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新「代走の切り札」。首位を走る原巨人のスーパーサブ・増田大輝

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を徹底分析。
今回のテーマは、「代走の切り札」増田大輝。原巨人の「終盤力」のひとつの源であり、あの鈴木尚広を彷彿とさせる圧倒的な走塁が武器の選手です。
ユニークな経歴でも知られる増田の魅力に迫るとともに、今後の戦術トレンドも考察します。

第三次原政権の「代走の切り札」になりつつある

原辰徳第二次政権では、鈴木尚広が代走の切り札として長年に渡り巨人軍を支えたが、現在がその役割が増田大輝に期待されている。

第二次政権時は試合の終盤や勝負所で、代打の切り札である高橋由伸らが2アウトからでも出塁した際は、鈴木尚広が代走の切り札として登場。1点をもぎ取りにいき、実際に高い確率でホームへ帰ってきた。

第三次政権は増田がこの「代走の切り札」の役割を担い、そのポジションが確立されつつある。大変貴重な「スーパーサブ」である。昨シーズンは、代走としてはもちろんのこと、優勝を決定づけるタイムリーを放ったのも記憶に新しい。

そして今シーズンは開幕一軍を勝ち取り、終盤の勝負どころで、持ち前の走力や判断力を活かして貴重な得点を掴み取っている。
象徴的な試合が、7月19日のDeNA戦だろう。最終回に、佳浩の内野安打の際に、2塁からホームまで帰る神がかり的な走塁を見せた。

また、レギュラー選手ではないものの、現在の盗塁数はリーグ2位の18盗塁(10月9日時点)を記録している。

また、話題となったのはなんと言っても8月6日の阪神戦の「投手・増田大輝」だろう。
11対0という大差で負けている中、巨人は勝ちパターン級の投手を出さずに試合を進めていた。そこで、投手のコマ数が足らなかったので野手の増田がマウンドに上がったわけである。この起用には賛否両論の声があがったが、個人的には大賛成である。投手を無理に使わない手段としてメジャーリーグではよく見られる場面であり、例えば日本人選手ではイチローや青木宣親が野手でありながらマウンドに上がる試合もあった。

増田はその経歴も独特なことで知られる。近畿大学に入学後、大学2年時に退学してしまい、一時期は地元である徳島でとび職をしていた。華やかなプロ野球選手の中で見ると、珍しい選手である。2014年から地元の独立リーグ、四国アイランドリーグの徳島インディゴソックスに加入し、翌年のドラフトで巨人に入団(育成1位)した。

その後、2016年から三軍、二軍と着実にステップアップ。昨シーズンは、ついに一軍昇格を果たし、5月5日の広島戦では、初のスタメン出場も成し遂げた。華やかなプロ野球選手としては珍しい経歴はもちろんのこと、プレーを通してハングリーさが伝わってくる選手でもある。

打撃面では一軍レベルとして見ると物足らない部分はあるが、内外野を守れつつ、相手からすれば驚異としか言いようのないスピード感のある走塁があるのは大きな魅力だ。

そんな増田がチームの勝利や優勝に貢献する姿は、2008年の山口鉄也や2009年の松本哲也といった育成出身の選手が台頭して優勝に導いた第二次政権時の「原イズム」を彷彿とさせる。

増田を投入することによって、相手チームを守備面で焦らせることはもちろんだが、配球にも有利に働く。増田の盗塁を警戒することでストレートの割合が高くなり、味方の打者がストレートに張れることが増えていく。

他球団を見渡すと、現在パリーグ首位を走るソフトバンクの周東佑京も近いタイプの選手である。今シーズンはスタメン出場の機会が増えているが、昨シーズンはシーズンやポストシーズンはもちろんのこと、日本代表として選出されたプレミア12でも、相手チームの守備や配球を崩して勝利に導いた。
さらに、ロッテも今シーズンから終盤に和田康士朗を代走として起用する戦術をとっている。

今シーズン、セパの首位を走る球団や優勝争いする球団がこのような戦術をとっていることもあり、足に絶対的な自信を持つ選手がいる球団は戦術的なオプションとして起用を増やしていく可能性がある。

増田は足という持ち味を活かしつつ、守備面でも内外野マルチにこなせる事もあり、原巨人特有の「終盤力」の源になっているのは間違いない。


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