にならざるをえない。ごく個人的に言って、何色の服を着るかは、これから始まる長い一日をどんな気持ちで迎えるかを決める至極重要な儀式なのである。 他人のクローゼットを片っぱしから開けてまわるなんて失礼なことはできないので、実際のところは分からないのだけれど、想像するに、誰のクローゼットにも必ず一着

股間若衆|馬場紀衣の読書の森 vol.63

信号機も電信柱も看板も街のなかにあるものはすべて街のなかにあるものらしく、その場所に馴染んでいるように見える。晴れの日も曇りでも風が強く吹いていても、そこにあるのが当然という雰囲気でそこにあり、そこにあることで安心感すら与えてくれるものたち。街を街らしくするための小道具はたくさんあるけれど、その中でも裸体彫刻というのは、すこし異質な存在だなと常々思っていた。 それはおそらく、この人たち自身(裸体彫刻)が困っているようにもとぼけているようにも見える表情をしているせいだと思う。

90年代論|佐々木敦

90年代について考えてみたいと思います。

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  • 5本

ポスト・ポストモダンの文学|佐々木敦『90年代論』第5回

80年代の文学 90年代の文学は、80年代とはかなり異なったものであったと言えます。デケイドは――特に日本の場合は――直前の十年間からの転換、しばしば反転を志向する(あるいは見出そうとされる)傾向があります。「もはや○○年代ではない!」ということです。文学にかんしても基本的には同じで、90年代の文学シーンには百花繚乱だった80年代とは色々な面で違った価値観や特色が求められる空気があったと思います。  80年代を代表する作家といえば、まず何といっても村上龍と村上春樹の「W村上

戦争・音楽・演劇|佐々木敦『90年代論』第4回

戦争が始まった イラン・イラク戦争(イ・イ戦争/1980年~1988年)によって軍備を飛躍的に増強させたイラクは、経済的には窮状に陥っており、原油価格の大幅下落を惹き起こしたのはOPEC(石油輸出国機構)の制限を超えて原油を過剰生産しているクウェート(とアラブ首長国連邦)だとして批判、するとクウェートはイラクにイ・イ戦争時の400億ドルの借款の返済を要請し、二国の間で一挙に緊張が高まります。1990年8月2日、イラクがクウェートに攻め入ります(クウェート侵攻)。イラクはクウェ

「渋谷系」とは何だったのか?|佐々木敦『90年代論』第3回

フリッパーズギターの登場  1987年、当時はまだ10代だった5人の若者がバンドを始めます。名前はロリポック・ソニック、東京都内のライブハウスに出演して少しずつ存在を知られるようになり、カセットで音源をリリースしたのち、バンド名をフリッパーズ・ギターに改名、レコード会社ポリスターと契約し、1989年8月にアルバム『three cheers for our side~海へ行くつもりじゃなかった』でデビューしました。このアルバムは当時の日本のバンド、それも新人の一作目としては極め

バブル崩壊と「J-POP」の誕生|佐々木敦『90年代論』第2回

バブルは本当に崩壊したのか? まず、あらためて確認しておきましょう。日本のいわゆる「バブル景気」が弾けたのは、1990年3月の総量規制が引き金だとされています。90年代が始まって2ヶ月ほどしか経っておらず、ほんの少し前まで日本経済は栄華を極めていたわけですから、バブル崩壊を証し立てる事象はすでに続々と出てきていたのにもかかわらず、多くの人々にとって、戦後最大の好況期であった「80年代」は続いていました。多少雲行きが怪しく見えたとしても、たぶん大丈夫、まだまだいけると皆が漠然と

辛酸なめ子の「大人の処世術」

「巧みな世渡り」の3歩手前。辛酸流「なんとかやっていく技術」。だいたい月1回のペースで、ゆっくり世界に溶け込んでいく予定です。

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  • 15本

どうする、老眼|辛酸なめ子

第六感が磨かれます 40代に入った頃から、かすみ目や疲れ目などに悩まされるようになりました。もともと遠視や乱視があり、目があまり良くなかったのですが、気合いでなんとか見ていました。それが、年を重ねるごとに無理がきかなくなってきたようです。もしかしたら、外界のものばかりに目を向けず、自分の内側を見つめる、というフェーズに入ったのでしょうか。  同年代の友人と集まると、薄暗いレストランで料理を頼もうとしてメニューが読めない、ということがよくあります。値段もよくわからないまま高い

「自己肯定感高い系」の人たち|辛酸なめ子

「人生100年時代」の後半へ 人生100年時代と言われていますが、後半になって焦燥感にかられてきました。インスタを見て、意識高い系や能力開発系のセミナーを見つけるたび、ついクリックしてメルマガ登録したりオンラインセミナーを受けたりしています。  今の自分に足りていないのは、英語力や人前で自分の考えを話すプレゼン能力など……。そこでまず登録したのが「英語で年収1500万円を目指す」という外資系英語力アップスクールのメルマガです。動画を拝見すると有能オーラを放っている日本人女性

