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あなたは「未来」が見えることがありますか?――3カ月で7万部に到達した新書から。

2019年10月に刊行した『運気を磨く 心を浄化する三つの技法』は、2020年1月時点で紙と電子版を合わせて7万部まで到達しました。読者の方からもたいへん熱いメッセージが多数、著者の田坂広志先生のもとに届いています。田坂先生は、今までの人生において「運気」と呼ばざるを得ない出来事を数多く経験してきました。それゆえ「運気」の存在を否定できないと考えています。自身の科学研究者としての立場から、この「運気」というものの科学的根拠が存在するならば、それを明らかにしたいと考えており、そうした視点からの科学的仮説を本書で紹介しています。今回の記事では、その仮説の一つである「量子真空」と「ゼロ・ポイント・フィールド」について、書籍から抜粋するかたちでまとめました。

なぜ、「未来」が見えるときがあるのか

「未来の記憶」とは、あるとき遭遇した出来事が、あたかも自身の未来を予見していたかのように感じられる不思議な体験である。

筆者のエピソードを、1つ述べたい。

それは、大学院を終えて就職した財閥系企業M社で営業担当者として仕事をしていた一九八九年夏のことである。いつものように、東京都内を営業先へ移動していたとき、乗っていたタクシーが赤坂見附から弁慶橋に向かった瞬間、なぜか、目の前に聳え立つビルが気になり、思わず客席から身を乗り出し、「運転手さん、あのビルは、何というビルですか?」と訊いたのである。

それに対して、運転手は、「ああ、あれは、最近できた紀尾井町ビルですよ」と答えた。

タクシーに乗ることは、実社会に出てそれまでの九年間で何百回とあったが、後にも先にも、目に入ったビルの名前を訊くことなど無かったこともあり、なぜ、このビルが気になったのか、不思議であった。

しかし、その年の暮れ、これも不思議な縁に導かれ、筆者は、勤めていたM社を辞め、新たに創設される銀行系シンクタンクに設立メンバーとして参画することになった。そのことを決めた後、ふと気になって、そのシンクタンク設立準備室の人事担当部長に訊いたのである。

「ところで、このシンクタンクのオフィスは、どこに置くのですか?」

その問いに対する部長の答えを聞いて、筆者は、驚きを隠せなかった。

なぜなら、その部長は、「ええ、オフィスは、紀尾井町ビルに置きます」と答えたからである。

これは、「単なる偶然」なのであろうか。

あるとき、あるビルが目に入り、なぜか、そのビルが気になって、珍しく運転手に、そのビルの名前を訊いた。

しかし、そのビルは、それから数か月後に転職をする会社が入居するビルであった。

それは、「単なる偶然」なのであろうか。

それとも、筆者が転職することと、そのビルで働くことになることを、自分の無意識は予見していたのであろうか。

「未来の記憶」とでも呼ぶべき現象

このエピソードは、まさに、あるときの出来事が、あたかも未来を予見していたかのように感じられる現象であり、「未来の記憶」とでも呼ぶべき現象である。

もとより、こうした出来事もまた、現在の科学では説明のつかない現象であり、やはり「単なる偶然」として片づけることもできるが、実は、筆者には、こうした「未来の記憶」と呼ぶべき体験が、極めて多くある。

あなたは、これまでの人生において、こうした体験、自分の未来を「予感」したり、「予見」したような体験はないだろうか。

筆者は、折に触れ、内々の会話として、色々な知人に、こうした体験の有無を聞いているが、予想以上に、こうした「予感」や「予見」の体験を持った人は多い。

ただし、それらの知人は、こうした体験を語ることが、周囲の誤解を受けることを懸念し、あまり積極的に口に出しては言わないことも、一面の事実である。

筆者は、科学的教育を受け、工学研究者としての道を歩んできた人間でもあり、こうした現象を、すぐに「霊的世界」や「背後霊」、「超能力」や「UFO」といった思考停止的な解釈に結びつける非科学的説明には、全く納得がいかない人間でもある。

