【巨人軍参謀論】阿部慎之助の指導者としての今後を左右するポイント
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【巨人軍参謀論】阿部慎之助の指導者としての今後を左右するポイント

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
野球を始めほとんどのスポーツでは基本的に選手や監督にスポットライトが当たりますが、見逃してはならないのがコーチなどのチームを支える「参謀役」。強いチームにはえてしてこのポジションに優れた人間がいます。巨人の場合はどうなのか、過去の名伯楽も取り上げつつ考察してもらいました。

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二軍監督・阿部慎之助の指導力

今回は監督としての阿部慎之助について考えてみたい。

阿部のスタイルには、良くも悪くも「体育会系」の気質が出ている部分がある。ただ、打撃の指導にはやはり光るものがあり、持ち前の打撃センスを指導へのアウトプットに繋げており、その片鱗を見せつけるかのように若手選手たちの打撃力向上に貢献している。

また、阿部と言えば、現役時代は「ツイスト打法」でトップクラスの成績を残していた。ツイスト打法とはスイングする際、インパクトの瞬間にスイングとは逆方向に身体を捻る打ち方だ。丸佳浩が2019年にこの打ち方を試してみたところ、いきなりホームランを放つなどの結果を残している。こうしたフォームなども引き継がれるのかは興味深い。実際、阿部の体育会系気質の起用法で怪我や故障をする選手もいる一方、打撃フォームの形がよくなる選手もいる。このあたりのバランスをうまくとることや、選手全体に行き渡る再現性を高められるかが、指導者としての今後の課題に違いない。

また、こちらも名参謀として知られる橋上秀樹氏との共著『阿部慎之助の野球道』では、独自のドラフト論も語っていた。阿部は「主要都市で勝ち抜いた選手」と答えているのだ。

「今年のドラフトなら◯◯」というような、具体的な名前まではわかりません。でも、あえて言わせていただけるのであれば、主要都市で野球をしていて勝ち抜いた経験を持った選手がいいなと思います。地方出身の選手は資質が高いのは間違いありませんが、肝心なメンタルの面は大都市でもまれた選手のほうが強いように思えるんです。とくに高校生を獲得する場合は、たとえば東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、広島、福岡といった都市部エリアで野球をやっている選手を獲るべきだと思うんです。(『阿部慎之助の野球道』より引用)

このように、高校生の場合は「主要都市」で勝ち抜いた選手がどのエリアの球児よりも強靭なメンタルを持ち、ポテンシャルがあると強調している。
さらに、大学に関しては次のように語っている。

僕の経験でいけば、やはり東都(東都大学野球)出身の選手が一番いいですよ。東都には入れ替え戦があります。春に1部で優勝しても、秋に最下位になれば、2部の1位との入れ替え戦に回らなくてはいけない。そこで万が一、2つ負けてしまったら、2部に落ちてしまいます。反対に2部のチームは1部への昇格がかかっていますから、それはハングリーになりますよ。(『阿部慎之助の野球道』より引用)

具体的なリーグまであげているほどだから、確かな感触があるのだろう。
このように昔ながらのハングリーさや勝者のメンタリティを選手の評価軸に置いていることは興味深い。今後の巨人の若手選手の奮起やドラフト戦略、阿部ならではのチーム作りは楽しみである。

感覚的なものに秀でた二岡智宏

阿部の他には現在三軍監督を務める二岡智宏も、非凡な働きを見せている。

現役時代は、天性の打撃センスで右方向に強い打球を放つことが多かった選手だった二岡。独立リーグでもプレーするなど幅広い経験を持つが、その指導力と着眼点には秀でたものがある。

具体的な選手名を挙げると、今では一軍の4番に座る岡本和真を、二軍コーチとして育成した実績がある。また、打順の組み方にも度々センスの良さが垣間見れており、将来の参謀役としては申し分ない存在だ。

感覚的なセンスがある二岡氏を指導者として育成させていくことは重要であり、ゆくゆくは新旧巨人軍の遊撃手である二岡と坂本勇人がグラウンドやベンチにいる姿を見てみたい。

将来の首脳陣の理想形は?

阿部氏の指導は、今どきは珍しい部分もある昔ながらのスタイルなので、選手が萎縮してしまう可能性は今後もつきまとう。ただ、「叱る」ことへのバランスを整えることができれば、段階を踏んで巨人軍の監督として新たな時代を築いていくことも可能だろう。

参考にできる例が、過去の原巨人からも見られる。原巨人では、二軍監督や一軍野手総合コーチを担った吉村禎章氏が参謀役を担っていた時期があった。吉村氏は、原第一次政権の時も打撃コーチの立場から、監督のキャリアを歩み始めた原氏をサポートした。この吉村氏のような存在が阿部にも必要、というわけだ。

2012年から2013年まで一軍戦略コーチを担っていた橋上氏も、当時の巨人では珍しい役割として陰ながらチームをサポートして、優勝に導いた。戦略コーチは天職だったが、2014年に担っていた打撃コーチは、適材適所とは言えない立ち位置だったように思う。

ちなみに、伊原春樹氏もまさにそのパターンと言える。西武時代は監督としてチームを優勝させたものの、本来は三塁コーチやヘッドコーチとして活きた指導者だったのではないだろうか。巨人時代に原氏の不在時にNo.2としてチームをまとめあげた力量は、監督としてよりも参謀役として活きていた証拠だ。

こうした例を見ると、阿部の場合はいったん、歳上でありながらいい意味で時代に適応した指導者に「参謀役」のような形で右腕としてベンチにいてもらい、なおかつ打撃コーチには二岡を置くことが、「最適なバランス」になるのかもしれない。

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