管理栄養士に聞いた「コロナ太り」を防ぐコンビニ活用法って?
大手企業の特定保険指導や栄養相談、病院の臨床研究で栄養療法を監修するなど、医薬に頼りすぎない新しい治療法をサポートしている管理栄養士の麻生れいみさん。そんな麻生さんは、5年後・10年後の健康のベースをつくるための食事の考え方を綴った、『管理栄養士が伝える 長生き食事術』を上梓しました。本書では糖質制限を軸に話が進められていますが、予期せぬ災害などの危険性が高まる現代、免疫力を高めるためのバランスの取れた食事方法なども綴られています。
非常時に欠かさないようにしたい食材
非常時に、何よりも欠かさないようにしたい食材は、たんぱく質、ビタミン、ミネラル。いずれも体内で作り出せないため、食事が満足に摂れないと足りなくなり、体調不良に直結する恐れがあります。
乾物や発酵食品などの日本の伝統的な保存食は、非常時にも役立ちます。
高野豆腐、湯葉、麩、カツオ節、フリーズドライの納豆などは、たんぱく源となります。 海苔、わかめ、ひじき、切り干し大根、桜えび、じゃこ、ぬか漬け、梅干しなどは、ビタミンやミネラルの供給源となります。
いつもの味が味わえると、ストレスを受けた心がホッと和みます。
合わせてフリ ーズドライの味噌汁や低糖質のカップ麺を用意。味噌汁やカップ麺に海苔やわかめをトッピングすると、それだけでも栄養バランスが整います。
もっとも摂りにくいのは野菜です。野菜が足りないと、食物繊維も足りなくなり、便秘をして体調がさらに悪くなります。
コンビニでの食事の組み立て方
コンビニの活用法を覚えておきましょう。
肝心なのは、主菜+副菜+汁物という組み立て方です。
ファーストチョイスは、鶏胸肉をしっとり蒸しあげたサラダチキン。コンビニを代表する人気商品であり、各チェーンがそれぞれ自信作をラインナップしています。糖質は1グラム未満なのに、たんぱく質は25グラム以上摂れるものが大半です。ハーブ風味やタンドリーチキン風など、異なる味付けが用意されているので飽きません。
この他、肉類では、豚ロース肉の生姜焼き、ロースハム、レジ横のホットコーナーで買える焼き鳥があります。焼き鳥は糖質が多いタレではなく塩で。
魚類では、焼き魚か缶詰を選びます。焼き魚では、サバやホッケなら一人前(100グラム)で17〜20グラム、鮭なら一人前(100グラム)で19〜22グラムのたんぱく質が摂れます。
缶詰では、サバ缶かツナ缶がポピュラー。サバ缶は糖質が多めの味噌煮ではなく、水煮を選びましょう。サバ缶では1缶(190グラム)約26グラム、ツナ缶では1缶(80グラム)12〜13グラムほどのたんぱく質が摂れます。
この他、ゆで卵、温泉卵、枝豆、冷や奴、納豆などもたんぱく源となります。
続いて買うべきは副菜。野菜、海藻類、キノコ類のおかずです。足を向けたいのは、サラダとお惣菜のコーナー。
ホウレンソウなどの青菜のおひたしや胡麻和え、コールスローサラダ、ブロッコリーなど緑黄色野菜のグリル、ひじきの煮物、わかめサラダ、キノコサラダなどがオススメです。 ビタミン、ミネラル、食物繊維が摂れます。豚しゃぶしゃぶ肉、サラダチキン、ツナ、ゆで卵などをトッピングしたボリュームのあるサラダだと、たんぱく質も補えます。 栄養バランスを整えるために、野菜中心のサラダか、お惣菜+ひじきやわかめなどの海藻サラダかキノコサラダと組み合わせて、副菜を2品食べるようにしましょう。
パスしたいのは、ポテトサラダ、コーンサラダ、マカロニサラダ、パンプキ ン(カボチャ)サラダなど。パスタや中華麺などの麺類がセットになったヌードル系サラダを間違って選ばないようにしてください。
最後に調達したいのは汁物。副菜の仲間であり、汁物があると喉が潤って食事がスムーズになり、お腹にも溜まって過食がセーブされやすくなります。和食に合わせるなら、カップ入りの味噌汁を。気分に合わせて豆腐、なめこ、小松菜、油揚げ、海苔など具材を好きに選んでください。
洋食に合わせるなら、卵スープやコンソメスープなどのように、澄んだものをチョイスしてください。コーンやジャガイモのポタージュスープのように白濁したものは糖質がリッ チですから、要注意です(日本では一般的に澄んだスープはコンソメ、とろみがついたスープをポタージュと呼びます)。
澄んだスープで気をつけたいのは、春雨入りのスープ。春雨は透明でヘルシーなイメージを持っている人も少なくありませんが、春雨は麺類の一種。糖質の固まりです。
オヤツなど間食でオススメなのは、次の食材です。
コンビニなどで手軽に買えるのは、おしゃぶり昆布、スルメ(あたりめ)、ビーフジャーキー、ミックスナッツなど。コンビニでは、おつまみコーナーにあります。
同じイカでも、食べやすく加工されたさきイカなどは甘く味付けされていることがありますから、袋の栄養成分表示で糖質量を確認しましょう。
ミックスナッツは塩分を加えず、シンプルに素焼きにしているものを選んでください。これらはいずれも噛み応えがあり、咀嚼をしているうちに脳が満足して空腹や口寂しさを感じにくくなります。
おしゃぶり昆布やミックスナッツからはミネラル、スルメやビーフジャーキーからはたんぱく質も補えます。
次にお薦めしたいのは、良質なたんぱく質と脂質が摂れるもの。たんぱく質と脂質は食欲を抑えるホルモンを分泌する働きがあるからです。
たんぱく質と脂質が摂れる代表選手は、卵とチーズ。私が好きでよく食べているのは、うずらの卵。水煮がコンビニなどで手に入ります。殻を剥かずにそのまま食べられるのがメリット。同じように、そのまま食べられる煮卵でもいいでしょう。
殻を剥くのが面倒でなければ、ゆで卵や温泉卵もアリです。 チーズはプロセスチーズではなく、カマンベールチーズやチェダーチーズなどのナチュラルチーズを選ぶようにしてください。プロセスチーズに含まれる乳化剤が健康維持に関わる腸内環境を乱す恐れがあるからです。
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目次
はじめに
第1章 5年後、10年後の健康のベースを作る
第2章 食事の基本
第3章 たんぱく質と脂質との付き合い方
第4章 シーン別・食事マネジメント術
第5章 糖質過多が万病を招く
第6章 新・栄養ピラミッド
あとがき
著者プロフィール
麻生れいみ(あそうれいみ) 管理栄養士。大手企業の特定保健指導・栄養相談を務めるかたわら、病院の臨床研究において栄養療法を監修。医療と予防医学、栄養学を深く結びつける役割を担うべく、料理研究を行う。ダイエット指導においては、自らもやせた経験を基に、これまで6000人以上に指導。その他、飲食店メニュー開発、調理指導、フードコーディネート、講演等、活動は多岐にわたる。日本栄養食糧学会会員、日本抗加齢医学会会員、食育栄養インストラクター。著書に、『免疫栄養ケトン食で がんに勝つレシピ』『ボケないレシピ』(以上、光文社)、『麻生れいみ式ロカボダイエット』(ワニブックス)などがある。