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「おーいお茶」にはなぜ俳句が載っているのか?―”ゲーム宣伝屋”小沼竜太×ニッポン放送・吉田尚記アナウンサー

光文社新書編集部の三宅です。先日、青山ブックセンター主催で、リュウズオフィス小沼竜太さんとニッポン放送アナウンサー吉田尚記さんのトークイベント(ウェビナー)が行われました。お二人の新刊『伝え方は「順番」がすべて』(光文社新書)、『元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』(アスコム)の刊行を記念したものです。

お二人はもともと親交がおありで、トークも和気藹々と進みました。最後の質問コーナーも含め、あっという間の1時間半でした。

今回のトークのテーマはコミュニケーションです。小沼さんはゲームのPR=ユーザーコミュニケーションの専門家、吉田さんはラジオアナウンサーですので、言わずもがな、リスナーとのコミュニケーションが仕事です。つまり、コミュニケーションの達人であるお二人が、その技(業)について語り合う、たいへん中身の濃いものでした。

吉田アナが冒頭でおっしゃっていましたが、今回のトーク自体が、コミュニケーションの技の実践というメタ的な構造にもなっています。

聞いていて楽しいだけでなく、一人のビジネスパーソンとして、たいへん得るものが多かったので、その内容の一部をお伝えしたいと思います。それにしても、吉田アナはお話も進行も上手い! プロだから当たり前、と言われればそれまでですが、聞いていて惚れ惚れしました。

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ウェビナーに参加した皆さんには、このように見えていました。念のため、左が小沼さん、右が吉田アナです。

実は私は、発信元の小沼さんのオフィスにお邪魔していました。青山ブックセンターさん主催だったのですが、お二人のトークは別の場所で行われていたのですね。以下はその様子です。お二人の間にはしっかりとアクリル板が設置されています(撮影:田中嘉人)。

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さて、本題に入ります。

小沼さんは、ゲームのPR(ユーザーコミュニケーション)の専門家です。詳しくは下記記事をご覧ください。

ただ、ユーザーコミュニケーションと言っても、よくわからないですよね? 宣伝と何が違うの?

この疑問に答えるために、例に挙げられたのが、ノドを潤すために、たまたまお二人の手許にあった「おーいお茶」(伊藤園)です。

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「おーいお茶」の各ボトルに俳句が載っているのを、皆さんはご存知でしょうか? 「おーいお茶」をたくさん売るのに、この俳句は不要なはずですよね。マーケティング的な売り上げ目標を達成するには、もっと直接的にCMをばんばん打つとか、売り場で目立つような施策を行うとかすればいいはずです。当然、そういうこともやっているはずですが、この俳句も何十年も載せている。

これは何のためか? 

これこそがユーザーコミュニケーションの一例だと小沼さんは言います。おそらく、この俳句が「おーいお茶」とそれを飲んでいる人の間の絆のようなものになっている。何十年と続けていくことで、それがユーザーの記憶にも残り、「おーいお茶」のブランドの体験として蓄積されていく。ブランドに対する揺るぎない信頼と愛着が生まれ、CMで見たから、店頭で山積みされていたから、というのと別の理由で、買い続けてしまうわけです(あるいは、CMや店頭展開との相乗効果によって)。

CMや販売促進と違って、この俳句の効果はわかりにくい。それなりにお金もかかるはずですから、経営判断として止めるという選択肢もあったはずでしょう。でも続けている。売れ行きにどれだけの効果があるのか因果関係は不明でも、何らかの手応えがあるのでしょう。

ちょっと調べてみたら、「おーいお茶」の「新俳句大賞」は平成元年から始まり、もう30年近く続いているようです。立派すぎるウェブサイトもありました。

これはすごい。我々が「おーいお茶」=俳句と認識するだけの蓄積を築き上げていますね。

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この「新俳句大賞」と比べるのはおこがましいのですが、この光文社新書のnoteも、似たような目標を持っています。もちろん、アマゾンのリンクを貼ったりして直接的な販売を狙っている部分もありますが、どちらかといえば、読者の方々に光文社新書というレーベル自体を知ってもらいたい、愛着を持ってもらいたいという目的で、日々更新しています。それが上手くいっているか、わかりませんが……。

このあたりで、お二人の新刊のアマゾンのリンクを貼らせていただきます。数字を取りにきました(笑)。

吉田さんの新刊、私はキンドル版で拝読しましたが、役に立つだけでなく、とても面白いです。

小沼さんのユーザーコミュニケーションの話で、忘れてはいけない重要なポイントは、数字も大事だということです。数字で効果が計られるCMも販売促進も不可欠ですし、ユーザーコミュニケーションにおいても、陰でしっかり計算をされているそうです。サイエンスとアート、両方が大切ということですね。

最後に一点、ゲーム業界特有の恐ろしさを感じたのは、宣伝なりユーザーコミュニケーションを始めるにあたり、完成品がないこと。我々の業界の書籍でしたら、多少粗くても原稿があり、完成品のイメージができますが、ゲーム業界ではパワポ数枚の企画書しかない段階で、ユーザーコミュニケーションを組み立てていかざるを得ないこともあるそうです。それなのに開発費が10億円超とか、ふるえて眠れません。その方法論の詳細は、ぜひ、上記書籍をご一読ください。

小沼さん、吉田さん、お忙しいなか、どうもありがとうございました! 青山ブックセンターの本田翔也さん、視聴してくださった皆さんにも感謝申し上げます!





 


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