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「ナイス・ガイでは勝てない(Nice Guys Finish Last)」は真実か?――『「公正」が最強の成功戦略である』より②

大好評の新刊『「公正」が最強の成功戦略である』(デイヴィッド・ボダニス著)より、「はじめに」前半と目次を公開いたします。物事を有利に進めるためには、ズルやあくどいことが必要だと思われがちですが、そんなことはない、というのが本書の趣旨です。

前編はこちらです(前回更新から間が空きました。申し訳ありません)

はじめに――人は、嫌な奴にならずに成功できるのか②

全員を尊重し、信頼する

 もちろんそれですべての問題が解決するわけではない。ボイルは我を出さずに他人の意見に耳を傾けられる人だが、それでも数多くのスタッフたちに存分に創造性を発揮させるのは簡単ではなかった。皆が自由闊達にアイデアを出せるようにし、しかも混乱に陥らないようにしなくてはならない。

 ボイルはどうしたか。それは本書でも重要視していることである。スタッフ全員を尊重し、信頼したのだ。

 これは心の中でただそう思っていたのではない。ボイルはその姿勢が誰の目から見てもわかるようにした。

 まず、運営チームはスタッフより上位にいるのではなく、スタッフと対等だとわかるようにした。運営チームの人間が高いスーツを着て高い位置から作業の様子を視察するといったことは決してないようにしたのだ。もちろん、スタッフに対して威張った態度を取り、偉そうに命令することもないようにした。期日が近づいた時には、工事の責任者も現場に出て、皆とまったく同じに懸命に働いた。衣装の責任者も、スタッフに混じって同じ縫製作業をした。雨が降った時には――何しろロンドンなので雨は多い――ボイル本人も屋根のない場所に立ち、皆と同じようにリハーサルを進行させる作業をした。

 ボイルが報酬を受け取っていなかったこと、それを皆が知っていたことも役立った。また、スタッフたちが作業している中を歩き回る時――よく歩き回っていた――ボイルがアシスタントを連れず、いつも一人だったことも重要だった。そのおかげでスタッフとの間に壁ができなかったのだ。

 こうした努力の結果、スタッフは次々に有用なアイデアを出すようになった。舞台装置に関するアイデア、ドラミングなどサウンド面に関するアイデア、モダン・ダンスなどの演出面に関するアイデア、グラウンド整備や工程管理などに関するアイデアなど、その種類も様々だった。

「お人好し」ではダメ

 理想的な状況のようだが、すでに書いた通り、ボイルは決して「お人好し」ではなかった。どれほど注意しても、危険はあるので、それに対する「防衛」は常に考えなくてはいけない。本書でも、それを重要ポイントの一つにしている。ボイルは防衛に関しても経験が豊富だった。彼は、どういう時にどういう危険があるかをよく知っていたのだ。

 たとえば、映画『スラムドッグ$ミリオネア』には、ラヴリーン・タンダンというインド人のスタッフが関わっていた。彼女は温かく優しい人で、ボイルにインドのことを教えてくれる、映画にとって欠かせない人物だった。だが、映画の撮影が進んでいた最中、彼女の力が最も必要とされる時に、タンダンは「別の映画の仕事があるので、この映画の仕事はできなくなる」と言ってきた。タンダンなしでは、プロジェクトが崩壊するのは目に見えていた。

 タンダンがそういう行動を取る理由をボイルは理解していた。インドではごく普通のことだった。「他の仕事がある」というのを取引の材料にして、報酬を上げようとするのだ。ボイル自身も同様のことをした経験がある。競争の激しい世界なので、そこで生き抜く人たちが金銭や成功を貪欲に追い求めるのはごく自然なことだ。ボイルは、報酬を上げることなく、しかもタンダンの気分を害することなく、彼女に引き続き仕事をさせることに成功した。報酬を上げる代わりに、ボイルはタンダンを共同監督に昇進させたのだ。彼女はその地位にふさわしい仕事をしていたので問題はなかった。それで双方が満足できる結果になった。

  ロンドン・オリンピック開会式の準備に向けて働いていたスタッフは一万人ほどいたが、実を言えば、当初、応募があった人数は一万五〇〇〇人を超えていた。だが、長年の経験で、その中には必ず、目立ちたがりな人間が一定数、混じっていることを知っていた。自分の見たことを言いふらして他人の関心を引こうとする人間だ。ボイルは、BBCにいた当時に共に仕事をした有能なアシスタントたちに頼み、情報漏洩の危険の高そうな応募者を排除させた。ただ、むげに断るようなことはせず、丁重に「今は人数が足りている」と説明した。

