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絵本『ママはかいぞく』はかなりグッとくる。

光文社新書編集部の三宅です。今日は、新書編集部から出た絵本『ママはかいぞく』を紹介します。刊行は3月末ですが、5月16日の「世界一受けたい授業」で紹介されてから大ブレイクしました。現在、3刷1万5000部まで来ています。

元はフランスの絵本で、ストーリーは、主人公の少年のお母さんが、海賊仲間とともに宝の島を目指すというもの。冒頭の部分を紹介しましょう。

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ママの胸の傷。海賊はやはりハードな”仕事”なのでしょうか。

勘のいい方はもうお気づきでしょうが、「かになんてへっちゃらごう」、宝の島、海賊仲間、といった言葉はすべて暗喩です。

以下、ネタバレになってしまいますので、未読の方、結末を知りたくないという方は、本書を先に読まれることをお勧めします。ただ、この絵本に込められた思いや真のストーリーを知っても、感動が薄れることはありません。現に私は何度も読み返していますが、そのたびに、見出しにあるようにグッときています。







この絵本の真のストーリー、成り立ちの秘話については、著者のカリーヌ・シュリュグさんのあとがきを引用します。

 2016年夏、わたしは乳がんを患いました。当時、いちばん下の息子ジョシュアはまだ4歳半。幼い子どもにこの病気についてどんなふうに話せばいいのだろうと悩みました。息子もわたしも大の本好きでした。そこで、息子に話すためのヒントになるかもしれないと、このテーマの絵本を探してみました。ところが驚いたことに、がんについてきちんと伝えている絵本は見つからなかったのです! (中略)
 ところで、5歳の子はみんな海賊に夢中になります。息子もそうでした。わたしも海賊が登場する本をたくさん読み聞かせていました。そんなある日、アイデアが湧いたのです。(手術による)傷跡、頭に巻いたバンダナ、(化学療法による)吐き気……まさしく「海賊」にぴったりです! 強い連帯感で助け合う乳がんの治療中の女性たち。これも船の上で力を合わせている海賊たちと同じです。
 こうして、「ママは海賊」の絵本が誕生しました。

海賊船「かになんてへっちゃらごう」の名称については、訳者のやまもとともこさんのあとがきから引きます。

ママの船の名前は「カニなんてへっちゃら号」ですが、じつは、がんの腫瘍の形がカニに似ていることから、西洋では「カニ(フランス語ではcrabe)」にはがんの意味もあります。英語のcancerも語源は「大きなカニ」だそうです。

というわけで、カバーや本文のカニの絵を見てピンときた方もいらっしゃるかもしれません。

作者のカリーヌ・シュリュグさんは、治療に無事に成功し、お元気に暮らしているそうです。

「世界一受けたい授業」でも紹介したご本人の写真を、許可をいただいて掲載します。一緒に写っているのはジョシュア君です。

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放射線治療の後ということで、頭にバンダナを巻いています。本当に海賊みたいですね!



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