だが、一方で、筆者は、そうした科学的・研究者的バックグラウンドを持つがゆえに、現実に自分自身が何度も体験する「予感」や「予見」、さらには「未来の記憶」と呼ぶべき出来事について、何らかの科学的説明が存在しないのかを考える人間でもある。

では、なぜ、我々の人生においては、こうした「予感」や「予見」、「未来の記憶」と呼ぶべき現象が起こるのか。そうした現象に、科学的説明はできないのだろうか。

最先端の量子科学が解き明かす「運気」の正体

そもそも、こうした「予感」や「予見」、「未来の記憶」のような現象は、過去に見た光景や、過去に撮った写真が、未来に起こる現実と、不思議な一致を示すという意味で、「時間を超えたシンクロニシティ」と呼ぶべき現象であるが、では、なぜ、こうした現象が起こるのか。

誤解を恐れず、敢えて、現代科学の最先端で議論されている一つの「仮説」を述べよう。

ただし、以下に述べることは、一見、我々の日常的な常識を超えた理論と思われるかもしれないが、それは、決して怪しげな理論ではなく、原子力工学の博士課程で学んだ筆者の知見から見ても、一つの科学的仮説として検討に値するものである。

では、その仮説とは何か。

それは、「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」と呼ばれるものである。

「ゼロ・ポイント・フィールド」とは何か?

この「ゼロ・ポイント・フィールド」(Zero Point Field)とは、端的に言えば、この宇宙のすべての場所に遍在するエネルギー場のことであるが、この場に、宇宙の過去、現在、未来のすべての情報が記録されているという仮説である。

こう述べても、分かりにくいと思うが、現代科学の最先端の量子物理学(Quantum Physics)においては、何もない「真空」の中にも、膨大なエネルギーが潜んでいることが明らかにされている。このことは、「真空=無」と考える一般の常識からすると、なかなか理解できないことであるが、量子物理学では、「量子真空」(Quantum Vacuum)と呼ばれる極微小の世界の中に、膨大なエネルギーが存在していると考えられている。

そのことを象徴するのが、現代の最先端の宇宙物理学が提唱する「インフレーション宇宙論」である。これは、我々の生きるこの宇宙が、どのようにして誕生したかという「宇宙創成」の理論であるが、この理論においては、一三八億年前には、この宇宙は存在しなかった。ただ、そこには、量子真空が存在した。しかし、その量子真空が、あるとき、ふと「ゆらぎ」を起こし、その直後に、急激な膨張(インフレーション)を生じ、大爆発(ビッグバン)を経て、この宇宙が誕生したと考えられている。

このように、量子真空は、その中に、この壮大な宇宙を生み出すほどの膨大なエネルギーを宿しているが、この量子真空の中に「ゼロ・ポイント・フィールド」と呼ばれる場が存在し、その場に、この宇宙の過去、現在、未来のすべての出来事が、「波動」として「ホログラム的な構造」で記録されているという仮説が、現在、注目されているのである。

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(https://images.nasa.gov/details-GSFC_20171208_Archive_e000608)

「物質」の実態とはエネルギー

ここで、この宇宙で起こったすべての出来事が「波動」として記録されていると述べると、あなたは驚かれるかもしれないが、それは、実は、現代の最先端科学の視点から見ると、極めて合理的な仮説である。

なぜなら、先ほどの量子物理学が明らかにしているように、我々の目の前にある「物質」というものは、本来、存在しないからである。

こう述べると、さらに驚かれるかもしれないが、我々が「物質」と思っているものの実体は、すべて、「エネルギー」であり、「波動」に他ならず、それを「質量を持った物質」や「固い物体」と感じるのは、我々の日常感覚がもたらす錯覚にすぎない。

