【インタビュー】『巨人軍解体新書』執筆・出版の裏話
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【インタビュー】『巨人軍解体新書』執筆・出版の裏話

3月16日(火)発売された『巨人軍解体新書』。今回は著者のゴジキさん(@godziki_55)に、出版の経緯や執筆時の苦労、意識した点などを担当編集者が聞いてみました!

◆企画段階で小見出しまで詰めていた

――いつ頃から本を出したいな、出せるなとイメージしていましたか?

いつ頃かは覚えてませんが、元々、自分が書きたいと思っていた内容の本が世の中になかったんですよね。巨人関連の本は色々出ていますが、単純なファン目線の本や、王・長嶋(ON)の栄光を懐かしむような内容が主な印象でした。あるいは巨人が負け越したりBクラスに入った時期に「巨人は大丈夫なのか?」という趣旨の企画が出たり。偏りが激しくて、総合的にジャイアンツを捉える本がないなと思っていました。

――それこそノムさん(野村克也氏)の『暗黒の巨人軍』のような。

そうですね。部分的なものはあっても全体的なものがなかった印象です。強いて言えば死亡遊戯さんの『令和の巨人軍』は幅広い内容ですが、東京ドームの弁当なんかにも触れていますよね。あの本よりは、「野球チーム」としてのジャイアンツ、野球選手としてのスターたちに迫っています。

――スポーツ面での巨人軍を網羅したということですね。ところで正直な話、(出版の)企画は通ると思っていましたか?

そうですね……(笑)逆に、どうですか? 企画書を先に作ったことを覚えていますが。

――企画段階であそこまで詰めて出す人は珍しいです。小見出しレベルまで先に考えられていたので、これは本になるかなと感じました。

完成系のイメージはある程度できていたので、あとは(出版する)土俵に立てるかどうかの問題だなと。文章自体も12月にはほとんどできましたし。

◆執筆の苦労は……それほどでもなかった?

――執筆はいつやりましたか?平日、休日、朝昼夜……。

特に決めていませんでした。波も作らず、隙間の時間に書き続けていった感じです。そこは意外と苦労しませんでした。本業の仕事の繁忙期と重なった時期はさすがに大変でしたが……。しんどいけど頑張りました。

――書くの、早かったですね(笑)

はい、我ながら早かったと思います(笑)とにかく、最初に完成形がイメージできていたのが大きいですね。あとは、連載で常にネタを考えて書いていた点もうまく働きました。

――どの章が書いていて楽しかったですか?

やっぱり第4章(「巨人軍21世紀スター選手論」)ですね。好きな選手をそれぞれ深堀りすることが出来たので、思い入れも強いです。坂本勇人の分析だけで7,000~8,000字くらい費やしています。これだけで小見出しも4つある(笑)

――編集の朱字で「坂本については長くなってしまった」と前置きを入れるようにしました(笑)

例えば松井秀喜に関しては本人の著書も含め様々な本が出ていますが、坂本はほとんどないんですよね。彼の実績を考えると、もっと取り上げられてもよいはずなのですが……。

――なるほど。反対に、書くのに苦労したパートはどこですか?

第7章(「王朝復活への展望」)なんかは将来への予測もしながら書いたので、やや行き詰まる瞬間もありましたね。最初の章もブランドなど広い話をしているのでそうかな。今までの自分にはあまり持っていない視点だったので。

――最初と最後はどうしても抽象論になりますもんね。

はい。連載記事とは違って一冊の本の流れとして必要な部分なので、手を抜かずに書きました。

――ちなみに、どういう順番で執筆しましたか? こちらからは「順番は気にせず、書きやすいところからどんどん書いてほしい」と伝えましたが。

完全にバラバラですね(笑)書きやすさとか、その時の気分とか。あとは、書いている内に「これも書かなきゃ」と思いつくこともありました。首脳陣や球団経営の考察がそれですね。

――詳細は書籍に譲りますが、「参謀役」の課題を指摘していますね。

はい。巨人の場合、監督は生え抜きで決まりな部分がある。一方、ナンバー2はいわゆる外様の人でもいいのかな、というのが自分の考えです。そのほうが視点も広がるし、バランスもとりやすいからです。ただ現状の元木さんと宮本さんの体制は、常々指摘している投手運用の懸念も含め改善の余地はあるのかなと。

――ただのファン目線ではなく、課題や他チームとの差にも逃げずに触れているところも特徴ですね。

◆大宅文庫の山のような資料は……

――執筆開始前の時期に、私(担当編集)が大宅文庫で調べてきた巨人関連の資料を山のように渡しましたけど、あれはどうしましたか?

全部読みましたよ……(笑)全部を熟読するわけにもいかないので、サッと目を通すだけのものもありましたが。

――その中で発見はありましたか?

やっぱりありましたね。試合は見続けてきたとはいえ、選手の逸話やエピソードはわかっていないこともありました。

――「Number」や週刊誌などにその手の話はよく載っていますからね。

はい。具体的なディテールや話の時系列が整理できてよかったです。

――関係なさそうなものは外していったのにもかかわらず量が多すぎて、お渡しするときは忍びない気持ちでしたね……(苦笑)あれだけ資料がそろうのも、さすがは巨人という感じでもありますが。

自分がぼんやり思っていたことがしっかり言語化されていたりする記事も多かったです。

――では、予想を裏切られるというよりは、元々の仮説を検証したような感じですか?

基本的にはそうですね。

――そうやって手間をかけて、図表のデータも何度も修正して。TwitterなどSNSとは全く違った世界でしたか?

はい。手間が全然違いますね。書籍という形で世に出す以上、面倒なことでもひとつずつ積み上げていく必要がありました。あと、下手にツイートしちゃうとネタバレになってしまうかなとも……。

―資料を見たり文章を書いている中で、改めて感じたことはありましたか?

タイロン・ウッズの天敵ぶりですね……(笑) 冗談ではなく、本当に重要な試合でことごとく打たれていることを痛感しました。あとは広島3連覇期の「これは勝てないな~」と感じた試合も思い出しました。丸が東京ドームで打ちまくってたことも。

◆表紙と巻末に見えてくる遊び心

――ちなみに、表紙のデザインを最初に見たときはどのような印象でしたか?

強烈ですよね。実はこれ以外にもう1つ案があったじゃないですか。そちらは割とオーソドックス。一発で(今の案に)決めました。友達とかに聞いても「絶対こっちでしょ」と。置きに行くならオーソドックスな案を選ぶかもしれませんが、初めての本ですし挑戦的にいかないと、という気持ちがありました。

――表紙のインパクトだけではなく、巻末に21世紀の成績表を20年分入れたり、遊び心やサービス精神が見える本になっている気がします。我々の手前味噌かもしれないですが。

「今の巨人軍のことをちゃんと書いた本がない」という意識から始まった企画ですが、そこを追求した結果かなと。

――新書という形式だと200ページくらいの本が多いですが、300ページ近く(288ページ)ありますからね。短くするために、坂本勇人の記述をカットしたりするのは本末転倒ですしね。

はい。歴代でショートの名手とされた選手たちのコンバート歴まで振り返って考察しています。そういう視点は譲れないなと。

――書き終えて発売もされて、今はどういう気分ですか?

なんか、あんまり実感がないんですよね。手元に本が届いても、卒業文集を眺めている気持ちです(笑)

――博士論文を書籍化する方もいるので、あながち間違いでもないです。書店店頭で本が並んでいるのを見ると、少しずつリアリティを感じるかもしれませんね。あとはジャイアンツが勝ちまくってくれるのが最大の宣伝なので、期待して見守りましょう!

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