「投打の要」菅野・坂本離脱後の巨人軍の対策
熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
5月上旬、立て続けに発生した菅野智之、坂本勇人の離脱というアクシデント。戦力的なマイナスは避けられない中、投打の中心選手を欠く状況下で誰がその穴を埋めていくのか。チームはどのようにマネジメントしていくべきなのでしょうか。
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原政権における坂本勇人と菅野智之の功績
原辰徳第二次政権時(06~15年)から坂本勇人と菅野智之の功績にはかなりのものがあった。さらに2019年からの第三次政権では、19年に坂本が、続く20年には菅野がMVPに輝いた。
坂本は40本塁打をはじめ打点、長打率もキャリアハイを更新し、2番打者ながらも「パワーフォルム型」として、歴代の遊撃手の中でもトップクラスの活躍を見せてMVPを獲得。菅野は開幕13連勝をするなどの投球で、沢村賞こそ候補にあがりながらも逃したが、リーグ優勝に大きく貢献して、キャリア3度目の最多勝と2度目のMVPを獲得した。この投打の軸となる2人がいたからこそ、リーグ2連覇を達成できたと言っても過言ではないだろう。
投打の柱の離脱による影響
昨シーズンの菅野は、2017年や2018年とはまた異なるピッチングスタイルを披露した。17年・18年のような圧倒的な投球ではなかったものの、試合ごとに見受けられる課題点や試合序盤の不具合を上手く修正して試合の流れを作る「ゲームメイク力」は、これまでのキャリアでも飛び抜けたものがあった。
そして今シーズンは、安定した投球はもちろんのこと、投手陣の「精神的支柱」としての存在感も見せているように感じられる。その中で、5月8日のヤクルト戦で肘に違和感を覚えての降板。故障者リスト入りすることとなった。大黒柱の一日も早い復帰が望まれる。
坂本も今季は2019年のように2番打者として打線を引っ張っていたが、5月9日のヤクルト戦で右手親指を骨折して離脱することとなった。坂本の離脱による影響は打力低下に限らず、長年支えてきた遊撃手の穴が大きいだろう。加えて、毎試合グラウンドに立つ野手の中でチームを牽引する選手がいないことは、かなりの痛手だ。
特に、5月14日〜16日の阪神戦は坂本不在の穴が顕著に見られたのではないだろうか。3連戦全てが接戦の展開だったが、小さなミスの差はもちろんのこと、頼れる兄貴分的な存在がいないことでチームのムードに「あと一押し」が不足したことは否めない。
豊富な選手層をきちんとマネジメントできるかが鍵
今シーズンの巨人軍は、幸いなことに野手陣の層が厚いチームだ。4月に丸佳浩が離脱したり、新型コロナウイルスの影響でジャスティン・スモークの来日が遅れたものの、松原聖弥や廣岡大志、香月一也といった若手選手が躍動した。特に松原は、1番に入って丸の穴を埋めるよう攻守に渡る活躍を見せ、チームを引っ張った。それと相乗効果のような形で、開幕時は不調だった梶谷隆幸も調子を上げていき、チーム全体の状態も上がっていった。
廣岡や香月も4月の段階で殊勲打を複数放つなどの活躍を見せている。なにより、この2選手はユーティリティ性を兼ね備えていることが大きい。現状は、オープン戦好調だった若林晃弘や、守備力に定評のある吉川尚輝の起用が目立っている。ただ、若林の守備力や全体のバランスを考慮すると、吉川尚輝を二塁手に回し、廣岡を遊撃手として起用していくことも必要になっていくのではないだろうか。
さらに、直近では4番の岡本和真が復調の兆しを見せており、坂本不在の中チームを牽引する姿が見られている。坂本の次の生え抜きスター候補でもある岡本が、2018年のような打撃の安定感や、昨シーズン頭のような圧倒感を戻してくれば、非常に頼もしくなるのは確かだ。
坂本が離脱している期間だからこそ、将来へのリターンを考慮しつつ、バリエーションある起用ができるかどうかが見ものである。