2020年の巨人軍を象徴するベストゲームを振り返る
熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を徹底分析。
今回のテーマは、今シーズンこれまでの「ベストゲーム」。巨人の強さを象徴するような試合はもちろん、話題となった「あの起用」についても振り返ってもらいます。
大技小技の攻撃パターンで成し遂げたハマスタの逆転劇(7月19日 DeNA戦)
最初に挙げたい試合は、7月19日のDeNA戦だ。先発は巨人が桜井俊貴でDeNAは今永昇太。
DeNAは初回から桜井を攻め立てて1点を先制。その後は桜井も粘りの投球を見せ、巨人はビハインドながらも2番手以降の強力な中継ぎ陣によって2対3の1点差で試合展開をコントロールする。
そして、9回に劇的な逆転劇が訪れる。1死から坂本勇人が内野安打で出塁し、代走の切り札である増田大輝を投入後、すかさず盗塁成功。ウィーラーが倒れて2死2塁の場面で丸佳浩が一、二塁間に打球を放ち、柴田竜拓が捕球するものの、増田は快速を飛ばしてホームに生還し追いつく。
さらに、岡本和真がライトスタンドに放り込み勝ち越した。この試合はまさに今シーズンの巨人軍特有の「終盤力」が発揮されたように思う。不調だった坂本・丸・岡本のコアが要所で打ったことはもちろん、代走の切り札である増田を活かす「大技」と「小技」がうまく合わさった試合だった。
エース菅野智之の意地、1対0の完封劇(8月18日 阪神戦)
続いて挙げたいのは8月18日の阪神戦である。この試合では、中5日登板した菅野智之がエースの意地を見せた。
阪神の先発は、勝ち星に恵まれないながらも好投を見せている髙橋遥人で、投手戦となった。菅野は中5日の疲れをものともせず、淡々と阪神打線を抑える。対する高橋も巨人打線を岡本の1発のみに抑えたが、菅野の「エース」としての投球が上回り、シーズン3度目の完封勝利で自身開幕8連勝を成し遂げた。
菅野は、試合後のヒーローインタビューで「中5日ぐらいでヒーヒー言ってたら先発ピッチャーは務まらない」とシビれる発言。エースとしての背負うものを感じた試合でもあった。
大差の試合を盛り上げた「投手・増田大輝」(8月6日 阪神戦)
上記2試合の他に、今シーズン話題となったのはなんと言っても「投手・増田大輝」だろう。8月6日の阪神戦は11対0という大差で負けている展開になり、巨人は勝ちパターン級の投手を出さずに試合を進めた。そこで、コマ数が足らなかった場面で野手の増田がマウンドに上がった。
この起用には賛否両論の声があがったが、個人的には大賛成である。投手を無理に使わない手段としてメジャーリーグではよく見られる場面であり、例えば日本人選手ではイチローや青木宣親が野手でありながらマウンドに上がる試合もあった。
マイノリティで珍しい物事に対する風当たりが強い日本の文化だが、このような起用法は必要になってくると思う。相手を下に見ているのではなく、投手の登板過多を避けるためであり、勝負の決まった試合を盛り上げるエンタメ性も含めて今後は増えていくべきだろう。
不調のエース菅野智之を助けて開幕11連勝とマジック点灯(9月15日 阪神戦)
最後に取り上げたいのがつい先日、9月15日の阪神戦である。この試合で巨人は、1970年以降のセリーグで最速となる72試合目で優勝マジック「38」を点灯させた。
この試合の先発はエース菅野だったが、スロースターターの気があるとは言え序盤から本来のストレートの速さが出なく、状態は良くない方だった。その菅野から阪神は近本光司が2ホーマーを放つなど、1点リードで試合を進めていった。
しかし、巨人打線は不調の菅野をフォローするかのように阪神先発の高橋を攻め立てて、岡本のタイムリーで追いつき、大城が勝ち越しとなるタイムリーを放ち逆転。7回からは高梨雄平、大竹寛、ルビー・デラロサの盤石な投手リレーで見事に勝利した。また、この試合では吉川尚輝がかつての輝きを取り戻すかのような守備範囲の広さを披露し、チームを救った。