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ゴジキが振り返る2020年シーズンの巨人軍【10月】(投手編)

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を徹底分析。
今回は、10月の巨人軍の戦いを振り返ってもらいました。

ピークから下降気味の勝ち頭2枚

10月の巨人軍の投手陣を見ると、今シーズンの中でピークが過ぎてしまったようにも思えた。

菅野智之と戸郷翔征はシーズンを通してローテーションの軸として投げてきたが、9月からは調子が下降気味なのが顕著に現れている。

菅野の場合は、開幕13連勝を飾り、9月の防御率は2点台となんとか抑えていたが、明らかに開幕当初から夏場まで見せていたようなボールの強度はなく、結果的に抑えていてもボールを芯で捉えられている試合もあった。そして10月は打ち込まれる場面も増えていき、月間で2敗を喫し、防御率も3.24と成績が下降した。新型コロナウイルスの影響で調整の難しさが際立った今シーズンだが、日本シリーズに向けてエース菅野の状態が下降していることは最大の課題だろう。

戸郷は、高卒2年目ということもあり、大事に育成してほしかった反面、投げてる球自体は高卒2年目の域を超えている。これだけのパフォーマンスを残せていたからこそ、序列的に見ても菅野の次に名前があがっていた。
しかし、戸郷も月別の防御率が9月は4点台であり、10月も3点台と改善されたとはいえ、フルシーズンの疲労が如実に現れている。逆に言えば高卒2年目でこのピッチングができているからこそ、年齢と共にシーズンを投げ切る体力がついてくれば、菅野智之の次なるエースの座は見えてくるだろう。

菅野もそうだが、戸郷の場合は、ローテーションを飛ばすなどの考慮もされた。しかしそれでもなかなか調子が上がらないため、一度菅野のように登録を抹消した上で調整させていくことも一つの手段だろう。

ブルペン陣の起用法でツケが回った10月

開幕から屈指の力を誇っていたブルペン陣だったが、9月下旬の大竹寛の抹消からはじまり、10月上旬にも中川皓太が抹消された。

この左右2枚の投手は(下記の記事でも書いたが)中継ぎの枚数がある程度揃った時点で「勝ちパターン」として確立させ、無理のない運用をしていくことが必要だったに違いない。

中川と大竹が離脱したことによって、今度は高梨雄平や大江竜聖といった投手に皺寄せが来ている。彼らの負担が倍増することになってしまった。

高梨に関しては、10月の月間防御率が4.32であり、大江も4.91と調子が下降していることは数字からして明白だ。

チーム全体もそうだが、投手陣を全体的に見ると、大型連戦で大きく勝ち越していた9月中旬頃までが今年の強さのピークだったように感じる。
9月中旬以降はスムーズに勝てていた試合でも無駄な継投をしていたため、それ以降に一気にツケが出始めた。

これまでの記事でも(それこそ開幕当初から一貫して)述べているが、日本シリーズや来シーズン以降に向けて、現状の投手運用は絶対に見直すべき点である。また、これだけ枚数が揃ってるからこそ、4連投以上は禁止して、ごく稀に見られた、高梨を9回に回すなど勝ちパターンの複数化の工夫も必要になっていくだろう。

12球団屈指の「ディフェンス力」の課題点

今シーズンの巨人の守備は数字的にも良く、失策数は39(10月31日時点)と12球団中最少である。この固い守りによる隙のない野球で、終盤にも強い試合運びをしてきた。

二塁手としてトップクラスの守備範囲を誇る吉川尚輝と歴代トップクラスの遊撃手である坂本勇人の二遊間のコンビは、守備範囲が広いのはもちろんのこと、阿吽の呼吸でありバランスも非常に優れている。今シーズンは吉川尚輝に大きな怪我がなかったため、開幕から鉄壁の二遊間が形成できた。これはチームが首位を快走した大きな要因だろう。さらに、坂本もキャリアで最小の失策数の4(10月31時点)を誇っている。

今シーズンから三塁手に固定されている岡本和真も、バント処理などのチャージには課題があるものの、左右のゴロに対する反応は以前よりも上達した。

しかし、そのディフェンス力も崩れ始めており、9月中旬以後の失策数は23(9月16日〜10月31日の間)と大幅に増加している。数字にするとなんと、シーズン全体の失策の中で半数以上をここ1ヶ月半のものが占めていることになる。

これまでの試合では守備の固さから投手陣をカバーしてきただけでなく、攻撃へのリズム、流れを作っていた側面もある。ところがこの調子では、日本シリーズで致命的なミスが出ることも最悪の事態として想定される。開幕当初からシーズン中盤まで披露してきた鉄壁のディフェンスを復活させることは急務だ。

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