木村拓哉も「おじさん構文」!?LINEで気をつけたい絵文字と文体|辛酸なめ子 #11
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木村拓哉も「おじさん構文」!?LINEで気をつけたい絵文字と文体|辛酸なめ子 #11

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絵文字が多い、句読点が多い、語尾にカタカナを多用……「おじさん構文」の特徴

 このところ「おじさん構文」がネットで話題になっています。若い女性がわざとおじさんっぽい文体でメッセージを送り合ったり、キモがりながらも楽しんでいる様子。

 以前「めざましテレビ」で「女子が選ぶおじさんっぽい絵文字」が特集されていました。真っ赤な「!!」や「!」、「冷や汗笑顔」と呼ばれる、汗をかいた笑顔、水滴の汗の絵文字、そしてスマイルマークなどが挙げられていました。

「冷や汗笑顔」はたしかにおじさん世代に根付いている風習で、あの木村拓哉でさえもインスタやウェイボーなどで「冷や汗笑顔」の絵文字を使っていて、「おじさん絵文字」だと言われていました。おじさんの気恥ずかしさを表現していますが、汗マークを使いがちなのは若い頃のように新陳代謝を活性化したい、という思いがあるのかもしれません。

 また、他の「おじさん構文」の特徴としては「絵文字が多い」「一文が長く、句読点が多い」「何の話かわかりづらい」「語尾にカタカナを多用」などがあるようです。

「句読点が多い」ことについてですが、長文で時々息継ぎしたいという体力の衰えが句読点に現れているように思います。

 例えば以前、高齢の父から受け取ったLINEを見てみると、

「明日、30日に、おねがいします。」
「いま、いただいた、みかんを食べ終わりましたが、ちいさいけれど、とてもおいしかったです。」

 といった感じで句点がかなり多く、体力を振り絞っている感じが。

 もはや「おじいさん構文」です。「おじさん構文」と「おじいさん構文」の違いというと、加齢するにつれて絵文字や「!!」を入れる体力もなくなる、という点かもしれません。

「カタカナ多用」はダサさと違和感を与える

「おじさん構文」の話に戻ると、「カタカナを多用」というのはおじさんLINEの例を調べてみても顕著です。「一緒にどうカナ?」「無理しないでネ」「奮発しちゃうゾ」「仲良くしてくださいネ」など、唐突なカタカナに、ダサさと違和感を覚える女性は多そうです。急に距離感を縮めてきているようで、軽い恐怖が。また、親しくないのに名前にちゃん付けしてきたり……。下心を感じさせると女性は引いてしまいます。そして女性に対する敬意があまり感じられません。

 地位や経済力があるおじさんは、高級店の名前を出してやたら誘う、という特徴もあるそうです。好感が持てるおじさんだったら誘いに乗ってもいいのかもしれませんが……。

 ふと、おじさん構文の活用法を思い付いたのですが、逆に男性がしつこい女性からのアプローチを断りたい時、おじさん構文のLINEやメールを送って相手を幻滅させる、というのも手かもしれません。

「ハートの絵文字を使いがち」……「おばさん構文」の特徴

 おじさんのことばかり言っている場合ではなく、わが身も振り返らなければなりません。「おじさん構文」に対して「おばさん構文」というのも存在しているようです。

 おじさんとの共通点としては、メール感覚でLINEを送るので、やはり1回が長文になりがち、ということ。そして絵文字の多用や、ビックリマークやハテナマークも絵文字にする傾向が。この特徴を知って、私も「!!」や「?」だけ絵文字にしていたのでハッとしました。多分、自分自身の体力が衰えてきたり疲れがちなので、LINE上の末尾だけでも元気な感じを出したい、という深層心理だと思います。

 また、「ハートの絵文字」を使いがち、という指摘もありました。男性に対して狙っている感が出てしまい、相手にムリだと思われてしまいます。他には「自分語りをしがち」「真偽不明な健康情報やスピ情報を送る」というのもおばさんの特徴です。思い当たる節がありますが、つい、押し付けがましく知っている知識をアピールしてしまいます。

