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沖縄飲みは海を見ながら|パリッコの「つつまし酒」#85

人生は辛い。未来への不安は消えない。世の中って甘くない。
けれども、そんな日々の中にだって「幸せ」は存在する。
いつでもどこでも、美味しいお酒とつまみがあればいい――。
混迷極まる令和の飲酒シーンに、颯爽と登場した酒場ライター・パリッコが、「お酒にまつわる、自分だけの、つつましくも幸せな時間」について丹念に紡いだエッセイ、noteで再始動! 
そろそろ飲みたくなる、毎週金曜日だいたい17時ごろ、更新です。

「海を見ながら」がベストに決まっている

 ある日、沖縄出身の友達から身に覚えのない小包が届きました。開けてみると、そこには美味しそうな沖縄の食品、食材があれこれと詰まっていた。驚いて連絡すると、「地元のローカルな食品があれこれ手に入る機会があったので、いつもお世話になっているパリッコさんにおすそわけです」とのこと。その方との出会いから今までを思い返してみても、一方的にお世話になってきたのは僕のほうなんですが、何かの節目とかではなく、ふとしたときに、こういう行動ができる人って本当に素敵ですよね。自分もそうありたいと思いながら、なかなかできることではない。とにかく、沖縄大好きっ子の僕としては狂喜乱舞の品々。感謝を伝え、ありがたくいただくことにしました。
 なかでも特に嬉しかったのが、コンビニ「ファミリーマート」の限定商品。知ってます? 沖縄のファミマって「泡盛コーヒー」なるオリジナル商品が販売されてるんですよね。向こうのコンビニってそもそも泡盛が気軽に買えて、それが気候とぴったりで最高に美味しいんですよね。その泡盛とブラックコーヒーを合わせた商品が何年か前に発売されたらしく、実はずっとあこがれていたんです。いいな〜飲んでみたいな〜って。コンビニ限定商品という特性上、東京にある沖縄物産館でだって簡単に手に入らないそれらのローカルフード。せっかくならどうやっていただこうか? そりゃあもちろん、「海を見ながら」がベストに決まってますよね。 

実行は計画的に

 というわけで計画を実行に移していきましょう。ちょうど先日、月曜日に銀座で取材、火曜日に日本橋で打ち合わせ、という並びの予定がありました。カレンダーを眺めていてひらめいた。
 まず月曜日。銀座にある沖縄物産館「わしたショップ」へ寄って、僕の沖縄飲み計画に必要と思われるアイテムを買い足しておく。
 次に火曜日。朝、いただきもののファミマ限定商品「沖縄風じゅーしぃの素」を使ってじゅーしぃを炊く。じゅーしぃは沖縄でいう炊き込みご飯のことですね。

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コンビニでこれが買えるのがまさに沖縄

 炊きあがったじゅーしぃをベースに、物産館で買い足してきた食材をプラスした「沖縄弁当」を自作する。それを持って日本橋へ打ち合わせに行き、終了後は都営浅草線でぴゅーっと「大門」へ移動。そこから歩いて海の見える「竹芝ふ頭公園」に行き、そこで沖縄飲みをしてやろうと。完璧な計画を立てたわけです。普段、仕事の計画を立てることが致命的に苦手で各方面にご迷惑ばかりかけている僕ですが、なぜかこういうときだけは脳が高速回転するんですよね。ほんと不思議。

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じゅーしぃ、炊けました

 というわけで火曜の朝、商品はご飯3合ぶんだったので、計量して1合ぶんのじゅーしぃを炊いてみました。半合を朝ご飯に食べてみたところ、これが想像してたのの10倍の美味しさ! コンビニ商品だからってなめちゃいけません。具沢山で、体がほっと癒されるような優しい味わいながらも旨味たっぷり。どっかのおばーの手作りと言われたら完全に信じますね。僕なら。
 さて、残った半合のじゅーしぃをお弁当箱に詰めたら、その上に物産館で買って来た食材を乗っけてゆく。今回は、「スーチカー(豚バラ肉の塩漬け)」を刻んでフライパンで炒めたもの、豚皮つきの「ラフテー」、「アンダンスー(肉みそ)」と、かわいらしい「シーサーかまぼこ」を盛りつけてみました。

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オリジナル沖縄弁、完成!

