圧倒的な差がついた2020年日本シリーズ、絶対王者ソフトバンクとの格差を分析
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圧倒的な差がついた2020年日本シリーズ、絶対王者ソフトバンクとの格差を分析

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
昨年に続き、またもや屈辱の4連敗…。ソフトバンクとの圧倒的な差を見せつけられた巨人軍の日本シリーズを振り返ります。

打線の火力不足と研究・対策不足が顕著に現れた巨人

日本シリーズを通して、巨人はソフトバンクに対して「スカウティング不足」「打線の火力不足」が顕著に現れた。
シリーズ初戦、ソフトバンクのエース千賀滉大に対して巨人打線は「ストレートの狙い打ち」という攻め方をハッキリと打ち出していた。しかし、そのストレートをほとんど捉えられずに7回3安打0得点と沈黙。巨人打線は今シーズンを通して、150km/h以上の球あるいはそれに近い強度のあるボールに手も足も出ずにいたが、千賀との対決を筆頭に、このシリーズでもそうした姿が随所で見られた(データ上では他球団と比較して相対的に打てていたものの、感覚値で見ると水準以上のボールに対して手も足も出ずにいた)。

去年なら、坂本勇人・丸佳浩・岡本和真の主軸の他に、阿部慎之助やアレックス・ゲレーロを5番以降に置くことができ、それによって要所での長打や一発が期待できるだけでなく、相手へのプレッシャーを与えることができた。だが今年の5番以降は、元パリーグの選手でもあるゼラス・ウィーラーや中島裕之こそ置けたが、阿部やゲレーロと比較すると火力不足は否めない。しかも昨年の阿部に関しては、コンディションさえ充分なら千賀に対してホームランを放ち森唯斗に対してもヒットを放つなど、キャリアの最後とは思えない程の打力を見せていた。

また、単純な火力不足だけでなく戦略面でも後手に回ったと言える。具体的には、2戦目の石川柊太に対して巨人打線はタイミングが全く合っていなかった。シリーズ前に、ソフトバンクに対する研究や対策がきちんとできていなかったのではないだろうか。

以前、橋上秀樹氏が戦略コーチとして在籍していた時のスタイルは「弱者の戦い方」とも称され、巨人軍には合わないとも言われていたが、短期決戦でここまでの実力差を埋めるには、ある程度の戦略が必要だったに違いない。

短期決戦に向けたピーキングの課題

このシリーズの巨人を見ると、シーズン後半から下降していた選手の調子を戻せていなかった。シーズン中盤まで鉄壁だったディフェンス力は、後半の乱れを引きずるかのように、2戦と3戦目に崩れるシーンが見受けられた。

シーズン中盤までは、投手陣を中心としたディフェンス力で試合終盤まで接戦に持ち込み、セリーグトップの得点圏打率を活かして要所で得点して勝利する「終盤力」を見せてきたが、それもシーズン後半からはなりを潜めていた。そしてシリーズでもついぞ、そうした今年の巨人らしさを見ることは叶わなかった。戦略面はもちろんだが、選手個々のピークが過ぎていたことも、接戦にすら持ち込めなかった要因である。

※シリーズ前にピーキングとディフェンス力に関して懸念していた内容はこちら

「打の捕手」大城の課題である要所でのリード

シリーズ初戦、菅野智之が栗原陵矢に先制2ランホームランを打たれたが、これは大城卓三のリードにまだ課題があることを示している。2球連続でインハイのスライダーを要求したが、対パリーグの左打者に対しては良くなかった。被弾あるいは長打を浴びやすいボールだったことは間違いない。リードを含めた、捕手としての総合的なディフェンス力向上は大城の今後の課題だ。

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投打に役者揃いのソフトバンク**

一方、ソフトバンクを見てみると、今年のシリーズも役者揃いだった。投打の柱である柳田悠岐や千賀はもちろんのこと、日本シリーズMVPの栗原や、初見のボールにも上手く合わせられ、短期決戦に強い中村晃といった役者の活躍が見られた。

特に中村は、コンタクト力と打順ごとに求められる役割への対応力が現役選手の中でも図抜けている。国際大会で三振0の記録を残し、初見のボールにも瞬時に対応できるコンタクト力。さらに、場面によっては一発を狙い、長打を放つこともある。守備面も、高い水準で内外野を守ることができる。短期決戦での強さやここぞの場面の器用さ、内外野守れるユーティリティさは球団としてだけではなく、代表としても必要な選手だ。
この中村に加えてジュリスベル・グラシアル、周東佑京といった代表クラスのユーティリティプレイヤーが複数人いることも圧倒的な強さを構成している。

編集注…シリーズ第3戦を一緒に観戦している際、ゴジキさんが「中村晃はこの打席、ホームランありますよ。変化球を引っ張ってもっていきそう」と発言。なんとその通りに中村が先制2ランを放ち、予言っぷりにたまげました。

投手陣も、東浜巨がコンディション不良の中で登板がなかったが、三冠王のエース千賀、二冠王の石川を軸に、新外国人マット・ムーア、百戦錬磨のベテラン和田毅の4本柱は左右のバランスも良く、驚異的だった。ブルペン陣もクローザーの森や最優秀中継ぎ投手のリバン・モイネロを中心に、嘉弥真新也、高橋礼、泉圭輔、松本裕樹、杉山一樹などが揃い盤石だった。

監督の工藤公康氏も、昨シーズンまで見られていた適材適所ではない打線や投手起用が改善され、「真の王者」にふさわしい姿を感じられた。

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