【note連載最終回】『ゴジキの巨人軍解体新書』読者へのメッセージ

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析する本連載。シーズン終了に伴い、最終回となります。最後は本連載をお読みいただいた皆様へのメッセージをお届けいたします。

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残念ながら巨人はリーグ3連覇を逃す

東京ヤクルトスワローズが20年ぶりに日本シリーズを制した2021年のプロ野球。巨人軍は後半戦の勝負どころで残念ながら結果を残せず、リーグ3連覇を逃しました。個人的には、シーズンの敗因は坂本勇人を早々にグラウンドから降ろした9月5日の阪神戦が全てだったと見ています。このカードの前はヤクルトに2勝1分けと流れに乗っていたので、阪神に最低でも1つ勝ってていれば、まだ状況は違っていたかと思います。

この肝心な試合で坂本を降ろしたこと、さらにはシーズン中盤に丸佳浩を一時的に干したこと、岡本和真に依存していた打線。これらを見ていると、今までは課題点を上手くリカバリできていた原政権では珍しく、負の流れを断ち切れずにズルズルと終わった印象です。坂本・岡本の並びは驚異ではありましたが、ヤクルトの山田哲人・村上宗隆の並びはその上位互換でしたので、渡り合うには丸の存在が必要不可欠でした。

あと、これも再三連載さらには書籍でも言及していたことで、なおかつ2020年のシーズンにも言えたことですが、阿部慎之助とアレックス・ゲレーロの穴は未だに埋まっていません。結局のところ、2019年に亀井義行が活躍した分の穴も、吉川尚輝がようやくカバーできるかどうかと言ったところです。

ヤクルトとオリックスの日本シリーズでも苦しい場面で外国人助っ人が起死回生のホームランを放つ展開が見られましたが、2019年の巨人軍はこの攻撃パターンだけでなくオプションで機動力がありました。巨人が王座に変えるためには、何よりもまず打線の強化が急務です。2010年代で言うなら、ゲレーロやギャレット・ジョーンズ、さらに昔なら李承燁がそうだったように、100試合以上の出場が計算できて、長打力のある外国人が必要です。

球界全体が打低だった2012年はともかく、2013年は下位打線にホセ・ロペスとジョン・ボウカーが並んでいたことの影響は大きかったです。2014年もディフェンス力が目立っていましたが、ロペスとレスリー・アンダーソンの存在が肝でした。下位打線にバットを振り回せる打者がいることによって、相手が感じるプレッシャーは明らかに変わります。坂本・丸・岡本に続く長距離砲の獲得はストーブリーグの最優先事項です。

連載開始に加えて著書も3作出版となった1年

昨年(2020年)9月からこの連載「ゴジキの巨人軍解体新書」がスタートして、今年の3月には連載をベースに書下ろしも加えた『巨人軍解体新書』(光文社新書)を出版しました。デビュー作ということもあり、不安が大きかったですが、多くの方に読んでもらえて光栄です。

本連載に関しても、下記の記事「【巨人軍参謀論】投手の異常な酷使を止めるために宮本投手コーチの体制を改革せよ」は、光文社新書noteの月間1位のPV数を獲得し、連載を通しても常に上位を維持できていたみたいなのでよかったです。

また、その他にはREAL SPORTSさんでも、今年は6本のコラムを執筆しましたが、その中で4本のコラムがTOP5にランクインしました。

また8月には、2作目となる『東京五輪2020「侍ジャパン」で振り返る奇跡の大会』(インプレスICE新書)を出版させて頂きました。こちらはタイトルの通り東京五輪の野球を取り上げている本なので、試合を観ながらリアルタイム性を求めて仕上げました。侍ジャパンが見事金メダルを獲得したおかげもあって、Amazonカテゴリランキングで1位に。デビュー作だけの「一発屋」にならずにすんでよかったです(笑)

このnoteを連載している光文社さんやスポーツ報知さん、週刊プレイボーイさん、REAL SPORTSさん、文春野球さんを含めて、93本(11月28日時点)の記事を執筆しました。

今後の活動について

12月には3冊目の著書となる『坂本勇人論』(インプレスICE新書)が発売されます。デビュー作である『巨人軍解体新書』でも濃密に書いた坂本勇人選手に関して、1冊丸ごと使ってさらに詳しく書かせてもらいました。巨人史上を超えてプロ野球史上でも最高の遊撃手と言っても良いであろう坂本勇人の、15年間築きあげてきたキャリアを徹底分析しています。刊行の際にはぜひ読んでいただければ嬉しいです。

加えて、来年の2月には書籍としては初めて、野球を総合的に取り上げる内容の本を出版する予定です。現在鋭意執筆中なので、いい内容に仕上げられるように精進します。

さらに、12月からYahoo!ニュースの公式コメンテーターになることが決まりました。各媒体での執筆はもちろんのこと、Yahoo!ニュースのコメントからも自身の知見を発信していけたらと思います。

そして今シーズンの終了をもって、本連載『ゴジキの巨人軍解体新書』はいったん終了します。12月からは、お股ニキさんも連載していた「本がすき。」というサイトにて新たな連載『感性とデータで語る 新・野球論』が開始する予定です。

『巨人軍解体新書』は基本的にジャイアンツに特化した内容でしたが、今後は巨人軍だけではなく野球界全体の諸テーマに着眼点を置きながら進めていく予定です。野球の全体感と定義、データと感覚の相乗効果で生み出される新たな可能性、アマチュア野球から学ぶ点、国際野球論、世代やスター性で深堀りする選手論、マネジメント・マーケティング論まで繰り広げていけたらと思っています。選手のひとつひとつのプレーがデータを超えたときにドラマが生まれ、最高のエンターテインメントとなる。それこそが野球の醍醐味なので、その魅力を伝えられる内容にしていきたいです。

以前の記事で下記の通り書かせてもらいましたが、今後もこうした考え方を忘れずに執筆していきます!

お股ニキさんや、たとえば野球以外のジャンルであれば山口周さんといった方が著作に書かれる通り、「直感」や「感性」で「気づき」を得ることは、カテゴリを問わず非常に重要なものになっていく一方です(繰り返すと、この方たちは論理やデータが不要だとは一言も言っていません。どうやってその一歩先へいくか、という話です)。

これまでの成功や失敗の体験、その積み重ねで得られた知見によって、言葉やデータでは表せない「直感」「感性」が生まれ、実際に機能するようになります。ロジックやエビデンスはいつか「限界値」に達してしまうので、それだけだと「直感」を持つ相手に劣ってしまうケースも生まれます。

今後もデータの精密化はどんどん進んでいき、(プロだけではなく)多くの選手/チームへ普及され続けていくでしょう。その中で、真のトップに立つ選手/チームは、思わず「芸術点」をあげたくなるようなドラマチックなプレーをすることが、勝利のためにもファンのためにも重要になっていくと思います。(例えば、2017年WBCの日本対オランダのような) 「魅せる野球」が求められている、と言うこともできます。

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