 かまぼこ以外、見事なまでに豚一色。茶一色。今宵野菜を摂取する気など毛頭なし。でもいいんです。これはお弁当ではあるけれど、それ以前に「酒のつまみ」なのだから。

「那覇レインボー橋」をバックに

 そんな経緯からずっとそわそわしっぱなしだった打ち合わせを終え、時刻は15時半。のんびりと向かっても余裕で日暮れ前に間に合うでしょう。竹芝ふ頭に向かいましょうね。

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到着

 遠目に目印である船のマストのオブジェが見えると、海だ! と毎度、テンションが上がります。「竹芝桟橋ターミナル」の1階にある客船用の待合所も、横目に眺めるだけで旅情MAX。そしてその横の階段を登っていけば、そこには東京屈指のナイスシチュエーション・ベンチが!

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海をひとりじめ

 いや〜正解正解。大大大正解。みなさん、実はこの海ね、沖縄につながっているんですよ。そんな場所で沖縄弁当をつまみに泡盛コーヒーを飲む。これ、もはや僕、沖縄で飲んでますよね? さっそく準備してきたものを並べてみましょう。

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ほ〜ら沖縄。あっちに見えるのが「那覇レインボー橋」

 いただきもののなかには小さな瓶の泡盛と島とうがらしのパックも入っていて、すなわち「コーレーグースを作れ」というメッセージだと理解。届いたのが3週間ほど前ですぐに漬けておいたので、持ってきてみました。それから、こちらもファミマ限定泡盛「白百合」も。

 ではでは、沖縄飲み、めんそ〜れ〜! と、まずはお弁当のスーチカーをひとつつまんでぱくり。あぁ、沖縄といえばやっぱり豚肉。そして豚肉といえば脂身の美味しさだよなぁ。
 続いてスーチカーをほじくり、その旨味が染みこんでいるであろう接地面あたりのじゅーしぃをぱくり。うんうん、炊きたてとはまた違う、弁当ならではのしっとりご飯。これぞ弁当飲みの醍醐味。

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各種のおかずをご飯と合わせたり合わせなかったり

 ラフテー、スーチカーとは対照的にこっくりと濃厚でとろけます。シーサーかまぼこもしっかり味でつまみに最高だし、アンダンスーもうまいっすー。あ、コーレーグース、ちゃんとできてるな。むわっとした泡盛の香りとピリリとした辛味が、まさに沖縄の味。う〜む、ひとりで食べるにはちょっと量が多いんじゃないかと思ってたけど、こりゃあぺろりだな。

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船がゆくよ

 そうそう、噂の泡盛コーヒー。これがまたですね、人気が高いのもうなずける、非常〜にオツな味なんですよ! コーヒーと泡盛がお互いの香りを高めあってて、なんていうんでしょう。言われなければ泡盛とは気づかないかもしれない。こんなに美味しいなんて、何万円もするブランデーでも混ぜた? って思っちゃうような風味。
 いいなぁこれ。頼むから全国発売してくださいませんかね? ファミリーマートさん。

パリッコ(ぱりっこ)
1978年、東京生まれ。酒場ライター、DJ/トラックメイカー、漫画家/イラストレーター。2000年代後半より、お酒、飲酒、酒場関係の執筆活動をスタートし、雑誌、ウェブなどさまざまな媒体で活躍している。フリーライターのスズキナオとともに飲酒ユニット「酒の穴」を結成し、「チェアリング」という概念を提唱。
この9月には『晩酌わくわく! アイデアレシピ』 (ele-king books)、『天国酒場』(柏書房)という2冊の新刊が発売。『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』(光文社新書)、『酒場っ子』(スタンド・ブックス)、『晩酌百景 11人の個性派たちが語った酒とつまみと人生』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、漫画『ほろ酔い! 物産館ツアーズ』(少年画報社)、など多数の著書がある。Twitter @paricco


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