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岩田健太郎「新型コロナの流行を機に、エターナルに変わるべきこととは」


大好評発売中の岩田健太郎著『丁寧に考える新型コロナ』(光文社新書)
巻末特別対談「西浦博先生に丁寧に聞く」から一部を公開いたします。


今、コロナのことだけを効率化しても、保健所は楽にはならない


岩田 この流行をきっかけに、エターナルに変わるべきものも出てくると思います。

要は、働き方改革ということになると思うのですが、たとえば保健所で言えば、これまで保健所で「こういうふうに働くんだ」とされていたところの、多くは無駄なわけです。

例を出しますと、今も、結核の審査の書類を保健所に出す必要があるのですが、その書類の期限が4カ月と決まっている。たとえばリファンピン(抗生物質)での治療は4カ月間治療をするのですが、初診のときに薬を出さなかったりすると、あと3日で治療が終わるというときに、初診から4カ月を過ぎているからもう一回書類を書いてくれと送ってくるんです。保健所から。

こういったことは本当に馬鹿馬鹿しい決まりです。これは昔から厚労省の指導でやっているのですが、そもそもこの書類自体が必要ない。そういうのは全部取っ払ってしまえばいい。

つまり、今、コロナのことだけを効率化しても、保健所というのは楽にはならない。コロナ以外のところでも、今まで実はほとんど無駄だった仕事というのは山ほどあるわけです。

そういうものも、これを契機に、本当にこの仕事は必要なのか? って一つ一つ吟味していけば、実は必要な書類なんてほとんどないと分かると思うんです。まあ、ほとんどないですよ。

「もっと楽をしようぜ」が許されるエートスを作る


岩田 エターナルに変えるというのはそういうことです。コロナの時代であろうと、コロナが克服されようと、必要のないものはどんどんこの機会にやめてしまって、それでもっと楽になろうぜ、って。

この「もっと楽をしようぜ」というのがそもそも許される、励行されるエートスを作るのが大事です。

保健所とか病院というところはですね、何か、みんながしんどい思いをするのがエライ、みたいにまだ思っているんですよ。しんどいほうがエライっていう、そういう我慢ゲームみたいなのが割と横行していて。

で、これは、悪だと思うべきです。

先週も、神戸大学病院でアウトブレイクが起きたときに、結局みんなが、PCR、PCRの大合唱で。検査室はもう、夜を徹してPCRを回さざるを得なくなるわけですよ。

これは悪です。他の医療職を酷使して、苦しめて、我慢させることが許されると思ってはダメだという、そういうエートスを作るべきです。

いかに効率よくPCRをやるか。「やる」か「やらない」かではなくて、皆が楽をしながらいかにPCRをサステインできるか、という戦略に変えていかないといけないと思っています。


今の日本のリーダーは下を向いている


岩田 そのために必要なのはやっぱり、リーダーシップなんですよね。「こういう方向で行こうぜ」っていうリーダーシップがまだ日本にはない。

でもリーダーというのは、ビジョンを示してこそリーダーなんです。

「これが行くべき道だ」「光の射すほうはあっちだ」と示すのが本当の仕事なのですが、今は地面のほう、下のほうを向いて「まあそう言わずそう言わず」「まあ徹夜も我慢してくださいよ」などとやっているのが、今の日本のリーダーなわけですよ。

これだと、救いがないですね。みんなが不幸になる。

で、コロナでどんどん不満がたまっていって、最終的には誰も我慢できなくなる。医療従事者だって我慢の限界がきたら、もう我慢はしなくなると思います。保健所も同様です。

その我慢大会は、いつまでも続かない。たぶん今年、頑張れるか頑張れないかのぎりぎりぐらいだと思います。なので、この「我慢大会モード」というのではないやり方でやらないと、特に東京なんかは危ないと思いますね。

ギャンブル的に「感染を広げても仕方ない」ではないやり方が重要


自粛も同じで、いかに我慢せずに感染対策をするかというのは大事なわけです。「GoToキャンペーン」も、欲望を我慢するかしないかというところでせめぎ合うわけじゃないですか。

だから、いかにリーズナブルに感染対策をしつつ、なおかつ人生を楽しむかが大事だと思います。ギャンブル的に「感染を広げても仕方ない」と、リスクのトレードオフとして楽しむのではなくて、そうでない形でどこまで楽しめるかが、今、すごく大事なポイントだと思っています。

ぼくはサッカーを観るのが好きなので、たとえばサッカーの試合はどこまで回復できるかというのをすごく重要視していますけれど、だからといって、やけになって満員の観客を入れて「アウトブレイクを起こしてもそんなのは関係ない」というようなコロナパーティ的な、単に欲望を発散させるだけみたいなのではないやり方、楽しみ方が重要だと思っていますね。

(※この対談は7月20日に行われたものを収録したものです。)

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