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【巨人軍参謀論】野手の采配・育成に関する参謀は石井琢朗に任せよ

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
野球を始めほとんどのスポーツでは基本的に選手や監督にスポットライトが当たりますが、見逃してはならないのがコーチなどのチームを支える「参謀役」。強いチームにはえてしてこのポジションに優れた人間がいます。巨人の場合はどうなのか、過去の名伯楽も取り上げつつ考察してもらいました。

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参謀にすべき最有力候補、石井琢朗

現在の巨人軍を鑑みると、「参謀役」の存在と彼らをどう活かしていくかも今後の課題に映る。
野手に関してはその役割を元木大介氏が担っている。しかし、現状の首脳陣ならば石井琢朗氏が野手専任でその役割を担っていくべきではないだろうか。

石井氏の入閣が巨人軍の野手陣改革に与えた影響は間違いなく大きかった。選手時代の「守備の名手」のイメージが先行しているが、広島で打撃コーチを担当した2016年と2017年は、チーム打率・本塁打・得点でリーグ1位を記録し、2018年はヤクルトでチーム打率1位に導く指導をした。さらに、巨人に入閣した2020年もチーム打率こそ3位ながら、本塁打と得点はリーグ1位を記録した。

これだけの実績を持つ石井氏が打順等の戦略はもちろんのこと、さまざまなノウハウを実践した試合を見てみたい。広島3連覇の立役者でありながら、巨人打線の改革にも貢献している石井氏だからこそ、さらにチームの内部へと入り込む形で貢献してほしいと願っている。

過去の名参謀、内田順三氏に学ぶ育成のヒント

石井氏の今後を考える上で、過去の名参謀についても触れておきたい。
巨人軍の歴代最高捕手と言ってもいい現・二軍監督の阿部慎之助がキャリア序盤に出会った名指導者、内田順三氏だ。内田氏は阿部の入団当時に打撃コーチを務め、長嶋政権と原政権の参謀役を担っていた。阿部がプロ入りしてからの打撃理論はほぼ、内田氏に教わったと言っても過言ではないだろう。

内田氏は、否定的な言葉を用いず「ダメと言わない」指導方針で各球団を歩き回った指導者として知られている。また、昨年の日本シリーズにおける巨人軍の打撃についても語っているのだが、それが実に的を射る発言なのだ

ソフトバンクと巨人の打者の違いもはっきり見えた。巨人打線について、速球への対応を指摘する声が聞かれたが、少し甘いコースでもファウルにしてしまう。一方、ソフトバンクの打者は一球で仕留める。

この違いは何か。いろいろな要因が考えられるが、ひとつはタイミングの取り方。ソフトバンクの選手はみな始動が早い。一本足打法の王さんの指導が伝統として浸透しているのか、早めに足を上げて、空振りしてもいいからと背中まで振り切る。三振を恐れていないし、割り切りが上手だよね。9番の甲斐までもがそのスイングをするんだから。始動の早さで言えば、かつての巨人・高橋由伸のイメージ。投手が投げる前に足を上げて打ちにいっていたよね。

それと、巨人の各打者は初戦に千賀の低めを徹底的に見逃していたでしょう。あれはあれで見事だったけど、そうするとぎりぎりまでボールを見ようと意識が働くから、速球にどうしても差し込まれてしまう。そうした背景も、対応ができなった一因に挙げられるだろうね。(上記記事より引用)

内田氏は巨人の打撃コーチを1994年から務め、松井秀喜や高橋由伸らのスター選手を育て上げた。指導者としても参謀としても一線級の人材だ。2005年オフには原氏から、「内田さん、今度こそ思っている野球がやりたい。だから優勝したいんです。力を貸してください。お願いします」と入閣を要請されるほどの信頼を得ていた。

2001年から阿部を指導した内田氏は「アマチュアのときからバッティングはできている。直すところなんて感じなかった。彼の大学からやってきたスタイルでやっていこうというが僕の考えだった」というコメントを残している。

とはいえ、バットを多く振ることだけは2人の間で徹底されていたそうだ。神宮球場や横浜スタジアムで試合がある日でも、巨人の練習施設でバットを振ってから球場に足を運ぶようにしていたという。内田氏は「ただ漠然と振るのではなく、本気になって振っていた。レギュラーとして試合に出て、“おいしい”部分を知っているからね」と推測する。

負担の大きい捕手のポジションを務めていることもあり、長嶋監督からは「阿部は疲れていないか」とよく聞かれたという。それでも長嶋監督は内田氏に信頼を寄せ、阿部への指導スタイルに反対はしなかったそうだ。阿部はこうした若手時代を過ごし、驚異的なスイングスピードを身につけて歴代トップクラスの捕手へと成長した。

この内田氏のように、石井氏もチームの首脳陣の顔として名選手を育てていくことに期待したい。

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