 ここで重要なのは、機密管理のために五〇〇〇人が排除されたことを、採用された一万人が知ればどう思うか、ということだ。きっと、四年前の北京オリンピックの開会式と同じような、厳重な管理の下で働かねばならないのか、と思うだろう。能力は求められるが、ただ決められた仕事を淡々とこなすだけで、創造に貢献している実感は得られないのではないか、と思うかもしれない。だが、ボイルは、機密管理をしながら、同時にスタッフのやる気も引き出すような方法を採った。

  機密管理以外にも問題は起きた。オリンピック委員会がボイルに「ボランティアのスタッフには、コスチュームの代金を払わせるべき」と言ってきたのだ。しかし、ボイルはこれを拒否した。スタッフは大変な長時間を費やして働いてくれている。だが、コスチューム以外、形のあるものは何も受け取らない。

 委員会が強硬に主張したことで、元来は温厚なボイルが怒った。ボランティアにコスチュームの代金を払わせるなど、絶対にあってはならないことだ。委員会はボイルの辞任を望んでいるのだろうか。どうしても開会式を失敗に終わらせたいのだろうか。スタッフにコスチュームが無料で配布されれば、スタッフには感謝の気持ちが生まれ、仕事へのやる気も湧くだろう(ボイルが怒ることは稀で、この時も直後に謝罪している。オリンピック委員もそれで気分を害するようなことはなかった)。

「ジェームズ・ボンド」的な手段

 他には、マスコミの人間がスタッフになって潜入するかもしれないという問題もあった。ロンドンのタブロイド紙はその技術に長けていることで知られていた。一万人もスタッフがいれば、イブニング・スタンダード紙やデイリー・メール紙のジャーナリストがスパイとして潜入することはほぼ間違いないだろう。スパイの存在は開会式、特に聖火台への点火にとって障害になる恐れがあった。

 それ以前のオリンピックでは、聖火台には巨大な石か、金属の構造物が使われていた。いずれにしても冷たい物質で作られた大仰なものだった。ボイルは、聖火台をもっと人間味のあるものにしたいと考えた。聖火台をデザインしたのは、イギリスのデザイナー、トーマス・ヘザーウィックである。ヘザーウィックが作ったのは、植物の茎と花弁をかたどった細長い銅の棒二〇四本から成る聖火台だった。その棒を当日、一人一本ずつを持って会場に入り、組み合わせて聖火台とする。すべての花弁が聖火で燃えることになる。

 だが、当然、事前にその場でのテストは必要になる。情報漏洩を防ぐため、ボイルはそういう場合の最も普通の手段に頼らざるを得なかった。「ジェームズ・ボンド」的な手段と言ってもいいかもしれない。組織委員会とボイルは、聖火台となる銅の棒が午前三時に運び込まれるよう手配した。テストの日程は開会式当日にできるだけ近くする。そうすれば、軍がスタジアム上空を飛行禁止空域に指定するので、マスコミがヘリコプターを飛ばして写真を撮ることはできなくなる。

 当日寸前になって漏洩しないよう、ボイルは、開会式の詳細情報を一台のノート・パソコンだけに保存していた。その方が守りやすいからだ。そのパソコンを常に持ち歩き、自分のいる建物の入り口は部外者が決して入らないよう絶えず警備員に見張らせた。

「サプライズ」の成功

 開会式当日の夜、すべてはうまくいった。式典は壮大で素晴らしく、しかもオリンピックにふさわしいものだった。ボランティアのスタッフは無報酬ではあったが、報酬のあるどのような仕事でも得られないほどの興奮が得られた。大規模で一度きりのイベントである。細部で何が起きるのかはまったく予測不可能であり、こうしておけばうまくいく、という方法はどこにもない。しかし、ボイルはそれを見事にやってのけた。

 まず、ボイルは人の話をよく聴いた。そして、ロンドン・オリンピックの組織委員会会長、セバスチャン・コーの、「秘密」ではなく「サプライズ」と考えるべき、というアイデアを受け入れた。照明や音響などに関しても、自分のエゴはいったん脇に置いて、多くの人の意見を聴き、その中から良いものを取り入れた。

