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祝・2020年セリーグ制覇!今季の巨人軍の戦いを振り返る

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を徹底分析。
本日、通算38度目となるリーグ優勝を決めた巨人軍。他チームと比べて頭一つ抜けていた今シーズンの軌跡をあらためてたどってもらいます。

エース菅野智之、復活の開幕13連勝を記録

今シーズンMVP級の活躍を見せたのは間違いなく菅野智之だ。昨シーズンは不調や怪我で思うようなピッチングができなかったが、今季は開幕戦から復活を見せつけた。開幕戦の平均球速は、150.4km/hを記録し、加えてピンチの時や終盤はギアを上げるなど、2017年や2018年とはまた異なるピッチングスタイルを披露した。
菅野はその後も、エースとして「負けない」投球を続け、開幕から連勝を伸ばしていった。巨人軍の貯金数を見ると、菅野1人で約半分の貯金を作り出していることがわかる。

今年の菅野は、技術的な実力はもちろんのこと、それ以上に負けないことや勝利を呼び込んでいる姿が印象的だ。データ的な観点から取り上げられる揺れ戻しではなく、ピンチの場面など要所で「ギアチェンジ」をしたピッチングをしてほぼ確実に相手を抑えている。それによって、自軍の打線も乗せていくことができていると考える。
とはいえ9月中旬以後からはパフォーマンスがやや下降気味のため、日本シリーズに向けて調整していくことは必須だ。

シーズン中盤から復活した坂本・岡本・丸の「コア」

8月~9月は、開幕当初や夏場序盤に不調だった坂本勇人・岡本和真・丸佳浩が復調を見せて、チームを勢いづかせた。

元々、コア3選手が不調の前半戦時から12球団トップクラスの得点圏での強さを誇っており、チーム全体で勝負強さが光っていた
要所で得点を挙げる試合運びの巧さや力の入れどころに坂本・岡本・丸の復調が融合し、一気に他球団を突き放したと言える。

岡本は、オープン戦や実戦形式から開幕直後は調子が良かったものの、7月中旬ぐらいから調子が落ち始めた。坂本と丸は、シーズン前に上手く調整ができなかった影響から、夏場まで低調だった。夏場から9月にかけてコア3選手の調子が上がったと共にチームも一気に上昇していき、独走状態に入った。

リーグトップクラスである彼らコア3選手の課題は(これは巨人打線の全体的な課題でもあるが)、一定水準以上の投手に対応しきれないところだ。昨年の日本シリーズでは、ソフトバンク投手陣に対してそれが顕著に現れて敗退したため、今年はその雪辱を果たしてほしいものである。

「勝てる先発陣」のさらなる強化へ

今シーズンの先発陣は、昨シーズンの勝ち頭であり投手三冠に輝いた山口俊のメジャー移籍によって抜けた穴を、上手く埋めた形となった。

もちろんエース菅野の復活が大きな要因ではあるが、それだけではない。戸郷翔征やエンジェル・サンチェスの頑張りに加えて、夏場に谷間ローテーションを任された今村信貴や直江大輔、畠世周といった選手もいい働きをした。

先発陣を全体的に見ると、例年のような144試合のフルシーズンだったなら戸郷やサンチェスは二桁勝利も夢ではない立ち位置にいる。先発としてなかなか調子が上がらなかった田口麗斗が5勝、怪我で2度離脱したC.C.メルセデスも4勝を挙げており、裏ローテでも勝てる体制は整っていた。

タラレバにもなるが、畠やメルセデスがもう少し頑張りを見せてフルシーズン戦えていたら、2012年のような形で(あるいは他球団で例えると、2005年のソフトバンクやロッテのように)二桁勝利の先発投手を複数人抱えるローテーションを確立できた可能性もあるだろう。

若手の台頭と屈指のブルペン陣・ディフェンス力

特に台頭した若手選手として、戸郷翔征と大江竜聖の名前が挙げられる。

戸郷は、ストレートの質のレベルアップはもちろんのこと、「スラット+スプリット型」の投球スタイルを今後確立していくことによって、菅野智之の次なるエースの座が見えてくるレベルになりつつある。

高卒2年目ということもあり、大事に育成してほしかった反面、投げてる球自体は高卒2年目の域を超えている。これだけのパフォーマンスを残せられるのなら、序列的に見ても菅野の次に名前があがるレベルだろう。今シーズンは、夏場終盤あたりから体力的な問題で調子が下降気味になったため、年齢を重ねていく中で1年を通してローテーションを守れるかが重要である。

大江は、昨シーズンのオープン戦で連続無失点記録を残すなどの活躍をして開幕一軍を掴み取ったがシーズンは息切れしてしまい、不甲斐ない結果に終わっていた。再起を賭けた今シーズンは腕を下げた結果投球の幅が広がり、一軍に定着するレベルになった。一軍昇格当初は大差の試合での登板や回跨ぎなどが主な役割だったが、実績を積み重ねていき、接戦の試合でも起用されるまで信頼度が上がった。

大江とともにチームを支えたブルペン陣もリーグ屈指のレベルだった。特筆すべきは中川皓太と大竹寛の左右2枚で、彼らは中継ぎ陣の中でも頭ひとつ抜けていた
さらに、シーズン通してさまざまな役割を担って投げ抜いた鍵谷陽平や新加入の高梨雄平、守護神のルビー・デラロサといった戦力もあり、枚数も盤石だった。
しかし一方で、運用方法には課題が残る。ここに改善の余地がない場合は、来シーズン以降に影響が出てくるだろう。

投手陣のレベルの高さも光ったが、野手陣のディフェンス力も12球団トップクラスだった。特に、吉川尚輝と坂本の二遊間は、守備範囲はもちろんのこと、固さが光っており、いくつもピンチの場面でチームを救った。

他球団監督との「格」の違いが随所に見られた原采配

他球団と比較すると、既に名将へとそのキャリアを積み上げている原辰徳氏の柔軟な采配も光った。

コア3選手を解体させたことや2番打者の起用法など課題点はあったが、相対的に見ると滑らかな采配をしていたと思う。かつて「若大将」と呼ばれた所以でもある、若手に自信をつけさせたり競争心を高めたりする積極的な采配は随所で見られた。

日本シリーズや来シーズンに向けては、いくつかの課題点を解消して、百戦錬磨のマネジメント力で2020年代の初代日本一に輝いてほしいところだ。

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