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MLBからNPBに復帰した選手がチームに与える影響とは?

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
今日は番外編として、楽天に復帰した田中将大選手とオリックスに復帰した平野佳寿選手を取り上げます。過去の事例も踏まえ、MLB経験者が日本復帰後にチームで果たす役割とはどのような形が望ましいかを考察。

田中将大の楽天復帰

1月28日、田中将大の楽天への復帰が発表された。
MLBに行く直前の13年シーズンは24勝0敗防御率1.27と圧倒的な成績を残すなど、紛れもなく日本球界を代表する投手であった。ニューヨーク・ヤンキースへの移籍後もルーキーイヤーの2014年から2019年まで6年連続で二桁勝利を挙げ、2016年には防御率リーグ3位を記録するなど一定以上の活躍を見せた。

しかし、伝家の宝刀であるスプリットは、全盛期と比較すると落差を含めてクオリティが下がり始めていて、2016年をピークになかなか状態が上がりきらなかった。2020年オフにFAとなったが、世界的に流行している新型コロナウイルスの影響で、MLBはシーズンの試合数の制限などもあり、2021年からは日本でプレーすることが決まった。

スプリットの質が下降気味と記したが、それでもなお田中の投球術には素晴らしいものがある。2013年までに見られた要所の場面でパワーで押す投球こそ難しいかもしれないが、自身が持っているボールを上手く操る能力や、それを最大限に活かすクレバーさは今も球界トップクラスに違いない。

さらに、MLB移籍後も含め、プロ入りから計算すると2008年以外はすべての年で二桁勝利を記録している上に、日米の両方で優勝決定試合に登板した経験がある。数字や成績には表せない、いわゆる「持ってるもの」があることも論を待たないだろう。

得意としていたソフトバンク(31試合16勝3敗)は、田中が以前対戦していた頃と比較すると球界屈指のチームにまでレベルアップしている。田中自身の当時からの投球スタイルの変化も含め、今シーズンやそれ以降の「田中将大対ソフトバンク」の対戦が今から楽しみだ。

WBCでフル回転した平野佳寿もオリックスに復帰へ

また、2018年からMLBに挑戦していた平野佳寿もオリックスへの復帰が決まった。オリックス時代、2010年に当時指揮をとっていた岡田彰布に中継ぎ転向を命じられ、投球スタイルがはまったのはもちろんのこと、先発時代のスタミナや馬力が活かされて一気に開花した。2011年には43ホールドを挙げて最優秀中継ぎ賞に輝き、2014年には最多セーブを獲得した。その後も、リリーフとして連投が効く馬力や、150km/h以上の速球と切れ味抜群のフォークを活かして、2017年のWBCでも6試合に登板するフル回転の活躍を見せた。

そしてMLBのアリゾナ・ダイヤモンドバックスでも、1年目からフル回転をして75試合に登板。4勝3敗3セーブ32ホールド防御率2.44の活躍。2年目からは成績が下降気味だったとはいえ、オリックスのリリーフを長年支えてきたベテランの復帰は田中のケースと同様、精神的支柱という意味合いでも大きいだろう。

両選手のように、コロナ渦が続けば、MLBの試合数や契約の問題から母国へ戻ってくる選手が増えてきそうだ。

育った球団に復帰した過去の事例と影響力

これまでも、NPB時代に育った球団へ戻ってきた元メジャーリーガーは複数いる。巨人であれば上原浩治がその類に入る。能力的には限界を迎えていたものの、リリーフ陣の中で精神的支柱の役割を果たした点や、MLBから出戻りとしてチームに新しい風を吹かせた点は大きな影響を与えたのではないだろうか。

昨シーズン引退した藤川球児もその一人だ。復帰した2016年には先発に挑戦し、2017年から2019年まではフル回転でリリーフ陣を支えた。キャリア晩年にも関わらず、2017年からの3年間は50試合以上に登板して防御率が2点台と1点台を記録したことは素晴らしい。21世紀を代表するリリーフとしての意地を見せられた。

野手で見ると、ヤクルトの青木宣親がMLBから復帰した選手だ。
MLBに挑戦する前は、日本球界を代表する打者として圧倒的な成績を残していた。海を渡った後も活躍は続き、複数のチームで結果を残した。また、2017年WBCでは不調ながらも、オランダ戦でリック・バンデンハークを攻略する口火を切るフェンス直撃の二塁打を放つなど、チームを勢いづけた。

2018年にヤクルトに復帰してからも主軸としての働きを見せ、2020年にキャリアで最高の長打率とOPSを記録するなど、衰えを感じさせない活躍を披露している。青木を見ていると、この年齢ながらも急にパワーが上がっており、調子が悪い時期には打てなくても何かしらチームに貢献している。味方にいたら理想的なベテランではないだろうか。

最後に取り上げたいのは、広島に在籍していた黒田博樹だ。
2015年から広島に復帰し、2016年にはリーグ優勝に導き有終の美を飾り引退したが、MLBからの復帰2年間でチームに与えた影響は多大なるものだったに違いない。広島投手陣に対して植え付けたであろう、完璧に狙いすぎない投球術や、変化球の高速化などは現状にも活きているのではないだろうか。

晩年に差し掛かっての投球術の変化はもちろんのこと、キャリア全体の中でスタイルを変えていった部分は、MLBから戻ってくる他の投手だけではなく、日本球界でも多くの投手が参考にするべきキャリアの築き方だ。

MLBからNPBの球団に戻るケースが増えてきたが、海外で学んだノウハウを日本でも活かせる瞬間が少なからずある。彼らには、実績の安心感から生まれる精神的支柱の意味も含め、球団や日本代表の選手として今後も活躍を続けてほしい。

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