「誤字が多い」というのは視力が落ちているせいで、とくに夜や暗い部屋で打ったメッセージは、あとで見ると誤字だらけで恥ずかしいです。先日も「すみません仕事終わらず」と打ったつもりが「すみません仕事街わら図」となっていたり……。切羽詰まった感は伝わったかもしれません。「濁点」と「半濁点」の使い分けはもう半ばあきらめています。

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「ラブラブ度を占いたいので生年月日を教えてください」……危険なメッセージ

「おばさん構文」はなんとなくサバサバ系とウェット系に分類されるように思います。

 周りの若い男性に、どういったLINEがおばさんっぽいか聞いてみました。友人のSさんはとりあえず言葉遣いとしては「やれやれ」「アホが嫌い」という具体例を教えてくれました。これはどちらかというとサバサバ系でしょうか。ドライな中に批判や諦めや威圧感が漂っていて怖いです。「やれやれ」は村上春樹の小説の中の人しか言わないと思っていました。サバサバ系は低くどすの聞いた声で脳内再生されそうです。悪口を言いがちなおばさんも怖がられるので気をつけたいです。

 いい意味でサバサバしているLINEもあるそうです。熟女好きの友人いわく「普通、熟女のメッセージはあっさりしているので気が楽です。『一杯飲みに行こうよ』『ごはん行かない』みたいな。でも中には重い熟女もいて……」と、表情を曇らせるIさん。最近、かなり年上の女性の猛アプローチに遭って大変な日々だったそうです。

「すごいきれいな方だったんですが、一回しか会っていないのに連日重いLINEが来て、もうギブアップです……会う前からLINEで話が通じないなと思っていたんです」

 彼女のLINEは「ポエミー」で、お互いが運命の相手だと妄想が暴走している感じだったとか。例えば……

「ラブラブ度を占いたいので生年月日を教えてください」と知り合って間もないのに相思相愛感を出してきたり、「ソウルメイト」「ツインソウル」などのスピリチュアルワードも連発。Iさんはスピリチュアルに関心がなかったので戸惑うばかりだったそうです。「ツインテールってどういう意味ですか?」と何度も間違えていたくらいで、意味を教えしたら怯えていました。他にも「お互いの目と目を見つめ合って瞳を感じましょう」とか「次元上昇と現実逃避しながら自分自身を守ってきました」「光と闇の世界の狭間のリアルストーリー」といったこじらせスピ系構文が連日送られてきたようです。私もスピ好きなので、男性のタイプを見極めて送る言葉を考えなかれば、と自戒の念を抱きました。トーク相手の価値観やテンションに合わせるのも大切です。

 サバサバ系、ウェット系、どちらも圧や念がこもっています。人様に負担を感じさせるおばさん構文を書かないためにはどうすればいいのでしょう?私が最近気づいたのは、LINEを送る時、「無」になって浮かんだ言葉を書くと、そこまで押しつけがましくならない、ということです。相手をこうしたい、思い通りにしたい、自分の知識を教えてあげたい、という思いが入るとおばさん構文になってしまう……。できるだけピュアで無心な状態で書けば、きっと相手に素直に受け止めてもらえる内容になることでしょう。

今月の教訓

LINEを送るときは過剰な思いは乗せず、「無」になって綴れば、その時必要なメッセージになります。

著者プロフィール

辛酸なめ子(しんさん なめこ)
1974年東京都生まれ、埼玉県育ち。 漫画家、コラムニスト。女子学院中学校・高等学校を経て、武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。恋愛からアイドル・スピリチュアルまで幅広く執筆。著書に『大人のコミュニケーション術』『新・人間関係のルール』(光文社新書)、『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎文庫)、『霊道紀行』(角川文庫)、『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、最新刊に『女子校礼讃』(中公新書ラクレ)がある。

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