従って、「この宇宙で起こったすべての出来事」とは、それが、銀河系宇宙の生成であろうが、この地球の誕生であろうが、あなたが地球上に生を享けたことであろうが、いま、この記事を読んでいることであろうが、究極、すべては、この宇宙の中で起こった「エネルギー」と「波動」の動きに他ならず、その「波動」のすべての痕跡が、「波動干渉」の形でホログラム的に記録されているという仮説は、ホログラムというものが、ほぼ無限に近い膨大な情報を記録できることを考えるならば、科学的に見ても、一定の合理性を持っていると言える。

すでに、「未来」は存在するのか

ただ、こう述べると、あなたは、次の疑問を持たれるのではないだろうか。

「いま、『未来のすべての情報』と言ったが、未来とは『未だ来たらず』という意味であり、まだ存在していないから『未来』ではないのか?」

たしかに、「未来」とは「未だ来たらず」という意味の言葉であり、「過去」とは、「すでに過ぎ去った」という意味の言葉である。そのため、我々は、「過去」とは、一度生起し、存在したものであるが、「未来」とは、まだ生起しておらず、存在していないものであると考える。

そして、この「時間は過去から未来に向かって一方向に流れていく」という感覚は、我々の日常感覚そのものでもあるため、我々は、「未来とは、まだ、存在していないもの」であるということを「常識」と思っている。

筆者の日常感覚も、当然ながら、その通りである。

時空連続体という考え方とは何か?

しかし、驚かれるかもしれないが、実は、現代物理学の世界では、過去、現在、未来は、同時に存在しているものとされている。

例えば、かつて、天才的物理学者、アルバート・アインシュタインは、良く知られる「相対性理論」(Theory of Relativity)において、我々が生きる三次元の「空間」に、第四の次元として「時間」を加え、四次元の「時空連続体」(Space-Time Continuum)という考え方を提唱した。

この「時空連続体」においては、過去、現在、未来は、同時に存在するものとして扱われている。

また、やはり、現代の最先端物理学者、ポール・デイヴィスは、時間というものを「タイムスケープ」(Time-Scape)として捉えている。それは、丁度、「ランドスケープ」(Land-Scape)、すなわち「風景」と同様、地図を広げると、すべての山や河や地形が一目で見て取れるように、この宇宙の空間的な広がりのすべてと、宇宙の時間的広がり(歴史)のすべてが、一目で見て取れるものである。

この「タイムスケープ」においても、過去、現在、未来は、同時に存在するものとして捉えられている。

このように、現代物理学における時間の捉え方は、我々一般の人間の「日常感覚」としての時間の捉え方とは、大きく異なっているため、「過去、現在、未来のすべての情報」と言われると強い戸惑いを覚えるが、ひとたび、この捉え方を受け入れると、なぜ、我々が「予感」や「予見」「未来の記憶」といったものを感じるのか、その理由を理解するための扉を開くことができる。

ちなみに、アインシュタインが、友人との書簡の中で、次の言葉を残していることは、良く知られている。

「我々物理学者にとっては、過去、現在、未来というものは幻想なのです。それが、どれほど確固としたもののように見えても、幻想にすぎないのです」

(さらに詳細を知りたい方は、下記書籍をご一読ください)

田坂広志(たさかひろし)
1951年生まれ。1974年東京大学卒業。1981年同大学院修了。工学博士(原子力工学)。1987年米国シンクタンク・バテル記念研究所客員研究員。1990年日本総合研究所の設立に参画。取締役等を歴任。2000年多摩大学大学院教授に就任。同年シンクタンク・ソフィアバンクを設立。代表に就任。2005年米国ジャパン・ソサエティより、日米イノベーターに選ばれる。2008年世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Agenda Councilのメンバーに就任。2010年世界賢人会議ブダペスト・クラブの日本代表に就任。2011年東日本大震災に伴い内閣官房参与に就任。2013年全国から5600名の経営者やリーダーが集まり「二一世紀の変革リーダー」への成長をめざす場「田坂塾」を開塾。著書は90冊余。
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