ゴジキが振り返る2021年シーズンの巨人軍【9月】
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ゴジキが振り返る2021年シーズンの巨人軍【9月】

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
2021年シーズンの9月は、巨人にとっては悪夢のような1カ月となりました。阪神との2度の3連戦では1つも勝てず、ヤクルトと阪神に置いて行かれる形に。その原因がどこにあったのか、光明はあるのかを投打にわたって考察します。

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チーム全体の気持ちが切れた9月初頭の阪神との3連戦

8月31日から9月5日までヤクルト・阪神との首位攻防の1週間となったが、9月3日から9月5日の阪神との3連戦で1勝もできなかったことで、チームの勢いが一気に失われたと言っても過言ではなかった。その結果、9月は月間成績で6勝14敗5分と大きく負け越した。この3連戦の結果と内容を引きずり、チーム全体が長い期間、蘇ることができなかった。

阪神との3連戦は別の記事でも書いた通り、初戦と3戦目は勝てる展開だっただけに非常にもったいなかった。今シーズンの悪いところがまとめて露呈されたとも言える。この時期は一時的に首位を走っていたが、その優位性は維持できなかった。

阪神も今シーズンは開幕当初から勢いがあった中で、巨人との直接対決では負け越していただけに、譲れない部分があったのだろう。阪神の今シーズンに賭ける意地が見られる試合でもあった。特に2戦目、リードを許した中で、今シーズン苦しんでいた大山悠輔がチアゴ・ビエイラからサヨナラホームランを放ったのは象徴的である。

9月はチームを孤軍奮闘で引っ張っていた坂本勇人も、この3連戦は特に気合いが入っていたのはプレーを見ていても明らかだった。しかし、3戦目の途中で交代となり、チームは追いつかれて引き離す余力がないままにドローで終わった。チームリーダーかつ原辰徳第三次政権では唯一無二の存在である「坂本勇人」に、このような扱いをしてよかったのだろうか。絶対あってはならない展開を、しかも優勝争いの試合でしてしまったことがその後のチーム状況に大きな影響を及ぼしたのは間違いない。このカードで1勝もできなかったことによる負のスパイラルが、24日から26日の3連戦にも及んだのではないだろうか(24日から26日の3連戦も2敗1分けに終わった)。こうした起用については正直、原監督を責めざるを得ない。

昨シーズンから改善できなかった投手運用

投手運用を見ると、前半戦では阪神を得意とする高橋優貴を中心にCCメルセデス等の先発陣を当てて、直接対決で勝ち越していたが、後半戦は中4日・中5日で回していたため、高橋優貴はローテーションで一回しか当たらなかった。

また、9月3日の初戦は、戸郷翔征が先発して6回に崩れ始めたが、なんとか抑えきったこのタイミングで投手交代すべきだったのは明白だ。しかし、崩れかけている戸郷を7回まで引っ張ったあげく案の定打ち込まれてしまい、逆転を許した。状況が危うくなってから高梨雄平・鍵谷陽平・大江竜聖と投手3人を注ぎ込む異常な継投。今シーズンでも最悪の展開だったのではないだろうか。イニングイーターでもない先発投手が、限界に来始めている時ですら引っ張りすぎている試合が目立つ。こうした現状を見ると、運用体制以前に首脳陣の改革が必要なのは間違いない。

さらに、後半戦の調子が良かった畠世周をすぐに先発に復帰させるのではなく、一貫した場面で起用せずに、回跨ぎをさせた翌日に投げさせたり、中継ぎで投げたあと中2日で先発させたりと、滅茶苦茶な起用法が目立っていた。昨シーズンのようにリーグ全体のレベルが下がっていた中であればこうした起用があっても勝ち星に結びついていたが、今シーズンのように上位が拮抗していると、選手も疲弊をしてしまう。重要な場面で打たれることがしばしばあった。

投手コーチである宮本和知氏の就任後にチームがリーグ2連覇という成功体験をしたことが、良くない影響を与えてしまったように思う。結果的に成功はしているが、起用法等の「プロセス」は全く良くない。邪推だが、優勝という成果を基に勘違いが生まれているのではないか。これまでの投手運用を見ても、ブルペン陣に大きく負担のかかる起用法が目立っている。今年から入閣した桑田真澄氏もこの状況を改善できないのであれば、期待にはそぐわない。