日本人の炎上癖|辛酸なめ子

炎上は不安の裏返し 先日、出版社や映画会社に勤める長年の友人たちと食事していた時のこと、最近の炎上ニュースの話題になりました。フワちゃんが芸人のやす子氏に心ない言葉を浴びせた件や、佐々木希氏とジュエリー職人のトラブルなど。  たしかに当事者同士で解決すれば良いですが、そんなにことがシンプルにおさまらなくなってしまったのがネット社会。そして、日本人は世界でも有数のいじわるな国民性だという「週刊現代」の記事を読んだことがあります。日本人は「不安遺伝子」と呼ばれる「セロトニントラ

革新的認知症予防|辛酸なめ子

もの忘れ予防策が覚えられません 年々、悪くなっていく記憶力。固有名詞が出てこないのはもちろん、前日に食べたものもなかなか思い出せません。そんな話をスピリチュアル系の知人にすると「それは瞬間に生きているということですね」と肯定してもらえるのですが、その言葉に甘んじるのも危険な気がしています。  「週刊現代」(2024年7月20日・27日号)の認知症特集を読んだら、日本人は他の国の人と比べて、悲観的で、ストレスをためやすい性質で、認知症を引き起こす「アミロイドβ」が増えやすい、

酒場ライター・パリッコの「つつまし酒」

人生は辛い。未来への不安は消えない。世の中って甘くない。 けれども、そんな日々の中にだって「幸せ」は存在する。 いつでもどこでも、美味しいお酒とつまみがあればいい――。 混迷極まる令和の飲酒シーンに、颯爽と登場した酒場ライター・パリッコが、「お酒にまつわる、自分だけの、つつましくも幸せな時間」について丹念に紡ぐ飲酒エッセイ、待望の連載再開!

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  • 191本

ハイパーきのこ鍋|パリッコの「つつまし酒」#241

ラズウェル細木先生発案の「スーパーきのこ鍋」をごぞんじでしょうか?  なにやらすごい名前だなと。きっと庶民には一生手の届かないような高級料理なんだろうなと。思ってしまうかもしれませんが、さにあらず。  これ、酒飲みのバイブル的漫画『酒のほそ道』の作者、ラズウェル細木先生が提唱した、スーパーで売られている数種類のきのこを使った、きのこが主役の鍋のこと。しめじ、まいたけ、えのき、エリンギ、なめこ、しいたけなどの定番はもちろん、近年は、ひらたけとか、あわびたけとか、はなびらたけとか

秋のおだんご飲み|パリッコの「つつまし酒」#240

屋台飲みの制約 自分でも知らず知らずのうちに心のなかに蓄積されていって、あるとき一気にそれがあふれ出してしまう現象、人生においてたまにありますよね。  いや、別にそんなに深い話をしたいわけではなくてですね、今まさに僕に起こっているそんなあふれが、ずばり“おだんごへの愛”なんです。  これまでの人生において、ほぼ興味を持ったことがなかった。そりゃあ、食べたことがないわけではない。子供のころなんか特に、親が買ってきてくれたみたらしだんごなんかを食べて「うん、美味なるものである」と

豆腐を黒く煮たい|パリッコの「つつまし酒」#239

八丁味噌か 僕が「肉豆腐」という料理を愛していることは、この連載で何度も書いてきました。「肉」と「豆腐」というふたつの食材さえ使ってあれば、その種類も、他に加える食材も、味つけも自由。この世には、家庭や店ごとに無限とも言える肉豆腐のバリエーションが存在する。そんな自由な料理が、肉豆腐なのです。  ところで先日、古い友達で、人気Tシャツブランド「ハードコアチョコレート」の代表、MUNEさんと飲んでいる時にも、肉豆腐の話になりました。そのなかで、「たまに煮込まれて豆腐が真っ黒にな

夢の牛タン三昧カレー|パリッコの「つつまし酒」#238

牛タンの特別性 前々回のこの連載の冒頭で、僕が吉祥寺の駅前で呆然と立ちつくしていたと書いた理由。それが、最近その存在を知ってどうしても行ってみたくなったある飲食店に足を運んでみたところ、自分のうっかりでランチ営業のラストオーダーがぎりぎり終わっており、入れなかったからだったんですが。  え〜今回、そのお店に無事行くことができました。結果、めちゃくちゃ好きでした。満を持して、ご紹介させてください。  そこというのが、牛タンが売りの店なんです。  牛タンって、うまいですよね。焼肉