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ブレグジットがもたらした静かなる激震|サッカースカウトが見る現場目線のフットボール vol.7

お知らせ

この連載をもとにした書籍『スカウト目線の現代サッカー事情』が2024年2月15日に発売されます!書下ろしも含めて大幅な加筆修正を行いました。ぜひチェックしてみてください!

イングランドのプロクラブでサッカースカウトとして活動する田丸雄己(@scoutyuki)さん。
現場目線でフットボールの今を伝える連載の第7回は、スカウトの仕事ひいてはサッカー界がいかに「社会」とつながっているか、いかに社会情勢の影響を受けているのかについて語ってもらいます。田丸さんの活動するイングランドといえば真っ先に思い起こされるのがEUからの離脱「ブレグジット」。この激震は大きく、若手の移籍・アカデミー編成・選抜方法などにおいて玉突き現象のごとく変化が生じています。


【これまでの連載は↓↓↓から読めます】

スカウトはサッカー界を超えた「社会」の枠組みに影響される

フットボール界には今も昔も「トレンド」が存在し、我々のフットボールの解釈方法や見方、向き合い方に影響を及ぼす。今回はそんなフットボール回のトレンドについて、スカウトの目を通して話してみる。

トレンドを紹介する前に、そもそもスカウティングとはどのような事象であるかについて少し解説したい。事象そのものを理解することで、後述するトレンドが生み出される原因や理由を把握できるからだ。

この連載では触れてこなかったが、私はスカウティングの仕事と並行して、イギリスの大学院でパフォーマンス分析について勉強している。大学院ではフットボールを学術的に研究することが求められるため、実践的な内容とは違う角度からこのスポーツを見る機会が与えられる。自分の専門は「タレント発掘、確定、確保における学術的パフォーマンス分析のアプライ(実践)」である。簡単に言うと、良い選手を見つけるためにどうテクノロジーやシステムを使うかということだ。

学術論文において、選手のタレント発掘は「ダイナミックでホリティック、そして社会的な影響を受けながら、適切なタレントを発見・確保していく行為」と定義されることが多い。これが意図するところは、タレント発掘には複雑性、予測不可能性が存在し、パフォーマンスのみならず、様々な内的&外的要因が絡まって起きている現象だということ。そして、それらは「サッカー」という断絶されたコミュニティ内だけで完結せず、さらに大きな「社会」という枠組みの中で起きているということだ。トレンドを考える際には、この「スカウティングはサッカーを超えた『社会』の枠の中に存在している」ことが一つ鍵となる。

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