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注目選手は誰だ? 2021年の巨人軍キャンプ総まとめ

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
一部東京ドームでの始動という異例のスタートとなった今年の巨人軍キャンプ。インパクトを残した若手を取り上げつつ、中長期的な戦力の移行を考察します。

S班はまさかの東京ドームから始動

今シーズンの巨人は、新型コロナウイルスの影響もあり、S班のキャンプ序盤は東京ドームでの調整となった。

キャンプ地へ赴くのではなくホームグラウンドでキャンプを行う試みは、コロナ禍の状況次第では今後も増えていくのではないだろうか。特に、ドーム球場を使用している球団がこのような調整方法を取り入れる可能性は高い(コンサートなど他のイベントがどれだけ開催されるのかにもよるが)。このように初となる「異例」を実践できるのも巨人の柔軟性を示していると言える。不確実で変化の激しい御時世の中で、今回のように率先して新しい施策を実行してほしい。

飛躍を期待できる新人・若手選手

この東京ドームキャンプでは、3人のルーキーが一軍に帯同した。ドラフト1位の平内龍太と4位の伊藤優輔、5位の秋広優人である。その中で、最も話題をさらっていったのは秋広ではないだろうか。高卒ルーキーながらも打撃の柔らかさを買われて一軍帯同となったが、キャンプでも首脳陣からの評価はうなぎ上りに。実戦での出場機会も与えられており、エース菅野智之や坂本勇人、丸佳浩らチームの主軸が出場する試合に名を連ねるほど、首脳陣からの期待値は高い。高卒1年目ということもあるのでまずは身体を作りながらも徐々にステップアップしていき、3,4年後には一軍に定着してほしい選手だ。

次に取り上げたいのはドラ1の平内だ。ストレートに力があり、今後の先発ローテーション入りに期待できるだけの素質はある。ただ、これからの活躍を考えると、使える球種をさらに増やしていくことは必須条件だ。実戦では苦い経験からスタートしたが、ローテーションの一角を担うべき選手なので巻き返しに期待したい。

伊藤は、手薄な右のブルペン陣として期待が高まる。キャンプの時点とはいえ登板数も多く、首脳陣からの熱い期待が伺える。原政権になってから投手の不用意な使い潰しは以前より少なくなった傾向にあるが、かつて中継ぎの一角として期待されながらも沈んでいった谷岡竜平や池田駿のようにルーキーイヤーから2年目で潰れることのないよう、起用法や育成方針には慎重を期する必要がある。

ルーキー以外の若手選手では、昨シーズン一軍に定着した北村拓己や育成から這い上がった八百板卓丸、横川凱あたりは期待できる。北村は調子の波こそあるが身体が大きくなりパワーがついたし、西武の山川穂高からアドバイスをもらったこともあり、長打が見込めそうだ。今シーズンは北村の長所を活かすためにも、規制がかからない下位の打順に置くことで成長させてほしい。

八百板は昨年のイースタンリーグでリーグ5位の打率.313の成績を残し、支配下に上がりそうな位置まできた。そしてこのキャンプ途中から支配下登録選手になって一軍に合流。激戦区の一軍争い、レギュラー争いを良い意味で「荒らして」欲しい選手だ。

横川は、昨シーズンのイースタンリーグで結果を残し、シーズン終盤に一軍デビューを果たした。現在の巨人軍先発陣にはいないタイプのため、彼のような投手がローテーションに食い込むことで起用のバリエーションは増えていく。今年はキャンプから一軍に帯同しているくらい期待されているから、ローテーション入りは難しくてもリリーフとして成長させていく手段も考えられる。

若手・主軸・ベテランの戦力バランスを流動させるためには

現在の巨人軍の戦力を見ると、坂本勇人・丸佳浩・岡本和真のコアが揃って元気なうちに、次世代の選手がその他の打順を固めていくことが理想的だ。昨シーズンベストナインを受賞した大城卓三や初の規定打席に到達した吉川尚輝には、その役割も求められる。上述した北村もフルシーズン出場まではいかないにしても、ある程度試合数や打席数を増やしていき、最終的には下位打線で自由に打ちつつ結果を残してもらいたい選手だ。

参考にしたいのは、2008年から2010年の戦力移行だろう。小笠原道大とアレックス・ラミレスを軸に打順を組んでいき、坂本には一番打者として自由に打たせ、捕手として守備負担の大きい阿部慎之助を下位打線に置いた打線は、その後の「オガラミ」の加齢等に伴うチーム離脱を考えた上でも理想的だった。「オガラミ」というコアがしっかり結果を残していたからこそ、長野久義や亀井義之、松本哲也といった新進の選手を脇に置いて競争させることができた。

投手陣も、内海哲也が長年ローテーションを守り続け、ドラフト1位入団の澤村拓一や菅野智之らを成長させることができた。現状の投手陣はでは誰しもが認めるエース菅野が軸となり、戸郷翔征や畠世周あたりが独り立ちすることが今後のためにも必要だ。ブルペン陣を見ると、中川皓太や高梨雄平、大竹寛、鍵谷陽平といった軸がいる。その中でも大江竜聖が昨シーズンブレイクしたように、先に紹介した横川や伊藤、その他には堀岡隼人あたりを、酷使しない程度に起用しながら成長させられるかも鍵である。

(詳しくは、『巨人軍解体新書』(3/16発売)第5章対パリーグ研究・第7章王朝復活への展望を参照していただきたい。)

ドラフト戦略や育成方針などを見ても理解できるが、巨人はこのような将来的なリターンを考慮したうえで戦力を流動化させる取り組みが必須になっていく。長く王朝を築くためにもこうした心がけはぜひ保ち続けてほしい。

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