つらい痛みが消えた!正しい身体の使い「型」とエクササイズを動画で学ぶ――新刊『痛みが消えていく身体の使い「型」』より
「ひ~ざ!!」錦鯉のネタではありませんが、50を過ぎると体のいろんな部位が痛くなりますよね。首、肩、背中、腰、膝などなど。その大部分が、実は誤った体の使い方にあることはご存じでしょうか? 「体の使い方」というと、多くの方がスポーツを連想すると思いますが、日常生活においても、体に負担をかけない効率的な動きや姿勢が存在するのです。立つ、座る、歩く、物を持ち上げるなどなど、一生の間に何十万回と行う動作が誤っていたら、いつか壊れるのは自明の理ですよね?
伊藤和磨さんの新刊『痛みが消えていく身体の使い「型」』では、日常の様々な動作における正解(型)を解説しつつ、誤った動作を矯正するためのエクササイズを紹介していきます。
ここまではよくある書籍の紹介ですが、本書がすごいのは、すべての型とエクササイズを動画で解説していること。
このように本書の至るところにQRコードが掲載され、ここから解説動画に飛ぶことができます。
動画の一つを掲載します。本書には、このような動画に飛べるQRコードが60以上掲載されています。
伊藤和磨さんの新書前作は『アゴを引けば身体が変わる』で、こちらは5万部までいったベストセラーです。ただ、解説は文章とイラストのみで、読者の方から多くのお問い合わせをいただきました。
伊藤さんの前作は『アゴトレ』という単行本で、こちらではDVDで動きの解説を行っています。ちなみに書籍本文はオールカラーです。
ITの進歩に伴い、今作では新書でありながら、スマホ片手により簡便に動画で学べる形になりました。
ぜひ、皆さんも、本書の型やエクササイズで、つらい嫌な痛みから解放されてください!
さて、本記事では、『痛みが消えていく身体の使い「型」』から「はじめに」と目次を抜粋します。ぜひ参考にしてみてください。
はじめに
私はこの22年間、長引く痛みに心が挫けて治すことを諦めてしまった人たちを診てきました。痛みは、シロアリが柱を喰い潰すように、精神を少しずつ蝕(むしば)んで脆弱(ぜいじゃく)にしていきます。自尊心や生きていく気力を失い、精神が病んで生活が破綻(はたん)してしまう人も珍しくありません。
医学的な知識を豊富に有している専門家でも、いざ自分が身体を壊すと素人のように慌てふためくものです。
これは慢性痛を経験したことがない人には、理解し難いことかもしれません。
痛みは、ストレスや体調、性格、疲労によって感じ方や反応が異なりますが、痛み自体が最も強いストレスになり得ることを、もっと多くの人が理解するべきです。
痛みを放置すると、脳内の痛みを伝達する神経回路に異変が起きて、痛みの感じ方や解釈のしかたが変化してしまいます。そして、脳が架空の痛みを生じさせることもあります。
いずれにせよ、神経系のダメージが大きくなる前に、原因を探して対処していくことが重要です。
私自身も持病の坐骨(ざこつ)神経痛が悪化し、歩くどころか1分間も立っていられない時期がありました。信号の色が変わる前に横断歩道を渡り切るのがやっとの状態になったとき、腰痛症の専門トレーナーとして惨めで情けない気持ちになりました。
複数の病院で検査を受けた結果、「椎間板(ついかんばん)が完全に潰れているから、手術をしなければ歩けなくなる可能性がある」と忠告されましたが、メスや薬に頼ることなく自分のやり方で治すことを決意しました。
自分のやり方とは、姿勢、呼吸、歩き方、かがんだりしゃがんだりするときのフォームなど、なんとなくやってきたことを見直して実践することです。
姿勢や呼吸、フォームを意識して動くようになってから、1カ月半くらいで痛みと不安がなくなっていき、いつの間にか普通に歩けるようになっていたのです。
この経験を通じて学んだことは、身体の使い型がどれほど重要か、ということです(ここではあえて「方」ではなく「型」と表記します。理由は第1章で述べます)。
多くの人は、立っているつもり、座れているつもり、歩けているつもりでも、実際にはきちんとできていません。点数をつけるとしたら、良くて60点くらいでしょうか。
