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【インタビュー】『巨人軍解体新書』発売記念! 野球部と「体育会系」文化の未来(後編)

野球ファンのみなさまにご好評頂いているゴジキ(@godziki_55)さんの連載「巨人軍解体新書」。今回は、本連載をベースにした書籍『巨人軍解体新書』の発売を記念して特別インタビューをお届けします。
近年問題としてあげられる「体育会系」の弊害や今後の指導方法、書籍でも折に触れて述べている「ヤンチャ」な選手といった野球選手の育成全般をテーマに語ってもらいました。

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◆選手やフロントの「頭の良さ」

―ここまで高校野球を念頭に話してもらいましたが、巨人軍の選手育成に対するアプローチに関してはどのような印象ですか?

原監督は3度目の就任ということもあり、落ち着いてきているなという印象です。うまくやっている感じがします。一方、2軍の阿部監督は厳しい方針で賛否両論の意見を目にします。直江投手のようにそうした指導が良い方向に働いて成長する場合もあるので選手次第ですが、異なる性格の選手をどう扱って伸ばしていくかは今後興味深いです。今の時代の新しい指導者の中にはむしろ珍しいタイプですね。

―昔は野球人口も多かったから「10人に厳しく接して3人這い上がってくればOK」という考えでも成立してしまいましたが、今は無理ですからね。

今の2軍、3軍の選手は現役時代の阿部をリアルタイムで見て憧れているから、多少のしごきは耐えられるかもしれません。ただ、5年後のルーキーはどうなのか。そのころには大ベテランとなった坂本が橋渡しの役割を担うことも考えられます。

―ちなみに、プロの選手で「頭がいいな」と思う人はいますか?

色々いますけど、例えばダルビッシュ有や菅野智之、金子弐大のように投げられる球種の多い投手のピッチングを見ていると、頭の良さが伝わりやすいですね。調子の悪い時でも、その日の調子の良い球を中心に据えて投球を組み立てていく。

―選手以外ではどのような印象をお持ちですか?

連載の中でも何度も言っていますが、巨人(やソフトバンク)は投手起用であまり賢くない瞬間があります。手札が多すぎるゆえにあれもこれも試したくなって、つまんじゃっている印象です。「実験」として明確な狙いがある起用ならばいいのですが、そういうわけでもなさそうです。一方で、大したことない場面で主力を注ぎ込んでコンディションを崩したり……。

―中継ぎ酷使の問題は体育会系カルチャーに通じる部分がありそうですよね。

(ソフトバンクの)サファテが問題提起したりしましたが、やはり実績の少ない若手投が声をあげるのは難しいのでしょう。もちろん短くても、中日の浅尾拓也みたいにMVPを獲るくらい太く、濃いキャリアならば自身の納得感を含めいいのかもしれませんが。采配側は自身の進退や契約などポストの兼ね合いもあるから、選手の将来よりも短期利益を求めて使い潰しをしてしまいがちです。

◆必要なのは「ヤンキーマインド」

―ここまで「体育会系」の良くない点を取り上げてきましたが、書籍では「ヤンチャな選手」の必要性を述べていますよね。

はい。いわゆるヤンチャな選手でも、野球に対して真摯であれば問題ないと考えています。もちろん暴力沙汰などは論外ですが。坂本勇人や鈴木誠也などが持っているであろう「ヤンキーマインド」は大事ですよ。

―具体的にはどういう精神ですか?

責任感はあるけれど、抱え込みすぎない。だから潰れないし、大舞台でも呑まれずに活躍できる。いい意味での開き直りや、無理なものは無理という割り切りですね。試合中だけでなく、練習でも自身で取捨選択して聞くべきアドバイスだけを聞き、他は聞き流す姿勢も重要です。要は自分の頭と感覚が第一ということですね。

―一見すると似たように思えますが、ヤンキーマインドは体育会系とは似て非なるものなんですね。

野球選手はアスリートなんですからお行儀よくある必要はなくて、ある程度の野蛮さはあっていいと思います。「なめられたら負け」というある種ヤクザ的な闘争心というか。いくら科学的なトレーニングが進歩したりデータをもとにしたプレイが当たり前になっても、最後は「動物的な強さ」が必要です。上の人から見ればある意味で都合の悪い、扱いにくい人間になるかもしれませんが、それでいいでしょう。もちろん、あえて表立って反抗する必要はなくてやり方は人次第ですが、周囲の声に流されすぎず自分の都合にあわせて考える必要があると思います。

―選手に対して「ヤンチャ」という言葉で表すのは野球くらいのイメージです。

すごいオブラートの包み方ですよね(笑)
ただ、自分で考えることが大事とはいえ、最低限こなすべき量はあると思います。そこすらやらない人はダメかなと。

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