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"不時着女優”のもう一つの代表作は女の自立全力応援ドラマ【後編】

こんばんは。ジャーナリスト・治部れんげさんによる連載「ジェンダーで見るヒットドラマ」。今回は、韓国ドラマ「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」の記事・後編です。※以下の記事はネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。

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※書籍発売以降、有料記事となりました。後半は書籍か、記事を購入してお楽しみください。

”年下男子との胸キュンラブストーリー”の顔をしたフェミニズムドラマ

話をジナに戻しましょう。彼女は大企業を定年退職した父親と専業主婦の母親、ジナと理系大学院生の弟の4人家族。弟はふだん大学の寮に住んでいますが、ちょくちょく自宅に帰ってきます。温厚な性格の父親と対照的に、母親がくせもので、ジナを良い家柄の男性と結婚させようと必死です。

ちなみに、ジナの元カレは弁護士で学歴も家柄も申し分ありませんが、不誠実で甘えた最低な男です。自分が浮気してジナを振った上に、彼女に年下の彼氏ができると未練たらたらでつきまといます。私だったら、こんな奴は一発ひっぱたいた上に蹴りを入れ、SNSのフォローや友達は切り、電話番号を着信拒否にするでしょう。

ジナが煮え切らない態度を取り続けた結果、この男はジナの職場にあらわれて抱きつこうとし、拒否したジナにケガを負わせ、付き合っていた頃に撮影した2人でベッドに入った写真を印刷して花束と一緒に会社に送り付けたりするなど、ストーカー行為をはたらきます。さらにその後、ジナを車で誘拐した上、無理心中をチラつかせるような狂気に走っていくのです。

警察に通報し、被害届を出した上で縁を切るべき人間ですし、刑務所に入るとか弁護士資格を剥奪されるなど、法的・社会的制裁を受けるのが妥当です。それなのにジナは彼との関係をきっぱり絶つことができません。

加えて、ジナ母は、娘が幼なじみのジュニ(チョン・へイン)と付き合っていることを知ると、何度も繰り返し、別れるように求めます。ジナの家は普通のサラリーマン家庭であり、必死になって守るべき家柄や財産もないのに、いったい、何を守りたいのか、と思ってしまいます。

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