【名言集】光文社新書の「#コトバのチカラ」 vol.17
新雅史『商店街はなぜ滅びるのか』
社会学を一〇年以上学んでいるわたしでさえ、将来どのような社会になるのかをまるで想像できないのだから、若者たちが、結婚や子育てを現実的な選択肢と考えることができないのも致し方がない。
土佐昌樹『アジア海賊版文化』
アメリカの文化的影響はアジアの大衆が好んで受け取ったものであり、ハードパワーが背後から脅迫してなしとげた成果ではない。また、同時に重要なのは、アメリカ化を推進してきたアメリカとは固定した主体ではなく、アメリカそのものが絶えず変貌してきたという事実である。
武澤秀一『神社霊場 ルーツをめぐる』
死のケガレを契機としてお寺と神社の棲み分けがなされると同時に、神仏の習合もまた進んだ。それは一見矛盾するように見えるが、お互いの性格や存立基盤を補強するためであれば、積極的に相手の要素を取り込んだり、部分的に融合したりしたのである。
野口恵子『失礼な敬語』
便利だからと言って使いすぎると、言葉はすり切れる。支え合い、分かち合う、和の精神から生まれた「よろしくお願いします」が過剰使用や誤用によってその意味を失うのは、実にもったいないことである。
森下伸也『逆説思考』
人間なしの文明などありえないわけだから、これはつまるところ文明とは自壊するものという逆説でもありえよう。そういえば、極限まで高度化した人工環境のうちには、核兵器や地球環境破壊など、まさしく文明の自爆装置がふくまれているのであった。
前田亮一『今を生き抜くための70年代オカルト』
人類を超える人工知能と向き合ったとき、僕らは、どれほど正気を保てられるのであろうか。
そのような状況は、たとえば、宇宙人と突然遭遇してしまった状況に似ているように思う。まさにコンピューターやインターネットの中にオカルト(隠された)世界が出現してきたともいえるだろう。
玉置妙憂『死にゆく人の心に寄りそう』
人生の着地態勢に入ったとき、治療の及ばない地点に至ったとき、人は医療とは別のものを求める。いわば、生きていくための医療と死後の宗教の間にある、死にゆく魂のケアを求めるのです。