見出し画像

ゴジキが振り返る2021年春のセンバツ(後編)

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)。高校野球マニアというもうひとつの顔を持ちます。
東海大相模の優勝で幕を閉じた春のセンバツの、大会全体のトレンドや注目選手の活躍を振り返ります。

本連載がもとになっている書籍『巨人軍解体新書』はこちらからお求めください↓↓↓

「投手の高速化」とコロナ禍が加速させた投高打低

今年のセンバツ大会は、大会5日目の第1試合までホームランが出なかった。最終的には24試合で6本だけとなり、投高打低が顕著に現れた。

要因として、緊急事態宣言を含めたコロナ禍の影響は少なからずあっただろう。元々、センバツ大会は春開催で実践形式から離れていることもあり、投手有利の傾向が強い。それに加えて、打撃練習を従来のようにできなかったことが大きく影響したと考えることもできるだろう。

もう一つ取り上げたい要因は、「投手の高速化」だ。下記がセンバツで投げられたストレートの統計である(※出典:aozoraさん)。

このデータを見ても、最速の数値こそ落ち着いているものの、Maxの中央値は近年の中でも3〜4km/hほど高い傾向にある。さらに平均球速や空振り率も高い傾向にあり、140km/h以上記録した投手の数値も高い。

個人的な感覚値だと、2012年は大谷翔平や藤浪晋太郎などの怪物投手が全体の数字を引き上げていたが、2010年代中盤以降からはスピードのある変化球を投げるスタイルがトレンドになりつつある。

投手の良い面も見られた一方、負荷をかけられる意味合いでの練習不足も顕著に見られた。勝ち上がるにつれて各校のエースの身体が悲鳴を上げ、登板回避や急遽降板などが目立つ大会でもあった。

投打に渡りこの傾向が続けば、多くの試合が「一発ゲー」にもなることもあり、勝負所のミスも命取りになる。今年の明豊のように、タレント性がそこまで強くなくてもミスをしないチームが勝ち上がる可能性は高まっていくだろう。

実力通りの結果を残した好投手たち

前述の通り今大会は「投手の高速化」が一つのキーポイントとなったが、注目投手のほとんどが前評判通りの結果を残した。

優勝投手に輝いた東海大相模のエース・石田隼都は、圧倒的なピッチングを披露したが、昨年夏の交流試合では、2年生ながらも大阪桐蔭を7回1失点に抑える投球を見せていた。そこからさらに成長し、甲子園で躍動した。

また、自分が大会前に注目投手として挙げていた京大中京の畔柳亨丞も実力に相応しいピッチングを見せた。準決勝の明豊戦以外は先発登板したが、27回1/3を投げて31奪三振・防御率0.33という圧倒的な成績を残した。準決勝は満身創痍で登板した影響もあってアクシデントで降板したが、夏にはさらなる成長した姿を見せてほしい。

天理の達孝太もその一人だ。一年生の時から注目されていた投手だが、一年越しに決めたセンバツ大会で躍動。健大高崎や仙台育英といった優勝候補を相手に27イニングを投げて防御率1.00を記録した。しかし、東海大相模との準決勝を前に左脇腹に違和感があったため、登板を回避。このことから決勝進出を逃したが、7大会連続での近畿勢のベスト4進出に大きく貢献した大型右腕の夏にも注目したい。

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

光文社新書ではTwitterで毎日情報を発信しています。ぜひフォローしてみてください!