シーズンと短期決戦の投手継投論には、データでは語れない異なるものがある。シーズンにおける投手継投は、長丁場の戦いであることを意識しながら運用する必要がある。その都度の調子の良し悪しはもちろんのこと、時には配置転換も見据えて起用しなければならない。そのため、ここぞという試合以外は、「大局観」を持った上での運用が必要になっていく。

また、中継ぎや抑え投手のシーズン登板数過多が近年では問題視されているが、今後はブルペンに入って肩を作った回数も含めて重要視されるべきであろう。そういった点も、昨シーズンから改善されなかったツケが今になって回ってきたことは否めない。

チーム全体の長打力が下降

9月は、疲弊している投手陣をカバーするだけの打力もなかった。新加入した中田翔は帰国したジャスティン・スモークのカバーを期待されていたが、調子が上がってきたときに二軍落ちをするなど、流れもよくなかった。

さらに、9月は25試合あったが、20試合以上あった3・4月〜6月と比較しても、長打力は下降気味だった。下記が月別のチームの打撃成績である。

3・4月 30試合  打率.258  34本塁打  
5月 22試合  打率.251  31本塁打
6月 22試合  打率.250  30本塁打
7月 11試合   打率.243  14本塁打
8月 15試合  打率.231  20本塁打
9月 25試合  打率.230  24本塁打

東京五輪明けから打率も下がっているが、特に本塁打数が9月に入ってから大きく下がっているのは懸念材料だ。これまでは、リーグ1位の本塁打数を誇る長打力で投手陣をカバーしていたが、9月は打線が繋がらない状況で、なおかつ起死回生の一発も出なかったため、接戦で敗れることも多かった。一発や長打力があれば、なかなか打線が繋がらない状態でも勝ちを拾うことができる。それがここまでの巨人の強さでもあったが、9月は大量点差の試合に打撃成績を稼ぐ傾向が強かった。この起死回生の一発に関しては、前半戦ではスモークに求められており、実際、帰国するまではその役割を担うことができていた。

ただ、スモークの帰国後は、岡本和真が4番打者として圧倒的な本塁打数と打点数を稼いで入るものの、丸佳浩をスタメンから外すなどもあり、岡本以外の選手から長打を見込めない場面が多々あった。

ここ数年で最もチーム全体のバランスがよかった2019年は、アレックス・ゲレーロがスモークの役割を担っており、坂本・丸・岡本のコアにプラスアルファする形で打線の肥大化がなされていた。

シーズン途中に電撃移籍してきた中田には、選手個人としての特性を見ても、劣勢の展開をひっくり返すような打棒を期待したいところである。中田も坂本・丸と同様に年齢的な衰えが出始める時期にはなるが、各選手ともに年齢に見合ったフォームのバランスを模索して、新たな強力打線を生み出してほしいところだ。

苦しいチーム状況の中で見られた屈指のディフェンス力

丸が複数回離脱し、5月には坂本や梶谷隆幸が離脱したが、それでもなんとか優勝争いをできていたのは、シーズンで一貫してディフェンス力が高く、守備からのミスが少なかったからこそと言えた。これだけの離脱者をカバーできるだけの選手層の厚さは、間違いなくリーグトップである。巨人の野手陣は打力だけでなくディフェンス力の高さも兼ね備えている点は大きな強みだろう。失策数を見ると、昨シーズンも12球団トップの失策数43を記録しているが、今シーズンは10月3日終了段階で12球団最小の42。試合数で換算すると、昨シーズンよりも良化している。

内野陣を個別に見ても、吉川尚輝・坂本の二遊間は申し分ないレベルであり、中田の一塁守備も上手い。三塁の岡本もチャージなどの俊敏性には欠けるが技術的には上達が見られ、バランスが非常にいい布陣だろう。特に、申し分ないレベルと書かせていただいた吉川尚輝と坂本のセンターラインは守備範囲が広い上にコンビネーションも阿吽の呼吸であり、バランスもトップクラスに優れている。

さらに、昨シーズンから主力に定着している松原聖弥が外野陣を引っ張っていっているのも頼もしい。19試合連続安打(10月3日時点)や育成出身では最多となる11本塁打を記録した打力だけでなく、守備範囲も広く肩も強いことから、高齢化が進む外野陣の中で長期的に活躍を見込んでいきたい選手だ。来シーズン以降も、松原が計算できるようであれば、年齢的に守備範囲が狭くなっている丸をセンターから両翼にコンバートすることも可能だ。


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