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「総力戦」となった東京五輪ノックアウトステージ、アメリカとの激闘を振り返る

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)。
東京五輪の野球もいよいよ佳境へ。ノックアウトステージ、侍ジャパンはグループB1位のアメリカと激突。リードを許すも粘り強く追いつき、延長タイブレークをサヨナラで制し準決勝へ駒を進めました。大激戦を振り返るとともに、残りの戦いでの用兵を考察します。

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総力戦となった準々決勝のアメリカ戦

準々決勝のアメリカ戦はまさしく総力戦となった。アメリカの先発シェーン・バズはこれまでに対峙していない本格派だったため不安視されていたが、ふたを開けてみれば山田哲人や坂本勇人、吉田正尚、柳田悠岐を中心に打ち崩し、見事にノックアウトをした。特に坂本は3安打と、大会前の不調からくる不安視をものともしない活躍をこの試合でも見せた。代表経験の豊富さからも、チームの精神的支柱として大きく貢献している。

中盤以降はシーソーゲームとなり、最終的には控え選手の多くが登場する総力戦となった。この試合の中で、不調だった鈴木誠也にようやく一発が出たのは幸いだ。その他にも菊池涼介がタイムリーを放つなど、調子の良し悪しに関係なく、日本の各選手からは場面ごとにベストな結果を出そうと奮闘する姿が垣間見れた。

1点ビハインドで迎えた9回には、浅村栄斗がランナー一塁の場面で状況を上手く判断してライト前へ安打を放ったことでランナーが三塁まで進塁。同点への足掛かりとなった。この試合も最大級のビッグプレーだったのではないだろうか。

同点となった柳田のセカンドゴロも、全力疾走であわよくば内野安打という当たりでもあり、一つ一つのプレーに執念を感じた。

タイブレークに突入後は、大会を通して初打席の栗原陵矢が一球目でしっかりと送りバントを決め、1アウト2,3塁となったところで甲斐拓也がサヨナラタイムリーを放った。

試合終盤は、近年短期決戦や国際大会で結果を残しているソフトバンク勢や広島勢、浅村が所属していた西武勢が数字に現れない部分でも活躍し、実践的な強さを見せつけた。

接戦の中で見られた投手陣の好材料

投手陣も6点は失ったものの、好材料が見られた試合だった。先発を務めた田中将大は中盤にアメリカ打線に捕まったものの、一巡目であればワンランク上の打線が相手でも抑えられることがわかった。そのため、今後の田中はオープナーやショートスターターとして起用していくことも一つの手段だろう。

また、千賀滉大や大野雄大といった初登板組は実績通りのピッチングを見せて、不安視を取り除けたのではないだろうか。2017年のWBCでも活躍した千賀は、怪我明けだったがこのレベルまでパフォーマンスを戻してくるあたり、昨シーズン三冠投手としての「格」はもちろんのこと、プロフェッショナル性も感じられた。2イニング5奪三振という目に見える結果に加えて、背中でチームを引っ張る姿が一気に試合の流れを引き寄せたと言っても過言ではない。

さらに、こちらも国際大会で実績を積んでいる山崎康晃も今大会はしっかり抑えており、若手投手陣の平良海馬や栗林良吏らに後ろを任せるための架け橋として活躍している。

また試合途中で甲斐に交代したものの、この試合は梅野隆太郎のリードも光っており、アメリカ打線の力を最小限に抑えていた。今後の試合では梅野も重宝することで優勝への確率は高まるだろう。

最後に取り上げたいのは、ルーキーながらクローザーを務めている栗林だ。タイブレークの10回に登板すると、初戦のドミニカ共和国戦での不安定さを払拭するかのような投球でアメリカ打線をねじ伏せ無失点。サヨナラ勝ちへ大きく流れを寄せた。

準決勝は宿敵・韓国との対戦

次戦の準決勝は、北京五輪で金メダルを獲得し、プレミア12では決勝で対戦した韓国である。オープニングラウンドでは、ソフトバンクに所属しているニック・マルティネスに抑えられアメリカに負けたものの、ドミニカ共和国に競り勝ち、イスラエルに圧勝をして準決勝に勝ち進んだ。

ここまでの試合数は日本よりも1つ多く、タイトなスケジュールとなっているが、調子自体は上がってきているだろう。大会序盤に不調だった金賢洙はドミニカ共和国戦で5打数4安打、イスラエル戦で4打数3安打を記録しており、韓国打線のコアとして一気にギアを上げている。北京五輪や2度のWBC、2度のプレミア12を経験しており、コンタクト力が高い打者である金賢洙を抑えられるかどうかがキーポイントになる。

2019年のプレミア12では、韓国に2戦2勝をしているが、前回の五輪である北京五輪では2戦2敗。稲葉篤紀監督は選手時代に当時の悔しさを経験している。金メダルへあと2勝となったがまずは宿敵の韓国を破り、決勝に進んでほしい。

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