 ボイルがボランティアのスタッフをうまくまとめられたのは、お金には代えられない素晴らしい報酬を与えたからだろう。市場最大規模の観衆を前に、イギリスという偉大な国の歴史を語ることができるという興奮、それが何よりの報酬だ。彼は、スタッフ一人一人の行動を細かく管理するようなことはせず、かなりの自由を与えた。見るところは見ながら、自由に行動させたのである。自由に行動したことで、自分が式典の成功に貢献したことを実感できたのだ。その実感も大きな報酬だった。

 スタッフを尊重し、自由にさせる一方、ボイルは「防衛」のための対策も怠らなかった。防衛にもやはり、こうすればうまくいく、という一定の法則のようなものはなく、「芸術」のようなところがある。ボイルには、映画の現場での豊富な経験があった。その経験を活かして、自分の見たことを言いふらす危険性の高い目立ちたがりのボランティア志望者を排除し、「コスチューム代金を払わせろ」という頭の固いオリンピック委員会の要求をつっぱね、スタジアム上空が飛行禁止空域になる期間を狙ってリハーサルをすることでマスコミがヘリコプター取材できないようにし、建物の入り口の警備を固めて情報漏洩を防いだのだ。

 ボイルは、携帯電話を没収することも、スタッフに機密保持契約書への署名を求めることもしなかった。知らない間に、スタッフになりすました匿名のジャーナリストが入り込んでいた可能性はあるが、それでも、ボイルの知る限り情報漏洩は起きなかった。一人一人確かめたわけではなかったが、ボイルは「自分はスタッフを信用している」と態度で示していた。それが良い結果につながったのは確かだろう。#SaveTheSurpriseというハッシュタグの役割も大きかった。

「価値観はもちろん、皆、違っているでしょう」。ボイルはそう回想する。「ただ、それでも全員が同じ立場にいることはできます……書面などに書かなくてもそれは可能なんです」

 オリンピック開会式は無事、本番を迎えた――メアリー・ポピンズ、ミスター・ビーン、J・K・ローリングが登場し、巨大なトランポリンのようなベッドも、花弁を集めた聖火台も予定通りに登場させることができた。イギリスの技術革新、社会改革の歴史を見せることもできた(「国の持つ高い価値を表現できた」とボイルは言う)。つまり、ボイルの望んだ通り「サプライズ」が成功したのだ。

 映像ではあるが、女王も登場し、バッキンガム宮殿で、ジェームズ・ボンドに扮したダニエル・クレイグに出迎えられ、ヘリコプターでスタジアムへと向かう。スタジアムでは、女王(こちらは本物の女王ではなく、女王に扮したスタントマン)はボンドと共にヘリコプターからパラシュートで降下し、VIPセクションへと歩いて行く。ウィリアム王子とハリー王子が貴賓席につき、後ろを振り返ると、そこには本物の女王が現れ、仰天する。王子たちですら、その仕掛けを知らなかったのだ。まさに完璧な夜だった。誰も異論はなかっただろう。

ウィズ・コロナの状況は試金石

 今が普通の状況であれば、このまますぐに本文に入るのだが、ご存じの通り、今は普通の状況ではない。本書を執筆していた時、武漢(ぶ かん)はまだ、あまり知られていない中国の一工業都市にすぎなかった。新型コロナウイルスの感染が世界に広がり、武漢の名がマスコミで報道されるようになるのはその後のことだった。それから何が起きたかは当然、読者の方が私よりもよく知っているはずなので、私がそれについて何かを言うのも妙な話かもしれない。

 ただ、これはある意味で、本書がどのくらい役立つかの試験になるのではないだろうか。ある種、理想的な試験である。本書で読んだことが、今の状況への対処にどの程度役立つかを読者は実際に確かめることができる。たとえば、ボイルと同じように考え、対策を講じた場合、それで事態がどのくらい良くなるかを確かめられるのだ。

  本書でまず強調しているのは、自己主張をする前に「人の話をよく聴くこと」の重要さである。人の上に立てば、もちろん下にいる人たちを引っ張っていかねばならない。だが同時に、下から有用な情報が上がって来るのをせき止めてはいけない。良い情報とそうでない情報とを見分けることは必要だが、まず流れを止めてはいけないのだ。そのためには謙虚な態度が大切になる。人にはそれぞれ得意分野がある。たとえ立場が下でも、得意な分野であれば、有用な情報を提供できる可能性は高い。

