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ゴジキが巨人目線で語るクライマックスシリーズの展望

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
いよいよ始まるクライマックスシリーズ。巨人はシーズン終盤に大失速しましたが、何とか3位に入り、宿敵・阪神とのファーストステージを戦うことに。2戦先取という「超短期決戦」をどのように戦っていくことが求められるのでしょうか?明日14時から甲子園球場で第1戦が行われる、シリーズの展望を占います。

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いい意味で「型にはまらない」戦い方ができるか

短期決戦で重要なのはさんざん言われていることではあるが、先手を打った継投策である。たとえば先発投手の調子が悪く、早い段階で失点をしてしまう展開になれば、シーズン中より早く見切りをつける必要がある。第二先発として長いイニングを投げられる投手を起用し、何としても相手に試合の主導権を握らせないことが求められるのである。加えて、「マシンガン継投」と言われるぐらいの、小刻みな継投が重要になってくる。

巨人の場合で例を挙げるなら、6月20日の阪神戦だろう。2-1でリードした7回裏、高梨雄平が二死2,3塁のピンチを招く中、カウント2-2と打者を追い込む。すると、ここで投手を鍵谷陽平にスイッチ。鍵谷は1球で三振を奪い、巨人は逃げ切りに成功した。この継投は機転が効いており非常に良かった。クライマックスシリーズの絶対に譲れない‎場面では、このような継投は(やりすぎない程度で)必要になっていくだろう。

昨シーズンまで日本シリーズ4連覇をしていた福岡ソフトバンクも、まさに小刻みな継投を行っていた。レギュラーシーズン中では投手陣が疲弊してしまう高いリスクもある継投策だが、ポストシーズンでは効果的である。

ひとつ釘を刺しておきたいのだが、仮にポストシーズンで継投策がハマったとしても、レギュラーシーズンにおける選手の起用法や運用における評価が覆ることはない。長期戦と短期決戦を問わず、状況における最適な起用法をできるか否かによって、投手コーチ等の力量は図られるからだ。

阪神キラーの高橋優貴の起用法が鍵

ここからは具体的に、明日から始まる阪神との戦いを考察したい。

第1戦は巨人は菅野、阪神は高橋遥人の先発が予想される。9月25日の対戦では両投手による手に汗握る投手戦が繰り広げられたが(0-3で阪神が勝利)、この試合も基本的には似た展開になると思われる。菅野と巨人打線は前回完封負けを喫した高橋遥人に対して、リベンジマッチとして意地を見せたい。精神論になってしまい恐縮だが、もし高橋が前回同様の素晴らしいピッチングをすると仮定すれば、1点を奪いに行く「執念」で対抗するしかないように思う。

続く第2戦は、巨人は高橋優貴、阪神は青柳の先発が見込まれる。7月までの阪神との首位争いでは、阪神戦を得意とする高橋優貴を中心にローテーションを回したことが幸いし、巨人は分が良かった。高橋は2年前のクライマックスシリーズの阪神戦でも先発して5回を1失点に抑えるなど、元々阪神との相性はよい。そして今季はチームトップの11勝を挙げ、特に対阪神は5戦4勝で防御率も1.45、甲子園では防御率0.72と脅威の成績だ。

さらに細かく数字を見ても、阪神打線の中軸である糸原健斗を13打数無安打、ジェリー・サンズを12打数無安打とパーフェクトに抑えている。さらに、大山悠輔を13打数1安打、ジェフリー・マルテを11打数2安打に抑え、チームに流れを引き寄せる選手でもあるスーパールーキーの佐藤輝明に対しても11打数2安打と、長打を一本も許していない。クライマックスシリーズも、高橋が阪神相手にこのようなピッチングを続けられると、ファイナルステージ進出に一歩近づくだろう。

一方の青柳は、東京五輪で一時的に調子が下降したものの、10月は調子を上げていき、初の二桁勝利を含めキャリアハイとなる活躍を見せた。巨人戦でも好投を見せている上に、巨人としては打率.571  2本塁打と青柳への相性が非常によかった岡本の状態が読めないのは痛い。そのほかに相性の良い、吉川尚輝やゼラス・ウィーラー、中島裕之といった選手がカバーできるかがポイントである。

接戦をモノにする長打は「あの選手」に期待

一方、打線に目を向けるとこのシリーズで求められるのは一言、「長打」である。好投手とマッチアップする接戦では、長打力がある選手の一発で勝利するような試合が多々ある。短期決戦は相手もよい投手をつぎ込んでくるためえてしてロースコアゲームとなりやすく、このような勝ち方が必要となる。

たとえば、ルーキーながらも二桁勝利を挙げた伊藤将司から勝ちを取れた試合(5/15阪神戦)ではジャスティン・スモークの一発で勝利した。

逆に、菅野智之が登板した試合(9/25阪神戦)では中盤まで投手戦だったが、糸原の一発で阪神が均衡を破り勝利した。

今年の巨人は、このような「一発」に頼った勝ち方がなかなかできず、リーグ優勝を逃す一因となった。2年連続で打撃二冠王に輝いた4番の岡本和真が得点パターンの中心となっていたが、先述の通りクライマックスシリーズ開幕前に出場が危うい状態と報道されている。

この危機的な状況で最も可能性を秘めているのは、中田翔だ。巨人移籍後の成績は正直言って芳しくないが、日本ハム時代には大舞台や接戦で何度も勝負を決める打点を打ち出した選手だ。勝負どころでは数字を超えたビッグプレーを見せてくれる可能性があり、大いに期待したい。

「勤続疲労」の影響がCSでどれだけ出るか

最後にひとつ、懸念点を挙げておきたい。それは「疲労」である。まずは中継ぎ陣の疲労だ。前半戦からの度重なる登板で酷使された影響か、高梨雄平や大江竜聖、鍵谷陽平あたりは、シーズン終盤にかけて調子を落としていた。彼らの状態は心配である。シーズン終了からクライマックスシリーズまでの期間、コンディショニングによって状態を取り戻せているか注目したい。

また、打線もコアである坂本の調子が気がかりだ。坂本は9月は孤軍奮闘していたが、10月はさすがに疲れも見え始めていた。東京五輪にシーズンに目いっぱい戦ってきたことの疲弊感は間違いなくあるはずで、最後まで走り抜けられるか心配だ。

一方、コアの3人目である丸は、10月は好調だっただけに、このクライマックスシリーズを左右する選手になると言っても過言ではない。丸を一時的に2軍に幽閉したことや、スタメンから外したことは3連覇を逃した主因と言えるほどの処遇であった。彼の奮起に期待したいところだ。

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