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100均素材でDIY「自作燻製器・改」|パリッコの「つつまし酒」#105

燻製は驚くほど手軽にできる

 僕、燻製が大好きでして、よく自宅で燻製作りを楽しんでいます。といっても、本格的な燻製器を持っているわけではなく、以前ネットの記事で見た、100均で買えるものだけで作った自作の燻製器を使って。
 具体的には、ステンレス製のボウル2個を上下に重ねて球体状にしたものをコンロの上に乗せ、間に焼き網を挟む。下のボウルの底に敷いたアルミホイルにスモークチップ適量をのせ、間の焼き網に燻したい食材をのせておく。これを直火で炙ると、すぐにボウルのなかに煙が充満するので、火を消し、煙が落ち着くまで30分ほど放置しておく。たったこれだけで、ちゃんと燻製ができてしまうんだからお手軽なもんです。
 しかしながらこの自作燻製器、ボウルどうしが固定されていないから若干不安定だし、なかが見えないのでたまに失敗してしまうこともあり、ずっと改良の余地ありだなと思っていました。通販サイトなどで、卓上でも使え、カバーがガラス製なので途中経過が確認できるという燻製器などを見るにつけ、いっそ買っちゃおうかな、なんて思っていました。
 ところがある日、突然ひらめいた。「あ、耐熱ガラスボウルだ!」と。
 詳しい説明はあとでするのでちょっと待っててくださいね。とりあえず僕は100均へ行き、手頃な大きさの耐熱ガラスボウルと、それと合わせて燻製器の材料になりそうなグッズあれこれを購入してきました。

「自作燻製器・改」始動!

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理想的な道具が、すべて100均で揃いました

 買ってきたのは、オーブンでも使用可能な耐熱ガラスボウル、ペラペラのアルミ鍋、製菓用の裏ごし器、それからスモークチップ。最近の100均には売ってるんですよね、スモークチップ。まったく便利な時代です。ボウルと鍋が200円だったので、材料費の合計は600円。
 さて、これらをどう組み合わせるか?
 まずはカセットコンロにアルミ鍋を置き、本来はアルミホイルを敷いたほうがいいんでしょうが、この鍋は燻製専用に使おうと思ってるので汚れたっていいやと、そのままスモークチップ適量を鍋底にパラパラ(この手抜きが後の失敗のもとに……)。
 続いてチップにかぶせるように、裏ごし器を配置。ここに食材をのせ、ガラスボウルをかぶせて火にかければ、燻製ができるはずという算段です。
 はたしてうまくいくかな〜? ワクワク。ってなことをやっている時間の楽しいこと!

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専用器具のような収まりが気持ちいい

 燻製にする食材の定番といえば、チーズ、ナッツ、ゆで玉子、ベーコン、なんてあたりでしょうか? が、今回はせっかくだからちょっと変わり種でやってみようかなと、コンビニで目についた「ファミチキ」と「マヨ明太おにぎり」を用意してみました。プラス、色の変化がわかりやすいようにと、定番のゆで玉子も。

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セット完了。なかが見えるのがもう楽しい!

 準備が完了し、いざ点火すると、すぐにチップから煙がモクモクしはじめます。
 あ、ちなみに、ボウル内の酸素がなくなって真空状態となり、爆破事故などが起きる可能性があるのではなかろうかという心配もあったのですが(バカ)、鍋のフチの左右、液体を注ぎやすいようにほんの少しゆがんでいる箇所に、それぞれ1mmくらいの隙間ができているので、まぁ問題はなかろうと判断しました。が、そもそもすべてのアイテムの使用法が本来の用途とは違うので、あくまで自己責任ということで進めていきます。

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燻製中の様子が見られるなんて

 ボウルのなかに煙が充満したことを確認したら火を消し、しばし放置。その途中経過を見ることができるなんて、こんなに楽しいことはそうそうないんじゃないでしょうか? もう、これ見てるだけでお酒が飲めちゃう。

ファミチキ、おにぎり、ウイスキー

 30分後、煙がすっかりなくなり、いよいよボウルを外してみようとしたところで問題発生。ガラスのフチに茶色くついた煙の成分の影響か、鍋とボウルががっちりと組み合わさって、めいっぱい力を入れても逆さにしても、ぜんぜん外れてくれません。ボウルがすべすべでとっかかりがないからよけい外しずらいんだ。それでも隙間にステーキ用のナイフなどを差し込んで、ボウルはがしに成功。なんとか食材を取り出すことができました。
 で、実際うまくいったのかというと、これがもう!

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見事に日焼けした食材たち

 ゆで玉子の燻製は安定の美味しさ。ファミチキは、ジューシーな旨味はそのままに、鼻に抜ける薫香がたまらない大人味。一見焼きおにぎりのようにも見えるマヨ明太おにぎりは、かぶりつくとほろりとほどける食感が心地よく、マヨ明太のまったりとした味わいと燻製風味が相性抜群! 世の中には明太子やマヨネーズを燻製にする人もいるようで、考えてみればあらかじめ勝利は約束されていたのかもしれなません。
 それにしても、燻製ってなんでこうもお酒がすすむかな〜。

 と、ここで終わりにしてもいいんですが、ちょっと思いついたことがあります。以前、自家製の燻製が名物のバーで、スモーキーさが特徴のアイラウイスキーを燻製してしまったという「燻製ウイスキー」なるものを飲んだことがあり、アイラウイスキーが大好きな僕は、その過剰な煙たさに歓喜したことがありました。よし、あれを真似してみよう。

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自家製燻製ウイスキー作りに挑戦

 燻すのは、ちょうど家にあった国産ウイスキーの「陸」。1000円台で買える手頃さながら、ストレートで飲んでもしっかりとうまい最近お気に入りのこいつに、強制的にスモーキー属性を加えてしまいましょう。
 先程の失敗をふまえ、鍋底に大きめに切ったアルミホイルを敷き、本来は固形燃料を入れてミニコンロ的に使うコンパクトストーブの上にウイスキーを。先ほどと同じように燻してみると、ホイルが適度な隙間を作ってくれた効果か、ボウルはスポッと取り外せ、無事に工程を終えることができました。

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さて味はどうか

 燻製している間にぬるまってしまったウイスキーを冷蔵庫で冷やしたら、じっくりと味わってみます。すると、大成功も大成功! ただでさえうまいウイスキーに過剰な煙たさが加わり、高級感が3倍くらいに増してますよこれ。
 好き嫌いは別れるだろうし、使うウイスキーによっても仕上がりに差が出るでしょうが、そんなところも含め、いや〜、またまた新しいお酒の楽しみを見つけちゃったかもな〜。

パリッコ(ぱりっこ)
1978年、東京生まれ。酒場ライター、DJ/トラックメイカー、漫画家/イラストレーター。2000年代後半より、お酒、飲酒、酒場関係の執筆活動をスタートし、雑誌、ウェブなどさまざまな媒体で活躍している。フリーライターのスズキナオとともに飲酒ユニット「酒の穴」を結成し、「チェアリング」という概念を提唱。
2020年9月には『晩酌わくわく! アイデアレシピ』 (ele-king books)、『天国酒場』(柏書房)という2冊の新刊が発売。『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』(光文社新書)、『酒場っ子』(スタンド・ブックス)、『晩酌百景 11人の個性派たちが語った酒とつまみと人生』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、漫画『ほろ酔い! 物産館ツアーズ』(少年画報社)、など多数の著書がある。Twitter @paricco
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