 それは国のリーダーでも同じだ。謙虚に人の話を聴けるリーダーは、状況に早く的確に対応できるだろう。新型コロナウイルスの感染拡大にもうまく対応できるはずだ。逆に自分の考えに固執して、人の話を聴かないリーダーには適切な対応が難しい。

  ボイルが成功できたのは、彼がスタッフに与えられるものは惜しみなく与えたおかげでもある。ボイルのその姿勢により、スタッフは彼に感謝し、彼を信頼し、団結することができたし、それぞれが創造性を存分に発揮することもできた。もちろん、何も考えずにただ与えるだけでは、つけ込まれて終わりになる恐れもある。成功のためには、気前の良さと同時に、不正を見逃さない目ざとさも必要だろう。

 それを踏まえてリーダーの姿を見ていれば、各国がこれからどうなるかは容易に予想できるかもしれない。リーダーが国民を信頼せず、与えるべきものを与えないでいる国は、国民がリーダーの思惑通りに動いてくれず、危機への対応もうまくいかない可能性が高い。リーダーが何も与えなければ、国民は怒り、不平不満を言う。国の雰囲気は間違いなく悪くなる。ただし、ただ資金的な支援をすればいいかと言えばそう単純ではない。適切な監視体制がなければ、不正が横行してかえって悪い結果になることもあるだろう。

  もう一つ重要なのは「防衛」である。自分や組織を危険からどう守るのかということだ。ボイルは、自分もスタッフも、開会式のプロジェクトも守り通すことができた。しかも、「敵」を激しく攻撃するようなことはなかった。あくまで穏やかな態度のまま、批評家からも情報漏洩からもプロジェクトを守ったのだ。

 国のリーダーにも同じことが求められる。感染症が拡大している時の検疫や隔離などの対策は「防衛」だろう。それをいかにうまくできるかが重要になる。そのためには、国内に敵をなるべく作らず、多くの人が自分に協力してくれる状況を作るべきだ。また、外国で何が起きているかを積極的に学ぶ姿勢も大事だろう。反対に、国内に敵を増やすような行動を取り、自分と意見の合わない者を排除して、外国からも学ばなければ、防衛に失敗するに違いない。

  本書の後半を読むと、国のリーダーが大きく二つのタイプに分けられることがわかるだろう。一方は、好戦的で、外からの情報を排除するタイプで、常に人間を「我ら対彼ら」に分けて対立させたがるタイプである。もう一方はその逆だ。

 どちらのリーダーが国を良い方向に導くかは一概には言えない。だが、長期的な視野に立てば、後者のリーダーの方が良い結果を生む可能性が高いとは言えるだろう。問題は「長期」が具体的にどのくらい「長い期間」かということだ。おそらく、さほど長くはないことが多いと思う。特に、自然災害などが起き、危機的な状況に陥った場合には、フィードバックによって、通常であれば覆い隠されているはずの問題が早く露呈しやすい。

 前置きはこのくらいにして、そろそろ本文を読んでもらうことにしよう。

(以下、本書でお楽しみにください)

目  次

はじめに――人は、嫌な奴にならずに成功できるのか

  9
情報漏洩を防ぐことは可能か?――ロンドン五輪開会式リハーサル 9/「公正な」態度 11/三つの重要なこと 13/技術の必要性 14/ダニー・ボイルが成功した理由 16/人の話を聴く 18/全員を尊重し、信頼する 20/「お人好し」ではダメ 21/「ジェームズ・ボンド」的な手段 23/「サプライズ」の成功 25/ウィズ・コロナの状況は試金石 27

第一章 パイロット

  34
突然の墜落危機 34/爆発したような音 36/頭をよぎる日航機墜落事故 38/パワー・ディスタンス――人の話を聴く時の態度 40/大韓航空の事例 42/他人と協力し合うことを選ぶ人間 46/コックピットでの会話 48/最も有用な情報 52/「無駄だな。あきらめよう」 55/機体が自分の身体の一部になったような感覚 57/着陸 60/「公正」と「優しい」は同じではない 63

第二章 医師

  66
麻酔医のテスト 66/実際にあった事故 69/ひどいミス 70/典型的な人的要因による事故 74/知覚の限界をどう補うか 76/予防のための行動 80/「自己を捨てて人の話を聴く」「執着を捨てて人の話を聴く」重要性 82

