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【東京五輪開催前プレイバック】「金メダル以外いらない」オールプロで臨むも史上最低の内容・結果に(北京五輪・投手編)

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
7月23日から開会予定の東京オリンピック。その特別企画として過去の五輪のメンバー・戦績・内容をプレイバックいたします。今回は残念な結果に終わった2008年の北京五輪です。

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2008年 北京五輪 結果:4位(4勝5敗)
予選リーグ(4位通過)
キューバ 2-4
チャイニーズタイペイ 6-1
オランダ 6-0
韓国 3-5
カナダ 1-0
中国 10-0(7回コールド)
アメリカ 2-4(延長11回)
準決勝 韓国 2-6
3位決定戦 アメリカ 4-8

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星野監督の温情采配が仇になった大会

この大会で目立ったのは、監督を務めた星野仙一氏の偏った選出や起用法、温情采配である。プロ野球界はこの頃からパ・リーグが実力でセ・リーグを上回り始めていたが、それでもセ・リーグの選手が半数以上を占めた。加えて、自ら指揮をとったことのある中日・阪神だけで7名の選手を選出したことも物議を醸した。

星野氏はこの大会で短期決戦の弱さを露呈したが、顕著だったのが投手起用における温情采配だ。予選から不調の岩瀬仁紀に無理な回跨ぎなどをさせた結果、火に油を注ぐ形になり岩瀬は3敗。大会が終わることとなった。また、試合中の「鉄拳制裁」の噂も囁かれるなど、大会中のベンチワークは国際大会史上最悪だったと想像される。初戦から一貫性のない投手起用を続けただけでなく、ブルペン陣には中継ぎや抑えの本職が少なく、川上憲伸が常に後ろに回るような状況だった。各役割のバランスも良くなかった大会だったと見ている。

当時をリアルタイムで見ていた野球ファンからすると、「金メダル以外いらない」と大きな目標を立てた星野ジャパンがメダルなしという結果に終わったことは、非常に遺憾だっただろう。このように、星野氏は私情を含めた采配が目立ったため、翌年の2009年WBCの監督候補に上がっていたものの、イチローや松坂大輔に「(WBCを)北京五輪のリベンジの場にしてほしくない」と発言されるなどして落選した。

ただ、この北京五輪の失敗例があったからこそ、2009年と2013年のWBC2連覇に繋がったことは間違いない。この大会の失敗例は今後の代表選出や、国際大会に対する戦略設計に反面教師として活かされているように思う。

シーズン沢村賞・MVPの岩隈久志が落選

北京五輪では、このシーズンで最終的に最多勝・最高勝率・最優秀防御率の投手三冠王を獲得して沢村賞・MVPも受賞した岩隈久志が落選した。これが大きな敗因だったと見ている。岩隈は、アテネ五輪では不安定な投球により出番が激減したり、この年も故障明けの不安があったが、2008年以降の投球スタイルを確立してからのキャリアや、2009年WBCをはじめとした他国の環境への適応力を考えると、北京五輪でも見てみたかった。

岩隈の場合は、国際大会でも水準以上のストレートはもちろんのこと、物理的に打たれづらい、落ちるボールでもあるフォークも高いレベルで操る。また、適応力の高さは後のWBCキューバ戦が特筆すべきだろう。霧の中でフライが見づらい試合だったが、得意のフォークを活かして、ゴロを量産させた。国際大会でここまで冷静に試合を展開できる能力もあることも踏まえると、投手としての総合力の高さは際立っている。北京五輪でも欠かせない存在になったに違いない。

ゴジキが選ぶ北京五輪投手陣

(先発)
岩隈久志:キューバ戦・準決勝(←和田毅に代えて選出)
ダルビッシュ有:オランダ戦・決勝
杉内俊哉:台湾戦・アメリカ戦
渡辺俊介:韓国戦
成瀬 善久:中国戦
(ロング要員)
涌井秀章
田中将大
(中継ぎ・抑え)
藤川球児
岩瀬仁紀
山口鉄也(←川上憲伸に代えて選出)
上原浩治

基本的には、選出された選手をベースに選んだ。ダルビッシュ・岩隈・杉内と言ったパ・リーグのタイトルホルダーを中心に先発陣を回していく構図である。岩隈に関しては上記でも説明した通り、先発の軸として選出。

渡辺はこれまでの国際大会を通した適性を鑑みると、予選の先発後には第二先発やロング要因に回ることも可能であるため選んだ。これは、実際の大会を通してその適性を見せた成瀬の役割でもある。山口に関しては、本大会で偏りすぎていた岩瀬や藤川への依存を軽減するため、役割分散の意図も込めて選出。

本大会では上原も選ばれていたが登板は2試合に留まり、岩瀬と藤川が4試合に投げるアンバランスな起用が目立った。精神的支柱としての存在感がある上原を、余裕のある展開では積極的に投入していくことも一つの手段だったと見ている。

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