私たちは、基本の型というものを教わったことがありません。すべて我流であり、いわば型なしです。型なしで崩れた姿勢や間違った動作パターンを繰り返していたら、いずれどこかに問題が起きてもおかしくありません。
ほとんどの慢性痛や不調は、長年の姿勢や身体の使い方の癖が原因で起きています。ですから、基本の型を身につけて実践することしか、根本から解決する手段はないのです。
はじめはうまくいかなくても、やり続けていれば必ず身につきます。「知っている」から「やっている」に変わったとき、治らないと思い込んでいた症状も、きっと改善されるはずです。
誰かに治してもらおうと他者に望みを託すよりも、自分の身を守る知識とスキルを習得する方が、確実にコンディションは上向きになります。
一人でも多くの人が機能的な身体の使い型を実践して、生涯を痛みなく暮らせるようになれば嬉しい限りです。
目 次
※【 】は動画のQRコードのページを示します。
はじめに
第1章 「型なし」になった現代人
姿勢を見ればその人がわかる 16/日本人の身と身体 18/日本人の姿勢が崩れたワケ 20/ゆがんでいるのが普通 22/基本の型=姿勢とは 24/基本の型を身につける 25/【壁の角を使って姿勢セットアップ】26/身体の中心を整える 27/【片脚荷重の癖を直す方法】27/【かかしテスト/かかしテストからの矯正ストレッチ】28/型を整える6つのコツ 29/コツ①スタンスを決める 30/ふたつのスタンス 31/【パラレルスタンスの調整方法】32/【スプリットスタンスの調整方法】33/【スプリットスタンスで休む】34/コツ②つま先を正面に向ける 34/外股(ガニ股) 35/内股 36/コツ③かかとで立つ 37/【最適な立ち型】38/コツ④視覚で姿勢を正す 39/コツ⑤肩甲骨のリセット 40/【肩甲骨のリセット】41/コツ⑥アゴで姿勢をキープ 42/チンインするための準備 43/【固定視のトレーニング】43/首の前面のストレッチと下アゴのマッサージ 44/【広頚筋のストレッチ】44/【下アゴのマッサージ】45
第2章 腰痛にならない「座り型」
座り型で身体は変わる 48/腰掛けてデスクワークをする時代へ 50/キーポイントは「立腰」 52/腰痛にならない座り型 4つのポイント 54/ポイント①ヒンジして腰掛ける 54/【坐骨枝の部位とヒンジして座る理由】56/【ヒップヒンジのやり方】58/【最適な座り型】58/ポイント②座面を高くする 59/【座面の高さと座りやすさ】61/ポイント③座面の端に腰掛ける 64/【座り直し型】66/ポイント④スタンスを調整する 66/【スタックシッティングの座り型(スプリットスタンス)】68/床座のリスクと最適な座り型 68/腰痛にならない立ち上がり型・椅子バージョン 71/【最適な椅子からの立ち上がり型】72/腰痛にならない立ち上がり型・床バージョン 74/【最適な正座】75/【最適なあぐらのかき型】75/脚を組む理由と矯正ストレッチ 76/脚を組まないようにするための股関節のストレッチ 77/【脚を組む理由と矯正ストレッチ】78 デスクワーカー向けの休息ストレッチ 78/【上半身のねじれを矯正するストレッチ】80/【猫背を改善するストレッチ】81/【太もものストレッチ】82/【脇の下をほぐすマッサージとストレッチ】83/【アーチェリー】84/お勧めの椅子 84
第3章 疲れとストレスを消す呼吸のしかた
呼吸のダイエット 89/深いため息は最良のデトックス 90/いかにリブフレアを防ぐか 93/【呼吸と姿勢のつながり】97/リブフレアを解消して体幹を安定させる 97/横隔膜呼吸を身につける 99/実践 横隔膜呼吸を身につける・息の吐き型 101/【最適な呼吸のしかた】102/息の吸い型 104/鼻から息を吸う 105/【最適な呼吸のしかた(再掲)】106/様々な体勢で呼吸の練習をする 108/【背中や腰を拡張して息を吸う練習】108/【座位での呼吸】109/【立位で息を吐く】110/ブレーシングで身体のコア(核)を固める 111/ブレーシングテクニックの仕組み 