超絶に憧れた本。|#私の光文社新書
こんにちは、光文社新書の藤です。
今日は私が憧れた本について書きます。
みなさん、バッタは好きですか? 私は割と好きです。特に詳しくないけど『生命体として強そう』と、虫全般に敬意を抱いています。
あと、まじめで一風変わった人って好きですか?
たとえばバッタに食べられたいと思うあまり、研究者になってアフリカに行くような。私は好きです、大好きです。
光文社新書『バッタを倒しにアフリカへ』(著・前野 ウルド 浩太郎さん)は、タイトル通り、バッタを倒しにアフリカにいく話です。
不思議なもので『バッタ』も『倒しに』も『アフリカ』も単語としては既知なのに、一文になったとたん「???」となります。でもそんな疑問符を吹き飛ばす底知れぬ勢いと風を感じます。「バッタ」か「アフリカ」か「倒しに」からくる一陣の風です。熱いです。
もっと知りたい…、聞きたい…、アフリカのバッタのこと!!
本書、カバーが著者近影兼「バッタ」です。著者がバッタなの? 本書を読むと分かるのですが、本当に、著者さんは、真剣に、バッタをやっています。そこに至るまでの道程は、決して決して簡単なものではなかった。だからこそ、バッタ姿の著者さんの生き様に、心から痺れます。
本書、中身がとてつもなく面白いです。ヒラ編集者の立場を忘れ超生意気な事を言えば「こんなにクオリティ高くてバランスもいい本、久々すぎる!!」(※個人の感想です)…です。
専門知識とストーリー展開の、バランスの素晴らしさに感動しました。
『バッタを倒しにアフリカへ』を探せ!(光文社本社ビル入り口にて撮影)
バッタ愛、生命へのリスペクト、青春の日々、アフリカと続く苦難、ともに戦う仲間たち。全てが織りなす躍動感。
著者さんの全身から溢れる知性と感情と魅力が、読みやすい文章で勢い良く一斉に流れてきました。勢い良く、一斉に、です。もう飲み込まれるしかありませんでした。なすすべなく心はアフリカに持っていかれました。
前野先生のツイッターより、サハラ砂漠にて。お名前の”ウルド”とは、モーリタニアで最高の敬意が払われるミドルネーム。現地ボスから前野さんへの、最高の敬意と愛情の証です。
視界いっぱいに広がるのはアフリカ、砂漠の地平線。
すぐ隣には虫取り網?を構えた、前野ウルド浩太郎さん。視線の先には、バッタの一群。農作物を食い荒らす彼らは、ここでは深刻な飢饉を引き起こす”神の罰”であり、駆除の対象なのです。
皆の期待に応えるため、今日もサハラを四駆で飛ばす。我々のすぐ後ろには、著者さんを取り巻くアフリカの愛すべきスタッフたち。(いい奴なんだけど給料ぼったくったりする、愛嬌のある方です)
さあアフリカの夜が明ける、バッタが動く、日が沈む。
答え:木の陰。
読み終えた時、アフリカを著者さんと駆け回った気になり、描かれた全てを思い出してじんわり泣けます。そしてサバクトビバッタの生態に詳しくなっています。
こんな本をいつか作ってみたい! こんな青春の中で生きたい!
と超絶に憧れた、光文社新書、私の一冊でした。