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「原采配」に見える柔軟さと課題

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を徹底分析。今回のテーマは「原采配」。原巨人の柔軟な采配と、最近あらわになっている課題について検討してもらいます。

固定概念にとらわれない柔軟な起用

今シーズンの原采配で話題となった場面は、なんと言っても「投手・増田大輝」の起用である。

8月6日の阪神戦、11対0という大差で負けている展開になったが、巨人は勝ちパターン級の投手を出さずに試合を進めた。そのような中、投手のコマ数が足らなかった場面で本来は野手である増田がマウンドに上がった。この起用法に世間は賛否両論となった。

こうした起用は、投手を無理に使わない手段としてメジャーリーグではよく見る場面である。日本人選手でもかつてはイチローや青木宣親が野手で選手登録されていながらも登板する場面があった。日本はマイノリティで珍しい物事に対する風当たりが強い文化だが、今後はこのような起用法は当たり前の光景になってくると思うし、そうなってほしい。
相手を下に見ているわけではなく、登板過多を避けることが背景にはあり、エンタメ性も含めて今後増えていくべきだろう。

さらに、今シーズンの中盤からは、戸根千明の打力を活かして、一軍ではないものの「二刀流」としての起用もあった。これは、代打で出場させた流れでそのままリリーフとして登板させる起用法も今後あるのではないだろうか。

こうしたポジションの固定概念にとらわれない原監督の起用法は、第一次政権時からも見られている。
例えば、2002年の「代打・桑田」だ。投手ながらも打力に定評のある桑田真澄を代打で起用。その結果、見事に初球でバスターを成功させて三遊間を抜くヒットを放った。チームもそのヒットを足掛かりに打線が繋がりを見せて、接戦を制した。

この年の桑田は、34歳ながらも打率.294 1本 9点 OPS.798を記録するなど野手顔負けの打撃成績を残していた。

2010年代以前は、桑田や松坂大輔といった選手は代打で出場することもあったが、基本的には打力のある投手は野手に転向するケース以外、打力を活かせる機会がほとんどなかった。今後は日本ハムにいた大谷翔平のように、打力のある選手を打者としても起用していくことも必要になっていくだろう。

勝利という成功体験から生まれた課題

一方、今シーズンの采配面で一番の課題は間違いなく打順の組み方だろう。
対応力や臨機応変さが必要な2番打者に関しては、チーム内を見ると坂本勇人や丸佳浩といった実績や経験がある選手を起用するのが適していると考えるが、今シーズンは松原聖弥が戦力として定着してから2番打者として多く起用されている。

この打順の組み方でもペナントレースを勝てていたことや、第二次政権の時に寺内崇幸や藤村大介といった選手を2番打者に置いていてもある程度勝てていたことによる弊害なのかもしれない。実際、今シーズン中盤以降からは松原が2番打者として固定されている。

昨シーズンは、2番坂本3番丸と不動の4番である岡本和真の並びが相手チームから脅威であり、打順の巡り合わせがよかったが、今シーズンは選手のポテンシャルだけで勝っている状態に近い。
さらに、3番打者も一時的には、スタメン出場として難しい状態だった亀井善行や適しているとは言えないゼラス・ウィーラーを起用するなどもあり、課題を残した。

投手起用も、昨シーズンの後半戦のように、勝ちパターンや役割を確立できずに、行き当たりばったりの継投だった。投手陣の体力面に余力があるときは勝てていたが、中川皓太と大竹寛の離脱以降は、全体的に投手陣が疲弊している。

そのため、シーズン残りわずかに迫ってきた今はスムーズに勝てす試合が少なくなってきたため、優勝が決まった後の日本シリーズに向けた戦い方に課題を残している状態だ。

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