113/ブレーシングを身につける 115/①呼吸しながらお腹の張り出しを維持する 116/【ブレーシングのやり方】117/②3カ月ポジションでブレーシング 117/【ブレーシングテクニック 3~6カ月ポジション】118/③6カ月ポジションでブレーシング 118/④ローリング――胸郭と骨盤のねじれを抑える能力を養う 119/【ねじれをブレーシングで抑える】120/⑤マーチング――脚の動きをIAPで制御する能力を養う 120/【ブレーシングして下肢の運動】121/⑥着座姿勢でブレーシングしたままマーチング 121/【座ったまま行うブレーシング】121/⑦実践的な動きの中でIAPを維持する 122/【日常でブレーシングを活かす方法】122
第4章 身体のゆがみが整う「歩き型」
歩けているつもり 126/なぜ歩き型が大事なのか 128/日本人の歩き型は格好悪いのか? 130/和式と洋式の歩き型の違い 133/【最適な歩き型/最適な歩き型スローモーション】136/歩き型のコツ①膝を伸ばして歩く 136/【西洋式の歩き型】139/【日本人的な歩き型】141/歩き型のコツ②かかと接地の利点 141/【かかと接地のメリット】143/歩き型のコツ③かかとを引き上げる 143/歩き型のコツ④腕の振り 145/【最適な腕の振り方】146
第5章 知らなきゃ損する「しゃがみ型」と「かがみ型」
「しゃがむ」と「かがむ」 148/【「しゃがむ」と「かがむ」の違い】148/生涯維持されるべきしゃがみ型 151/ヒップヒンジができれば多くの問題は解決する 152/ヒップヒンジを身につける 155/ヒップヒンジを身につける①鼠径部のストレッチ 155/【腸骨筋のストレッチ】157/ヒップヒンジを身につける②キャット・キャメル スフィンクス 内転筋のストレッチ 157/【キャット・キャメル/スフィンクス】159/【内転筋のストレッチ】160/ヒップヒンジを身につける③ロックバック 161/【ロックバック】161/ヒップヒンジを身につける④立ち膝のヒップヒンジ 163/【立ち膝のヒップヒンジ】163/ヒップヒンジを身につける⑤立位で股関節を畳む 164/【ヒップヒンジのやり方(再掲)】164/ヒップヒンジの効果を最大化する「かかと」 165/最適なしゃがみ型を身につける 167/しゃがみ型を身につける①安定するスタンスを見つける 168/【しゃがみ型を身につける①安定するしゃがみ型のスタンスを見つける】169/しゃがみ型を身につける②チェアスクワット 169/【しゃがみ型を身につける②チェアスクワット】170/しゃがみ型を身につける③つかまり立ち 171/【しゃがみ型を身につける③つかまり立ち】172/最適なかがみ型を身につける 173/かがみ型のポイント 175/【足裏の荷重位置によるフォームの違い】177/かがみ型を身につける①エンドポジションを知る 177/【かがみ型を身につける①エンドポジションを知る(野球の休憩姿勢)】179/かがみ型を身につける②腿すり体操 179/【かがみ型を身につける②③腿すり体操/スプリットスタンスでのヒンジ】180/かがみ型を身につける③スプリットスタンスでのヒンジ 180/かがみ型を身につける④ヒンジを活かして持ち上げる 181/【かがみ型を身につける④ヒンジを活かして持ち上げる】183
第6章 「頚性うつ」の予防と改善
自身が体験したからこそわかること 186/ひょんなことから治し方を見つける 188/FHPによる頚椎の地滑り 191/頚性うつの鍵を握る後頭下筋 193/FHPを予防する舌の威力 195/正しいスマホの見方 198/FHPにならないデスク環境 198/後頭下筋群の凝りを改善する方法 200/【後頭下筋群のマッサージ】200/タオルを使って頚椎のアーチを回復 201/【頚椎のモビリゼーション(タオル)】203/頚椎の強張りを緩める回旋運動 203/【頚椎のモビリゼーション(クッション)】204/【頚椎のモビリゼーション(両手を開く)】204/アゴを引く機能を高めるための運動 205/【壁の角を使って休憩する】205
おわりに
動画一覧
参考文献一覧