第三章 建設業者

 86
エンパイア・ステート・ビルディングの建設 86/待遇改善 90/イースタン航空 92/策略 94/搾取と破壊 96/「与えよ、だが同時に用心せよ」 98/「非常に強硬な」人間を雇う 99/作業員たちの創意工夫 101/愛さなくても、尊重はできる 103

第四章 戦士

  107
ミス・バウアーからの電信 107/母の望みとのズレ 110/インパールへ――ナガ族との出会い 112/通過儀礼 115/日本軍との戦闘 118/ナガ族からの信頼 120/偵察活動 124/「彼女の首を取れ」 128/「幼い頃からじっと座っていることができない子だった」 129/公正であることは一つの技術 130

第五章 スポーツの監督、コーチ

  134
「ナイス・ガイでは勝てない」が生まれた瞬間 134/ドローチャーという人間 135/常軌を逸した行動 137/勝者はナイス・ガイ 139/成功するリーダーはバランスが良い 141/状況に合った適切な方法 142/「ゲーム・オブ・スローンズ」のエクゼクティブ・プロデューサー 146/常に穏健な対応 149

第六章 巨大テック企業のCEO

  152
サティア・ナデラとスティーブ・バルマー 152/「エリック・シュミットはいまいましい最低野郎だ!」 154/他社への攻撃性 155/マキャベリの真の姿 157/最悪のCEO 159/生まれつき良い人はいるのか? 160/息子の障害 162/自分の力で変えられることと、そうでないこと 164/会社全体の意識改革 167/人事評価を変える 169/「今年の人」に選ばれる 171/こうすれば必ず公正な人になれる、という法則は存在しない 173

第七章 艦長

  178
バウンティ号の反乱 178/実は公正な人間だった? 180/キャプテン・クックに認められる 181/バウンティ号の指揮官に選出 185/八時間睡眠の奨励 186/「素晴らしい船だ」 188/不吉な兆候 191/タヒチ 193/船員たちの変化 195/思いやりを失ったブライ 197/軋轢 198/反乱 201/漂流 204/再び漂流 208/再びタヒチへ 213/困難な状況での判断が人間の本質 215

第八章 変わりゆく若い男

  224
ドイツ、ニュルンベルク 一九三六年九月一二日 224/ヨーゼフ・ゲッベルス 227/足の障害 229/階級社会の壁と巧みな話術 230/「私の理想は、ペン一本で生計を立てられる人間になること」 232/ユダヤ人の恋人との出会い 234/疑念 238/ナチとの出会い 239

第九章 国民啓蒙宣伝大臣

  243
ナチのプロパガンダ装置を支配するゲッベルス 243/話を聴かず、沈黙させる 246/「噓つき報道機関」 250/与えるのではなく攻撃する 253/焚書 257/身を守るのではなく攻撃を 259/「まず大事なのは、何があっても退屈だけはさせないことだ」 263/矛盾したことを言い続ける技 266/最も憎むべき敵は「真実」 268/包括でなく排除 271/水晶の夜 274/ドイツ全体が好調 276

第一〇章 金ぴかの青春

  282
ゲッベルスとフランクリン・ルーズベルト 282/「彼は態度も大きく、嫌な奴だった」 285/「自分はいずれ大統領になる」 288/ポリオ 291/死ぬまで時が過ぎるのを待つだけ 294/フロリダへ 296/リーハンド 298/通過儀礼の第二段階 302/ジョージアのリゾートへ 306/全米から押し寄せるポリオ患者 310/リゾート全体を買収 314/世界の問題を知る 317/本当の自分 320/通過儀礼の第三段階 322/大変な時代の大統領に 324

第一一章 ニュー・ディール

  329
ヒトラーのホワイトハウス訪問 329/ドイツとアメリカの類似点 330/焚書への嫌悪感 332/公正であること、礼節正しいことの力 334/黙らせるのではなく、聴く 336/攻撃するのではなく、与える 340/人を見極める力 347/攻撃はしないが、身は守る 351/包括(インクルージョン) 358

第一二章 公正の勝利

  370
七日間での崩壊 370/届かない情報――真珠湾攻撃 373/自分の目を塞ぐ――アメリカへの宣戦布告 375/「科学を攻撃しすぎた」 379/ドイツに対し冷淡な各国 382/包括(インクルージョン)への憎悪 388/「現実は必ずいつか襲いかかってくる」 390/反省しないゲッベルス 393/ストライキが起きても上がる生産量 396/「何という人生だろうか」 397

エピローグ  400

参考文献&ブックガイド  404

謝辞  447


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