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【光文社:新人研修レポート⑤】自分の人格は「直す」のではなく、「育てる」ものだった

 いや本当、自分ってめんどくさいやつだなあ、って思う時あるじゃないですか。

 例えば、グループラインで発言するとき。

 今このタイミングでこのコメントはどうなんだ、もしかして場違いなのか? 誰かの意見を強く否定することにならないか? とはいえなんにも言わないと、それはそれで反感を買うかもしれないし、とりあえず何か言ったほうがいいだろう。あ、もう前のコメントから五分も経ってる。既読たくさんついてるんだろうな〜どうしようこれでいいのかな……? 

 といったことをくよくよと考え続け、一度書いたコメントを一旦全部消して、一言一言を見直し、単語のニュアンス、主語はこれで良いのか、そもそもこの意見は誰かがさっき言ってたこととカブらないか、なんてことをチェックして、よしこれでいいだろう、いいね? いいかな? もういいや送っちまえ! とばかり、半ば投げやりに覚悟が決まるまでに十分二十分。やっとのことで送信ボタンを押せると思ったところで、全くおんなじ内容のコメントがあっさりと画面の中に現れて、くよくよ悩んでいたこの時間は一体なんだったのか、なんてこと、しょっちゅうあります。え、ありませんか?

 そんな厄介な自分に時々疲れちゃうのは、自分の人格の扱い方を知らないからで、しかもその扱い方は鍛えることができるよ、と教えてくれたのが、『人は、誰もが「多重人格」』でした。

 この本の著者の田坂広志さんは、人は誰しも複数の人格を持っていて、それを意識的・無意識的に切り替えて生きている、と述べています。例えば、会社での自分と、家族といる時の自分と、友達といる時の自分、ツイッターの趣味垢での自分は、全くの別人と言っていいほどキャラが違う、なんてことないですか。そんな風に、「温かく親切な人格」「几帳面で細やかな人格」「厳しくも包容力のある人格」などなど、ありとあらゆる人格を人は持ち合わせていて、その中から一番その場にあったものに切り替えているんだ、と書いているわけです。

 こうしたいくつもの人格を扱う時に必要なのが、「精神的基礎力」です。「精神的基礎力」とは、この本の言葉を借りれば、「状況に応じて適切に『人格』を切り替える」ための「精神的スタミナ」というところでしょうか。

 これが足りないとどうなるのか。人格の切り替えをする力が足りないので、「今はこういう態度で人に接しなきゃ」ということがわかっていても、それに対してすぐに対応できなくなります。だから、一つの人格をいろんな場面で使いまわしていくしかなくなるわけです。

 例えば、「几帳面な人格」だけで人と接すると、慎重な仕事が求められる時は良いかもしれないけれど、もしかすると冷たい人と思われてしまうかもしれません。あるいは、「温かく親切な人格」だけだと、緊張感に欠ける印象を与えるかもしれない。こんな風に、自分の人格を状況に合わせられなくなって、これだと非常にやりづらい。何より、冒頭の僕みたいに疲れてしますよね。

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 自分の中には複数の人格があって、それを上手に使い分ければいろんなところで便利だよ、という話だけでも、十分に目から鱗でした。が、僕が一番面白いと思ったのは、このあとです。田坂さんは、「人格は育てられる」と書いているんです。

 改めてもう一度繰り返すと、人はありとあらゆる人格を兼ね備えている、とこの本には書かれています。そしてそのどれもが、環境や付き合ってきた人間に影響されて身についたものだとも。つまり、人は後天的に人格を身につけられるというのです。

 だから、今欠けている人格もこれから身につけられる、と田坂さんは続けます。これが、「人格は育てられる」というところに繋がるわけです。

 冒頭のような僕を、例えば「慎重で心配性な人格」だとします。僕の中でその人格はすべてが嫌じゃないけれど、人付き合いを時々厄介にするものでもあります。「自分ってめんどくさいヤツだなあ」と。

 でもそれは、自分の性格の短所を補う人格を身につけて、それを自在に切り替える力を育てることで、解決するものだったんです。僕の例で言えば、多少の不真面目さやユルさみたいな人格を鍛えることで、この厄介さに適応できるんじゃないか。そして、そうした人格は、いろいろな方法で育てられるものだと田坂さんは書きます。その方法についてはこの本の中で詳しく紹介されているので、とてもここには書ききれないのですが、今日からでも実践できるようなことばかりです。

 自分の性格の至らなさを「直す」のではなく、まだ足りない人格を「育てる」。こんな風に考えれば、自分をもっとポジティブに捉え直せそうです。


 田坂さんは現在、経営者やリーダーの学びの場を運営されている方です。ですからこの本では、才能やビジネスについての話題がメインです。ただ僕のように、もっと身近な人間関係について捉え直す目的でも、十分に読めるはずだと思っています。

 グループラインの返信に悩むくらいだから、僕はまだ十分に自分の人格を扱いきれていないのかも知れません。ただ、自分の好きなところも決してないわけじゃない。それを生かしつつ、まだ育ちきっていない人格を補うことで、今までつかえていた場面でもさらっとこなせる自分になれる、と思ってます。そしてその時は、今よりもっと楽に人と関わっているような気がします。それがビジネスで役に立つのか、身近な人間関係で役に立つのかは、まだわかりません。だけど、ちょっとは自分のめんどくささを感じなくても良くなる、そんな風に自分に期待しています。

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